The Blood Red Indian Summer | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

The Blood Red Indian Summer [ David Handler ]
¥3,255
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すっかり間があいて忘れてしまっていたD.ハンドラーのシリーズ物。続けざまに数冊購入して読み始めましたが、もはやどういう順序なのかがよくわからないという・・・これは何作目に当たるのかしら。私は一体何作目まで読んだのかしら・・・


もちろん、独立したミステリーとして1話完結ではあるのだけど、ドーセットを舞台にした、主人公の女警察官デズと、映画評論家のミッチの恋物語としても読めるシリーズなので、順番が大切なんですよね、本当はね。


さて、今回もコネティカット州ドーセットを舞台に、愛憎の渦絵巻が繰り広げられます。

NFLのスーパースター、だけど素行が悪くて評判の大男タイロンが、身重の新妻ジャメラと共に越してきた閑静な街。天才的なプレーヤーでありながら、暴力沙汰は日常茶飯、女性関係も派手であちこちに子供がいる悪ガキだった彼は、真面目な人間に生まれ変わろうと努力しているという。妻のためにも、生まれてくる赤ん坊のためにも、これまでのような人生はリセットするんだ、と宣言するタイロンでしたが、周囲はそう簡単に彼を信じません。


タイロンの豪邸には、夫妻だけでなく、タイロンの母、弟、従弟、妻の17歳の妹、妻姉妹の父・・・とたくさんの人が同居しています。それぞれにあまり誇れない過去を抱えていたり、ワケありの匂いぷんぷん。

でも17歳の義妹キニトラには生まれつき類まれな歌の才能があり、タイロンとしては彼女を大切に育ててスターにしたい、と思っているのでした。


ある夜、タイロンの家でパーティーが開かれて、そこでちょっとした騒ぎが起きます。

その翌朝、対岸の砂浜に溺死寸前の姿で流れ着いたキニトラ。ちょうど息子の恋人に会うべく、ドーセットを訪れていたミッチの両親が彼女を発見します。


一命をとりとめたキニトラでしたが、体は傷だらけで何度も性暴力を受けたあとがあり、おまけに妊娠していることが発覚。誰かからDVを受けていたのではと疑う周囲に対して、意識が戻った本人は決して相手の名前を明かさず、子供の父親とは恋愛関係にあると主張。でもそんな気配なかったけど?といぶかる家族たち。どうしたって「犯人」の容疑は自然とタイロンに向いていくのですが、「被害者」が「被害を受けていない」と言い張る限り、デズも捜査のしようがありません。


でもやがて、タイロンファミリーに関連する2人の人物が射殺される事件が発生します。

今度こそ動き始める警察。果たして殺人犯は誰なのか。キニトラに暴行を繰り返してきた相手とは誰なのか。一度「悪人」のレッテルを貼られた人間は、決して更生することはないのか・・・


結末はかなり哀しいです。ああ、そんなにしてまで・・・と残酷な終焉。

それでもドーセットの日常は続いていくし、デズとミッチも一進一退を繰り返しながら、いい関係を築いていくのでした。おしまい。