「ハングル」千一夜話 第2話 | ハングル能力検定協会 ハングル検定 事務局 スタッフブログ

ハングル能力検定協会 ハングル検定 事務局 スタッフブログ

「ハングル」能力検定試験の事務(事務=사무)に携わる日々の徒然、
検定試験情報やお知らせ、「ハングル」な情報を提供していきます!

사람の語源

사람(人、人間)という言葉は、古語の動詞사르다(살다)の語幹사르に名詞化の役割を果たす接尾辞の「ㅁ」が結合してできた言葉です。사람は「生きているもの、生きて活動するもの」という意味を表します。1447年に初めてハングルで発刊された「龍飛御天歌」をはじめ15世紀の文献に、사르다/사로다が出てきます。古語では、사람を사름/사롬と言うこともありました。살다という言葉には、「命がある」という意味と「男女が家庭を築きともに生活する」という意味があります。後者の意味には、他の動物とは異なり自ら生活するすべを知っている存在、すなわち、経済的な生活を営むすべを知っている存在だという意味が含まれています。これが사람という言葉の基になっています。ということは、毎日、食べて寝るだけの生活を送っている人間は真の사람ではないということになりますね。人間としての사람の本質的な営みがなんなのかを見抜いていた朝鮮民族の鋭い洞察力をここに見ることができます。사람は歴史の流れの中でたゆまなく日々成長しています。その成長は経済生活から政治生活、そして文化生活とどんどんすそ野を広げています。私たちも사람として成長できるように日々精進していきたいですね。

 

아버지の語源

아버지(父)は아버と지(人)が合わさった言葉です。아버は古語では아바/어버/아비/어비のようにいろいろな形で使われていました。もちろん現在もこれらの言葉が方言として使われています。このなかで代表格は아비で、15世紀にはほとんどこの言葉が使われていました。아비は本来「かしら、尊い存在、位の高い存在、大きい存在、怖い存在」という意味を持っていた言葉です。아버지を어비ということもありました。今でも庶民の間では、子どもたちを脅かすときに「어비가 온다」(お化けが来るぞ、などの意味に当たる)と言うことがありますが、この어비も아비と同じ意味です。지は古朝鮮の頃から接尾辞のように使われてきた言葉で、「人」という意味を表します。아버지という言葉も아바/어버/아비/어비にそれぞれ지を付けて아바지/어버지/아비지/어비지といろいろな形で使われていました。いまでも、韓国・朝鮮人が他人の父親のことを아버지となんの違和感もなく呼べるのは、このように昔から아버지に当たる言葉が自分の父親だけではなく、尊い存在、位の高い存在、大きい存在であった人を아버지と呼んでいたことに起因していると言えます。

 

아빠の語源

아빠はアボジの幼児語です。아빠は아바から来た言葉で아버지の아버と同じ語です。아버のことを古語では아바/아버/아비/어비と言いました。上述したように、この言葉は本来「かしら、尊い存在、大きい存在、怖い存在」という意味を表した言葉です。아바は16世紀末以降の文献に、わずかですが出てきます。おそらく口語として使われていたため、文献にはあまり使用されなかったものと思われます。아바の形は19世紀頃まで存在していましたが、20世紀に入ると아바にㅂ音が添加され압바・아빠の形で表記されるようになりました。「朝鮮語辞典」(1938)には아빠が見出し語で出ており、아바を아버지の古語だと説明しているのを見ると、1930年代には아바は使われなくなっていたようです。ちなみに아버지の지は古朝鮮時代から使用されてきた言葉で、「人」を表します。大人になれば아빠のことを아버지と呼ぶのが普通ですが、現在、韓国では幼少期だけでなく、青壮年期にも広く使っています。共和国でも女性はよく使っています。

 

어머니の語源

어머니は어머と님が合わさってできた言葉です。어머니のことを昔は主に어미と言っていたのですが、아미/어마/어머とも言っていました。어미/아미/어마/어머は語源的には「もっとも大きな存在、母体、始め、最初」という意味を持った言葉です。いまでも어머の縮約形である엄を「もっとも大きいもの」という意味で使っています。엄니/*엄이(牙)、엄지손가락(手の親指)、엄지발가락(足の親指)の엄がそうです。また、動物の親も엄지と言います。움트다(芽が出る)の움(芽)も語源的には同じです。어미/아미/어마/어머が「もっとも大きな存在、母体、始め、最初」という意味で用いられていたため、その意味に合うように昔はその後ろに尊敬を表す님(様)が付いて、어미님/아미님/어마님/어머님のように使われていました。その後、어머님の님からㅁが脱落して어머니になったということです。엄は歴史をさかのぼると검に通じる言葉で、これも「もっとも大きい存在」という意味を表します。現在も使われている어금니/*어금이(奥歯)は어검니が音変化したもので「一番大きな歯」ということです。また、단군왕검(檀君王儉)の검も「大きな存在」ということですから、これは「檀君大王」ということになりますね。このように엄と검は語源的に同じ言葉です。日本語の「神」は、この검からきた言葉だと思われます。

 

<カラム先生☆語源の話>より