独立プログラム | ハンサムブログ
野生動物の雄が群れの中で成熟してゆき、やがて新たな群れを作るべく育ってきた群れを離れるとき、
成熟した若い雄は恐らく、父親に対して嫌悪と憎悪にも似た感情を抱くように、遺伝子の中にプログラムされているのだと思う。父もまた成熟した子に対し、生理的嫌悪感を抱くに違いない。
こうして自然な形で独立が成されるのが、自然の摂理なのだろう。

人間とて所詮は動物、この摂理からは逃れようもなく、それを不自然な形で歪めているのが、数世代同居という形なのだと、私は考えている。

いいえ、人間は思考と理性を持つ特別な存在なのだから、野生動物と一緒にされては困るという声はあちこちで聞く。

思い上がりも甚だしいと、私は思う。

雌もまた、若く成熟した雄の遺伝子を体内に受け入れる時、群れを離れずにまだ母の乳を追いかけているような雄など受け入れがたいだろう。
雄の母を生理的に嫌悪するのは当たり前だし、雄が母の乳を追いかける姿にも生理的嫌悪と憎しみを覚えるだろう。

もしも、同居が本当に成功している数世帯家族があったとしたら、これは精神的独立が親子ともども成されている場合か、もしくは若夫婦が何の疑問も持たずに子供のままで居続けているかのどちらかだろうと考える。
いや、もう一つ、親が雄雌として完全に枯れている場合もある。

父子の対立や、嫁姑問題などは、遺伝子に刻まれた独立プログラムだから、よほど上手にコントロールしなければ、暴走するのは当たり前だ。

前に、息子や母が薄汚いなどとショッキングなをこと書いて、読んで下さった方々を静かにドン引かせたように思うが、家族や親子の絆というものをことさら、神格化というか美化したくなかったのだ。

事実、家族というのは最も罪深い人間関係であるという事は、自分も含めて数多く目撃してきている。
多くの生き地獄が、家族によって形作られている。

動物本来の本能を、人間の知能から生み出される執着心で歪めることによる悲劇が、あまりにも多すぎる。

成熟しかかった息子と、一つ屋根の下に暮らすこの何とも言えない不快感を、息子の成長の証として、
正面から受けとめようと思う。

さらに、自分に執着し続ける母に対する妻の憎しみも同じようにだ。