「ハングル」千一夜話 第11話 | ハングル能力検定協会 ハングル検定 事務局 スタッフブログ

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 김치の語源 

   朝鮮の古文書に김치という言葉が初めて登場するのは、18世紀中期に出版されたハングル版の「春香伝」です。1527年に出版された「訓蒙字会」には딤최(최→ㅊ・ㅣ)、1663年の「痘瘡経験方」では짐최(최→ㅊ・ㅣ)、1748年の「同文類解」では침최(최→ㅊ・ㅣ)と記されています。それ以前の1481年に刊行された「杜詩諺解」では디히となっています。これまで김치の語源は漢字語の침채(沈菜)だと思われてきました。これは恐らく17~18世紀に짐최/침최の表記を漢字で「沈菜」と表記したことと、디히の語源がよくわからなかったためだと思われます。前述したように15~16世紀の文献には김치は디히または딤최と記されていました。語源研究でこの事実を無視することはできません。ましてや、1241年に刊行された「東国李相国集」の詩の中にも김치のことが詠われており、古くは三国時代の記録にも朝鮮半島に住む人々が野菜を好んで食べていたことが記されていることを見ると、김치は古くから朝鮮民族の食卓に上っていたものと思われます。では디히の語源は何でしょうか。実は디히の디は動詞の짓다(作る)の古語である딧다の語幹딧からㅅが脱落したもので、その디にㅁが付いて딤になり、そこにまた接尾辞の치が付いて딤치となった言葉です。김치という言葉は、このように固有語の디히から딤→딤치→짐치という過程を経て今日の김치へと変化したものです。김치の元来の意味は「(野菜を用いて)作ったもの」ということです。慶尚道方言などの짐치は김치の古い言葉なんですね。

 

메주の語源

 메주(みそ玉麹)で作る장(醤=みそ・しょうゆ)は、朝鮮民族の食生活になくてはならない重要な調味料です。大豆の原産地である朝鮮半島では昔から大豆で作った메주で장を作ってきました。메주という言葉の最初の形は「미조/미주」です。12世紀に刊行された「鶏林類事」には「醤曰密祖(=장のことを미조/미주という)」と記されています。このことから、当時は메주やそれで作った장のことを미조/미주と言っていたということが分かります。「미조/미주」は「믿오/믿우→미도/미두→미조/미주」という変化の過程で形成された言葉です。今日、「基礎、根本、下、もと」という意味を表す「밑」の古語は「믿」でした。この言葉に名詞化するときに用いる接尾辞の「오/우」が付いて「미조/미주」になったのです。ですから「미조/미주」はもともと「장(しょうゆを作る基礎材料」という意味を表しました。「미조/미주」はその後「며조/며주」と変化し19世紀末まで使われていたのですが,20世紀になって「메주」という形になり現在に至っています。日本語の「みそ」は、高句麗から日本に메주で장を作る技術とともに入ってきた「미조/미주」から来た言葉です。

 

막걸리の語源

 막걸리は、朝鮮半島で造られる伝統酒の一つで、主に米を原料とする濁酒です。蒸した米に麹と水を加えて発酵させ、その上澄みと沈澱物を分けずに粗く漉した「あらごし酒」です。막걸리の語源は、막 거르다(粗雑に・大ざっぱに+濾す)で、막걸리は「粗く濾した酒」という意味です。막 거르다(粗く濾す)→막걸러(粗く濾して)→막걸―이→막걸리と変化してきました。白く濁っていることから탁주(タッチュ・濁酒)や탁배기(タッペギ)とも呼ばれています。탁배기の탁は「濁」、배기は「ぎっしり詰まっているもの」を表す語で、「白く濁ったものがぎっしり詰まった酒」という意味です。かつては夏の農作業の合間に飲む風習があったことから農酒(농주)とも呼ばれています。日本のどぶろくに近い濁り酒で、日本では「マッコリ」と言っています。막걸리は朝鮮半島で最も歴史の古いお酒で、高句麗時代にはすでに飲まれていて高麗時代の詩にも歌われています。

 

<カラム先生☆語源の話>より

 

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