Stay Close | そういえば、昔は文学少女でした。

そういえば、昔は文学少女でした。

クリスマスと誕生日に一冊ずつねだった、「世界少女名作全集」。図書室の本を全部借りよう、と思ってた中学時代。なのに今では読書時間は減る一方。ブログに書けば、もっと読むかも、私。という気持ちで始めます。洋書から雑誌まで、硬軟とりまぜ読書日記。

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ハーラン・コーベンの「非・マイロンシリーズ」です。彼の作品では必ず誰かが失踪する、というパターンなんだけど、ここでも17年前の失踪事件が未解決なまま、新たな悲劇が!


郊外で暮らす専業主婦のミーガンは、愛する夫と生意気盛りの子供たちと、幸せだけれど平凡で退屈な日々を送っていました。彼女には秘密の過去があり、封印したはずのその過去の扉を開けてしまったことで、大きな危険に巻き込まれていくことになります。17年前、彼女の名前はケイシー。いかがわしい酒場で働く踊り子でした。そしてその頃夢中になっていた相手が報道カメラマンのレイ。


レイはレイで、素晴らしいカメラの腕前を持ちながらも落ちぶれはて、金持ちの少年少女を相手に「雇われパパラッチ」として写真を撮り、セレブ気分を味わわせてあげる、という仕事をしています。突然姿を消したケイシーへの想いにとらわれながら、浴びるように酒を飲み、時に完全に意識をなくす、ということを繰り返すレイには、17年前の「血の残像」を記憶から消し去ることができません。


ブルームは孤独な刑事。安定した仕事、家族を持ちながら突然行方不明になった男の事件を担当しますが、手がかりもないまま17年が過ぎました。それでも男の妻のもとへ足繁く通うのは、責任感なのか同情なのかそれとも・・・


17年の空白を経て、失踪事件に思わぬ展開が見られます。また一人、男が消えたのです。ふたつの失踪には奇妙な符合があったことから、ブルームが調べていくと、彼ら以外にも、忽然と姿を消した男たちがいたことがわかってきました。皆その時期が年は違っても2月~3月。そうか、マルディグラの日だ!


って、マルディグラって何?私はまーったく知らなかったけど、そんな祝祭日があったんですね。キリスト教系の移動祝祭日。そう、毎年違う日がそれにあたる、っていうのがポイントで、だからなかなか警察もパターンに気づかなかったということらしい。


さてさて、メインの3人に加えて、ケイシー(ミーガン)の夫や義母、かつての親友、レイの雇い主、ブルームの上司や別れた妻、それぞれの運命や事情が複雑に絡み合い、そこにサイコパスの若いカップルが乱入して、なんかもうすごいことになっていきます。作者にしてはバイオレンスがハード。


結局皆Closureが欲しいのよね。終わらせないと、次が始められない。


タイトルの「Stay Close」は、終盤である意外な主要人物が口にします。最後の最後に明らかになる真実には「えええええええ、そんなバカな」と思わないでもないけど、手に汗握るスリリングな時間を楽しみました