雨のあとに虹・Part2 その85
「何所か見たい所はあるかい?」
俊之が五輪施設の外を歩きながら言うと
「北京の文化が解かる場所をこの目で見たいです。」
久美子は俊之の横で言った。
「中国語が解らないので英語の看板を見ながら行くよ。」
俊之が言うと
「俊さんは李先生とは日本語で話をしたのですか?」
久美子は言った。
「李先生は英語と日本語が話せるから日本語で話をしたよ。」
俊之が言うと
「私は英語もダメですよ。」
久美子は言った。
「日本人の観光客や五輪関係者に報道陣も近くにいるから大丈夫だよ。」
俊之が言うと
「私がご案内しましょう。」
物陰から出て来た大輪は言った。
「大輪さん。」
俊之が言うと
「北京は私の庭みたいなものですよ。」
大輪は表情を出さずに言った。
「日本語が話せるのですか?」
久美子が驚いて言うと
「李先生の門下生は全員日本語が話せますよ。」
大輪は言った。
「それは知らなかった。」
俊之が言うと
「私は日本人が嫌いですけれどね。」
大輪は俊之から目を逸らせてから言った。
「日本国警視庁の桜田です。」
桜田が英語で言うと
「北京警察の林です。」
林も英語で言った。
「こちらは同僚の菊池です。」
桜田が言うと
「菊池です。」
菊池は英語が話せないのために日本語で言った。
「菊池は英語が話せないので失礼しました。」
桜田が言うと
「それは気にしないでください。」
林は笑顔で言った。
「日本と中国の間には犯人引渡し条約もないのですからふたりを日本に返してほしいと言える立場
立場ではないと言う事は解っていますが無理を承知でお願いに上がりました。」
桜田が言うと
「どのようなお話でしょうか?」
林は桜田の目を見て言った。
「今日は健春さんの案内で楽しく北京を街が見られましたよ。」
レストランで夕食をとりながら立花が言うと
「健春さんはユーモアもあって楽しい方ですね。」
直子も紹興酒を飲みながら言った。
「健春さんは日本語も上手ですぐにお友達になれましたよ。」
陽子が言うと
「みんなが楽しく観光も出来てよかったよ。」
俊之は烏龍茶を飲みながら言うと
「私たちは大輪さんが案内してくれましたよ。」
久美子も烏龍茶を飲みながら言った。
「あいつがですか?」
立花は箸を止めて言うと
「失礼な言い方はいけませんよ。」
陽子は立花に言った。
「大輪さんは私たち日本人が嫌いなのでしょうか?」
直子が言うと
「第二次世界大戦中の出来事を聞かされているみたいだからね。」
俊之は言った。
「戦争は罪がない人も不幸にしますね。」
久美子が言うと
「戦争は基本的にやるべきではないよ。」
俊之は言った。俊之たちに落着いた時間が流れていきひとつの何かが始まる予感が久美子と陽子にだけが感じていたのであった。
雨のあとに虹・Part2 その84
「直子さんが本当の事を言うからどうなるかと思いましたよ。」
立花がラウンジで珈琲を飲みながら言うと
「育子さんには本当の事を言った方がいいのよ。」
直子は平然として言った。
「私も育子さんに黙っていた事を後悔しましたよ。」
久美子が言うと
「僕も判断を間違えていたようだね。」
俊之は言った。
「私たちの事を聞いてから育子さんの表情が変わりましたね。」
陽子が言うと
「明日は育子さんがゆき乃さんの分までがんばってくれますよ。」
直子は言った。
「育子さんには私たちがついています大丈夫ですよ。」
久美子が言うと
「明日は全員揃って育子さんを応援する予定だよ。」
俊之は言った。
「全員で応援すれば育子さんも心強いはずですよ。」
陽子が言うと
「翔ちゃんたちにも応援に来てもらおうよ。」
俊之は笑顔で言った。
「困った事になったね。」
岸田は電話の向こうにいる桜田に言った。
「国分と三田は昨夜に我々の目が届かない所で何かをしたようです。」
桜田が言うと
「日本と中国には犯人引渡し条約が締結されていないからあとが厄介だね。」
岸田は言った。
「元SITの笹川がついていたはずですから心配ないと思っていましたがかなり苦戦したようですね。」
桜田が言うと
「中国に欧米流のやり方で対応してもうまくいかないよ。」
岸田は言った。
「我々も北京警察に粘り強く交渉します。」
桜田は元気がない声で言った。
「ここは高村俊之と言う男にかけてみないか?」
岸田は落着いた口調で言った。
「それはどういう意味でしょうか?」
桜田は言った。
「高村俊之さんは加納五十次さんよりも闘真拳を極めていて李和平先生や門下生が協力してくれるはずだと言ったのは君だよ。」
岸田は静かに言った
「サッカーの三田選手がそんな事を仕組んでいたの?」
育子は珈琲を飲みながら言った。
「翔ちゃんが言うのだから間違いはないよ。」
俊之が言うと
「以前に育子さんが私にしつこく付きまとっている三田選手を懲らしめてくれたのが原因みたいですよ。」
久美子も珈琲を飲みながら言った。
「国分さんと交換犯罪をしたと翔ちゃんが言っていたよ。」
俊之も珈琲を飲んで言うと
「ふたりとも卑怯な方法を使うのね。」
育子は憩ったような表情で言った。
「直子さんは平然としていましたね。」
久美子は言った。
「川嶋さんと立花さんは危険な目にあってショックだったと思うよ。」
俊之が言うと
「三人はどうしたの?」
育子は心配そうな顔で言った。
「李先生の門下生である健春さんの案内で街を見ているよ。」
俊之が言うと
「私たちも施設から出てどこかを見て回りませんか?」
久美子は言った。
「ふたりでゆっくり見て来てよ。」
育子が微笑んで言うと
「育子さんはゆき乃さんの分までがんばってください。」
久美子は言った。
「ありがとう。」
育子は微笑んでから言った。
雨のあとに虹・Part2 その83
「我々は正当な捜査としてあなたに聞きたい事があります。」
林が言うと
「俺には話す事は何もない。」
国分は言った。
「それは本当でしょうか?」
野次馬の視線を受けて林が言うと
「俺は悪い事はしていないではないか?」
国分は叫ぶように言った。
「それはおかしいですね?」
林が言うと
「俺は嘘を言っていない。」
国分は言った。野次馬の中には多くの日本人もいて国分を見ていた。
「あなたのお仲間の三田人志さんと青い龍からは罪を認める供実が取れています。」
林は言った。
「あいつらは捕まったのか?」
国分が言うと
「警察に自首して来ました。」
林は言った。
「どうしてあいつは自首をしたのだ?」
国分は理解に苦しんで言った。
「我々の国にもいろいろな事情がありましてね。」
林は言った。
「三田まで自白をしたのか?」
国分が言うと
「それは署内で話をしましょう。」
林は国分を諭すように言った。
「困った事になりましたね。」
桜田は人混みの中で菊池に言った。
「どうして北京警察があのふたりを逮捕したのでしょうか?」
菊池が言うと
「日本のマスコミに知られたらとんでもない事になりますね。」
桜田が言うと
「みなさん驚かせてすみません。」
健春が大きな声で言った。林はすでに国分を連れてパトカーに乗っていたのである。
「何かあったのですか?」
泰子が言うと
「これは秋から始まるテレビのドラマの撮影です。」
健春は大きな声で言った。関口は泰子の横で黙って立って聞いていた。
「それでは秋から楽しい刑事ドラマが始まるのですね?」
泰子が言うと
「まだ詳細は明かせないですが楽しみにしていてください。」
健春は言った。
「私は事件かと思いました。」
泰子が言うと
「以上で撮影が終わりました。」
大輪は大きな声で言った。
「お騒がせしてすみませんでした。」
健春も大きな声で言うと人混みの中にいた報道関係者たちはがっかりした表情で去って行った。
「これは日本に対する配慮でしょうか?」
菊池が言うと
「そんなに甘い考えでは国際社会に通用しないですよ。」
桜田は考えてから言った。