おやすみラフマニノフ | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

おやすみラフマニノフ [ 中山七里 ]
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「さよならドビュッシー」の続編ですね。ちょっとタイトルが安易すぎな気もするが・・・

コンマスのバイオリン工房に行ったら置いてあったので、借りて読みました。


音楽大学に入学し、得意の楽器を演奏してきた学生たちも、「将来」や「生活」を考えるとき、苦渋の決断に直面します。プロの音楽家として身を立てて行けるのはほんのひと握り。かろうじて音楽業界に潜り込める人もラッキーなほう。身を削る思いで畑違いの一般企業をめざしても、それらの企業からは一顧だにされない・・・


物語は、そんな音大で、ストラディバリのチェロが密室から盗まれる事件が起こることから始まります。事件が解決しないうちに、さらなる事件が発生。どうも何者かが、秋の演奏会を邪魔しようとしているらしい。晶はその演奏会でコンサートマスターとしてヴァイオリンを弾きたいし、学長の孫の初音も、チェロの腕を披露するべく張り切っている。けれど、オーディションで結成されたオーケストラは今ひとつ融和せず、指揮者の教授ともうまくいかないまま、時が過ぎていきます。やがてとうとう、エスカレートした「犯人」は殺人予告を・・・


前作同様、天才ピアニストの岬洋介が音楽でも推理でも活躍し、ひとりで事件の全容を解き明かしてしまうのですが、その「真実」というのが、あんまり腑に落ちないというか、「は?なんだそれ?」と思っちゃう。

「ドビュッシー」のときのほうが荒唐無稽ではあったけど、その分、「そーだったのか」というカタルシスが得られたかなあ。


あと、文中の音楽演奏場面が非常に細かいです。ピアノにしろバイオリンにしろ、評論家真っ青なディテールが畳み掛けられて、これ、クラシック知らない人には鬱陶しいんじゃないかな。

なまじ齧っている立場からいうと、演奏している本人が、理論バリバリの解説を心の中でつぶやき続けながら弾いている、ということにリアリティが感じられませんでした。

ラストも不満。次回作に期待します。