- 京極 夏彦
- 姑獲鳥の夏
遅まきながら、京極作品初挑戦。
新刊が出るたびに広告で見ては、「ああ、またタイトルが難しくて読めない(これは、ちなみに、うぶめ、と読みます)」と躊躇し、興味はあってもどうやって「京極世界」に入門してよいものか、遠巻きにしていた存在だったのですが。
実は周りにファン(?)が結構いたんですね。その中のお一人にお借りして読みました。(Oさん、長い間、ありがとう!!)
600ページ超、果たして読破なるのか。持ち歩けぬ重さゆえ、毎日ちょびっとずつ読んでいたのですが、後半に来て一気に加速、めでたく読了となった次第。
一年半前に密室から消えてしまった男。残された妻は妊娠二十ヶ月を超えても子供を産む気配がない・・・
こんな不思議な謎を、いったいどうやって解いていくのか?
でも京極堂は言うのです。「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君。」と。
子供の感想みたいですが、素直に「面白かった!!」
なんかもっとオドロオドロシイものを想像して敬遠していた自分を反省。戦後間もない昭和二十年代の東京なんて、記憶にあるはずがないのに、なんだかとても懐かしい。京極堂こと中禅寺や、狂言回しの「私」である関口、探偵の榎木津に刑事の木場、登場人物たちのキャラクターもしっかりしていて楽しめます。皆、清潔感というか、品格があってよいです。
精神世界とか妖怪の伝説とか、薀蓄がたくさん語られるけれども、それらが退屈ではなく、ちゃんと筋につながっていって、ちょっと賢くなった気分にもなれます(?)
愛読者の皆さんの間では常識なんだそうですが、作者は装丁や文字のフォントなどに対するこだわりも大変強く、特に私が借りたこの版はスペシャルな「四・六ハードカバー版」なんだとか。帯にも、『京極夏彦の職人仕事 読みやすい書体。美しい版面。京極世界の原点。』と記されています。確かに、いい感じで改行、改ページがされていて、とても読みやすいし、文字の感じもきれいです。
さて、二作目にいくとしますか。またOさん貸してくれるかな。