The Silver Linings Playbook | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

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映画がアカデミー賞にノミネートされて、ジェニファー・ローレンスが最優秀主演女優賞を取りましたね。

「世界にひとつのプレイブック」って、なんか変なタイトル(現題のシルバー・ライニングスは「ひとすじの希望の光」という意味)、ありふれたラブコメディーだと思っていたけど、時間つぶしにKindleにダウンロードしてあったのを読んだら、かなり面白くて一気に読みました。


主人公パットが、母に連れられて「悪い場所」(精神病院)を退院し、実家に戻るところから物語は始まります。映画版では最初から、彼がなぜそうなってしまったかが明かされてるみたいだけど、小説ではもろもろが伏せてあって、少しずつ少しずつ全容がわかるようになっています。


愛する妻ニッキとの「冷却期間」が明けたら彼女にまた会える、また一緒に暮らせる、ということだけを夢見て、パットは毎日すさまじい筋トレに励んで肉体改造し、入院前には見向きもしなかったフィッツジェラルドやヘミングウェイやサリンジャーを読み漁ります(英語教師でもあるニッキに認めて欲しい一心・・・)。


フットボールに熱中する父は口をきいてくれず、ニッキはいつまでも会いにきてくれず、孤独なパット。一人では買い物にも行けないし、ちょっとしたことで感情が高ぶり、暴れたり泣き喚いたりしてしまう彼は、まるで小さな子供のよう。新たな精神科医のクリフに少しずつ心を開き、友情を抱くようになりますが、なぜかケニー・Gのサックスを聴くと平静でいられなくなって、自分や他人を傷つけてしまう。自分が「悪い場所」にいたのはほんのわずかな期間だと思っていたのに、実は5年も経っていたんですね。ひいきチーム、イーグルスのスタジアムが変わっていたり、プレイヤーが入れ替わってるのもそのためだった。

親友には子供が生まれているし、弟ジェイクもどうやら結婚したらしい。でも自分とニッキの結婚式の写真が、家からはなくなっています。母に聞くと「泥棒に盗まれちゃった」というばかり。


読者には、何があったか知らないけどまあ、パットとニッキの復縁はありえないだろう、ということがわかるんだけど、当の本人は「そんなはずはない、映画は必ずハッピーエンドなんだ」と信じています。


やがてそんな彼を見かねて、友人が妻の妹ティファニへーをパットに引き合わせます。彼女は事故で夫を亡くして失意の日々。お互いつらい別れを克服して、うまくいくといいね、という善意だったはずが、これまた全く噛み合わない。日課のランニングに勝手についてきては、黙って後ろを走るティファニー。つきまとうのをやめてもらうために、彼女をデートに誘うパット。母にお小遣いをもらってレストランに行ったものの、お金が足りなかったらどうしようと不安になって、一番安いレーズン・ブランを注文しちゃいます。


ティファニーがダンスコンテストに出るために、パットにパートナー役を頼み、猛練習が始まるのがひとつの山場。でも、それでふたりの関係が好転してハッピーエンドになるのかと思ったら、また一山、二山。


終盤でパットはある事実を知って大きなショックを受けた上、暴漢に襲われ、身ぐるみはがれて雨の中に放置される目に遭います。もう絶望の淵。だけど、あるときすべての記憶がよみがえり・・・


七転八倒の苦しみを味わったパットとティファニーは、果たして幸せをつかめるのでしょうか!?