先日地方紙の上毛新聞でとても残念な見出しが目に留まりました。
島村勧業会社関連のスレッドでもフォーカスしておりました、田島弥平氏の玄孫の田島健一氏が三日、大腸癌の闘病の末太田市内の病院にて死去されました。
84歳でした。
通夜は本日五日午後六時から、告別式は六日午後一時半から、埼玉県本庄市のさいたまセレモニーホール本庄で行われるそうです。喪主は次男英雄(ひでお)さんです。
この場を借りてご冥福をお祈りいたします。
表題の島村勧業会社 製造蚕種之章 チェーン刺繍 2です。
島村勧業会社製造蚕種之章(以下蚕種の章)はまさしく玄孫である田島健一氏が受け継ぎ大切に保管された資料のお持ち主です。
僕がGTVでこの蚕種の章の存在に気づき、群馬県の農政部蚕糸園芸課の蚕糸係長の岡氏を頼って、現在の持ち主に取材の許可を取り次ぎしていただきました。
とても親切な方で感謝しきりです。(*´∀`*)
その際にも岡氏からは持ち主の田島健一氏はご入院されていてと伺っていたので、お亡くなりになったという事はとても残念でなりません。
出来上がった刺繍は是非ご覧いただけたらと考えていたことでした。

製版用のトレース図案を印刷用に手直ししました。
偉い時間がかかりました……( ・`ω・´)ナン…ダト!?
ここまでするほど素敵なデザインだと惚れ込んでおります。(∀`*ゞ)テヘッ

今日はアトリエカノアンさんへ出かけてきました。
刺繍する生地と絹糸の打ち合わせです。
出来上がった図案も見ていただいて、何を作らんとしているのか大局で知っていただきます。

生地はせっかくなので土地の絹糸を使って織った物を使おうと決めていましたが、僕の予算と少量にて都合をつけていただくために、僕がどれほどの無理をお願いしているのかを打ち合わせで詰めてゆきます。
これは縮緬(ちりめん)の絹地です。着物でよく見かけますね。
ちょっと目指している物と違う。

こちらは絹の帯地です。
見て触った感じですぐにいいなと感じました。(゚∀゚)

当初は中野さんに座繰り(マユを煮て生糸をとる)をしていただいて、それを機織りしていただくつもりで居りましたが、やはりウン万円というお値段になってしまうので、すぐに方向修正します。
幸いこの帯地は桐生の機織りで作られたものでしたので、刺繍とも縁が近いし群馬一帯で盛った絹織物としては桐生織りは基幹産業でした。
『西の西陣東の桐生』って地元群馬では耳にしますけど、地方では認知度低いだろうな。
徳川幕府にも旗を納めたって有名な話なんだけど…
刺繍素材としてはかなり高額な生地ですが、小売りしていただけたということで言えば、刺繍もしっかりできそうだし( ・∀・)イイ!!味があって良かったです。
次は刺繍糸です。

チェーン刺繍は高速稼動しても針穴を通過させない構造なので、糸の撚りが甘くても刺繍ができます。
この撚りが甘い絹糸(製糸)はぬめっとした光沢感が素晴らしいです。(゚∀゚)
先の絹の帯地は紡糸で織られていて、マットな感じで光沢感がありません。
どう違うのか?
素材自体は絹100%です。
糸の作り方が違うので見た感じと触った感じが違います。
製糸というのはフィラメント(長繊維)で光沢があり、素材としてはとても高価◎。
紡糸とは紡績(短繊維を紡いで長い糸にしたもの)は絹自体は10cm(商品によって違う)程度の短い繊維を紡いで束にして作るので、製糸と比べて毛羽っぽく光沢がなくなります。
その特性を生かしてとても落ち着いた印象があります。
群馬では製糸の技術に特化していました。
というか国を挙げて製糸産業を立ち上げて間もないころで、まだ紡績技術が無い間は、製糸と蚕種だけ輸出していましたが、くず繭(製糸の品質に満たない物)などはタダ同然で輸出していたそうです。
(;´д`)トホホ…
大損していたんでしょうね……ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!
上毛新聞によれば、明治四年に岩倉具視を全権大使に、大久保や伊藤ら政府高官と留学生107人の岩倉使節団が、不平等条約改正の交渉と西洋文明の視察の為、アメリカ、イギリスに向かいます。
19世紀後半に英仏瑞(スイス)で発展した紡績技術を見て驚いたとありますから、日本へ帰り絹糸紡績工場『官営新町くず糸紡績所』を立ち上げました。
新町(しんまち)は、群馬県多野郡にあった町。現在は高崎市の一部です。
日本最初の紡績工場です。ォオー!!(゚д゚屮)屮
製糸場は群馬県富岡製糸場が日本最初です。ォオー!!(゚д゚屮)屮
こう取り上げると群馬というところは明治のころは、日本の基幹産業の中心地だったわけですよね……ォオー!!(゚д゚屮)屮
世界遺産として日本が辿った文化を残そうというのもうなずけます。
(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) ウンウン
という訳で話がそれましたが、生地は紡績された絹で刺繍は製糸された絹糸を使います。
あ、これ別に決まりじゃありませんよ。
短繊維の落ち着いた感じが良いとすれば、刺繍糸にフィラメントを使わずスパン(短繊維)を使います。
ようは目指している方向次第です。

糸は刺繍の内容によって太さを吟味しないといけません。
蚕種の章では蚕蛾とマユのところに多用されている罫線がとにかく細かいです。
これはある程度は再現するとしても、大幅に簡略化をしないと真っ黒になってしまいます。
チェーンは輪っかになっているので、一本刺繍すると糸2本分は確実に太くなります。
また丸いため図案表現が大雑把になりがち。
この辺横振りとは異種と感じますね。
全体的な雰囲気として、黒は太い糸と細い糸の二種類を座繰りをお願いして、蚕蛾とマユの白と旭日風の模様の朱赤は太い糸にお願いします。
糸の太さ(厳密には重さね)はこれでよいとして、お願いする量は1色1カセ(画像のような状態の糸をカセ糸といいます)でお願いします。
1カセでおよそ1,200mほどなので1枚は確実に刺繍できると思います。
半分くらいで収まってくれたらもう一枚作ろうかと思っています。

染をどうするか現在保留です。
赤は草木染だとベニバナを使わないと色が出無そう…
という事で予算がトンデモナイことになりそうなので、化学染料にしようと決めています。
改めて糸の打ち合わせが済んで、蚕蛾や繭の部分の罫線がおよそどんなことになりそうなのかがはっきりしました。
という訳でこの部分のトレースは改めて修正しなければなりません。_| ̄|○
刺繍サイズがあと2倍、もしくは3倍ほど大きければ、採算ど返しですべて刺繍してやるのだが……(・д・)チッ
出来上がった刺繍は、蚕種の章の持ち主であった田島健一氏に寄贈しようと考えています。
そういう意味でも常識的なサイズじゃないと、処分に困るでしょうし…(;´∀`)
糸の準備ができ次第刺繍に入ります。
それは3にてまた追々。
それではまた次回
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