TREASURE ES-1114-1 メンテナンス | HANDLERのブログ

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こんにちはHandlerです。

タイミングを逃していた、チェーン刺繍ミシンのメンテナンスの巻です。

表題のTREASURE ES-1114-1はSINGER-114W103をコピーしたミシンです。

114W103が環縫いのオリジナルと思っていたのですが、あるサイトではCORNELYのスタイルを真似たような表現がなされている。

あれかな、CORNELYは“10”高速ヘムステッチミシンを除いて、皆ハンドルが付いているから、このハンドルのスタイルを真似たという意味だろうか?φ(゚Д゚ )フムフム…

114W103は1911年頃初期モデルが出ている。
CORNELYのパテントは1860年代だから、このパテントが切れて1910年頃に模倣するのは、時系列的に一致するね。

CORNELYからは環縫い(チェーンステッチやシニール)は出ていないから、ミシンスタイルを真似て新たなステッチ(チェーンステッチやシニールステッチ)を開発したという事だろうか。

僕なりの推察です。これ、有識者の話を伺ってみたい。( ゚д゚)ノ ハイ!シツモーン!



それはそうと、ウール物やスパン系糸を使った後はメンテナンスが必要になります。
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これは114W103でも同じこと。

つくりは同じなので機械を触る部分も同じです。


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*押え金
過去スレで押え金のゴムスレッドを立てました。
押え金は生地を送り出すためのパーツです。生地を掴むため接地面にはゴムリングを装着します。これは消耗品。
使用頻度によっては長く使えるものですが、スペアは用意しておきたいパーツです。

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向かって左がオリジナル。真ん中が現行の押え金。右がシニール用の押え金。

オリジナルと現行品はサイズが違うんですね。
TREASUREの製造元である奈良ミシン工業㈱は、昨年だったかな?無くなってしまい、ライセンスは台湾企業に譲渡されました。
よって部品供給は輸入をしなければなりません。
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径が小さいオリジナルと現行の大きいサイズでは、特に目立った仕上がりの差はありません。
稼動状況でも気になるおかしな動きもないです。

オリジナルのゴムリングの入手が困難になったので、現行品の押え金と、ゴムはある程度まとめて輸入してあります。

ゴムが擦れて摩耗するとちょっとした負荷がかかると、生地が動かなくなってしまいます。
チェーンリングのピッチが揃わなくなってくる症状が出るので、交換時が分かります。
この症状はある部分のオイル切れでも起こるので、休んでいるときはオイリングを忘れないように気にしておきます。

ゴムのスペアが無いときは、押え金からゴムリングを取り外し、裏返して再度取り付けてもOKです。ただ押え金の内径の金属部がゴムと同じ高さになってしまっている場合は、すぐに取り換えが必要です。ある程度刺繍できていても、金属が生地を傷める原因になります。
レーヨンカルゼなど比較的弱い織り地は、かなりやばいです。(lll゚Д゚)ヒイィィィ!!

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このギザギザな押え金はシニールワッペンなどのパイル用の押え金です。
刺繍して立てたループを出来るだけ潰さないように配慮された形状です。

そういえばチェーン刺繍ばかりで、シニール系のスレッドが無かったですね、近いうちにアップします。
シニールは公称がいくつかあります。

シニール
サガラ
パイル

それぞれ厳密には違う物ですが、僕のお仕事でこの単語が出るとすべて同じものと解釈します。
この辺は次回スレで詳しく。


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今回の主要メンテナンスパーツである、『ニップル』です。
針棒の先についた糸口です。
ねじ込み式になっているので、左にねじって外します。

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どれどれ…ミ´ー`彡キタネーヨ
思った通りです。糸毛羽とオイルで汚れていました。

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続いて板を取り外します。
ミシン台下にあるネジを左に回して取り外します。

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こちらはそれほどでもありません。

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針の真下にあるのが『ルーパー』で、こいつがリングを作るためのパーツです。
ハンドルの回転と連動してこのルーパーも同じ方向に回ります。

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綿棒で綺麗に拭ってあげます。
仕上げにダスターで塵を排除します。`;:゙;`;・(゚ε゚ )フーッ!!フー!!

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うわー(;^ω^)
スゲ━━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━━!!!!
まぁ汚いものじゃないから幸いですが、これ以上は放置できないレベル。

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スッキリ綺麗に掻き出したら、ニップルもダスターで仕上げします。`;:゙;`;・(゚ε゚ )フーッ!!

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板を再配置して、プーリーを手動で回して針を降ろします。
穴の中心に針が入るように調整してネジを締めます。
こういった一連の作業をするときは、必ず電源を落としましょう。


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最後に押え金を取り付けて完了です。



扱う商品や材料によっては、半年やらなくても綺麗なときもあります。
刺繍の仕上がりに支障が無い場合は半年に一度の掃除でも良いかも。毛糸やフェルトなどたくさん刺繍しますと掃除の頻度は格段に上がります。

個人的にあまり頻繁にネジ物はちょくちょくいじりたくないイメージがあります。
ネジが緩みやすくなったり、締めも頭なめてリスキーなケースありますものね。


って、こんな特殊なミシンのメンテナンススレ、だれが喜ぶんだろう…( ゚д゚)ハッ!
Ψ(`∀´)Ψケケケ
ま、刺繍物に目が無い人には、たまにはこういうスレも良いか。
ハンドメイドは手がかかります。
やっぱり古いミシンですから、大事にしないとね。

良いミシンなのに海外資本か…残念だな…ウウ。゚(゚´Д`゚)゚。

古き良きものっていったいなんなんだろうな。

良いものなのに無くなってしまう。


それではまた次回