淡い黄色のロウバイが、公園に春を呼ぶ…はずが⁉ | 季節の花と短歌と共に

季節の花と短歌と共に

 このブログでは、私の住む横浜市旭区にある「こども自然公園」で、散策をしながら見つけた季節の草木に目を向け、紹介していきたいと思います。さらに、植物に対して感動、感謝や感情を込めて、拙い自作の短歌を共に載たいと思います。

  こども自然公園にも、いよいよ春が!

 2月も、後半になり、もう直ぐ3月というところまで来ました。この時期の天候を表す言葉に、”三寒四温”というものがあります。三日寒くその後四日暖かい、そして徐々に春になる、という意味ですね。今年の、2月はどうでしょう⁉三寒四温というより、‘‘四寒五温”、または”一週寒一週温”と言った感じがしました。いやいや"一寒一温"の時もありました。晴れた時には、25℃を超えることがあったと思うと、その後急に寒くなって雪になったりしました。こうなると、体温の調節が難しく、人間ならば体調を崩したり風邪をひいたりしがちですよね。植物にとってはどうなのでしょうか…⁉ 昨年に書いたロウバイのブログは、2月10日にアップしています。しかし、今年もロウバイの脇を散歩やランニングしながら、ちらりと横目で見て観察していましたが、同じ日で見ると今年は、一部花は咲いていましたが、蕾の方が多い状態でした。そのために、昨年よりも2週遅れのアップになりました。それにしても温度の差が大きいですよね。先日の2月18日に自分がシニアサッカーでゲームをした時には、暑くて伸びそうになりました。でもその後は、1週間ずっと冷たい雨でした。今年も、2月ですでに”異常気象か…⁉” この先も心配でなりませんね。そんな状況でようやく公園のロウバイも咲きだしたかな…と楽しみに見に行きました。するとどうでしょう、花が所々についているだけ…⁉ びっくりです。あれ、いつの間にかに咲き終わったのかな、自分が見落としただけなのか、それともあの蕾から少し咲いた状態で終わってしまったのか。時期的にはこれから咲き出すとは考えれれません。一体どうしたんだろう…⁉ いやあキツネにつままれた感じで、自分の中でも気持ちが整理がつかない感じです。蝋梅は、ロウバイ科、ロウバイ属の落葉灌木で、中国原産です。その名は、花が蝋細工のような光沢のある梅に似た花であるところからきています。本来であれば、もう少し前の1月~2月頃葉に先だって香気のある花を咲かせます。それで「こども自然公園でもやっと春が来たな」となるはずでしたが。「待ってました」となるはずが…‼

 

ロウバイは、冬の花それとも春の花…⁉

 ロウバイの花に関いては、上記の通り昨年の2月のブログでも紹介しました。重複する内容があるかもしれませんが、お許しください。何しろ、季節は巡るものなので。さて、冬期に花を咲かせる蝋梅は、俳句の季語としても使われています。ところで、俳句でロウバイの季語はいつでしょうか⁉間違いなく、夏や秋ではありませんね。季語として使われる「蝋梅」は、”春”ではなく、晩冬(冬の終わり)を表しています。因みに似たような時期に咲く「梅」の季語は、”春”になります。ただし、寒梅とか早梅などは、”冬”の季語になるそうです。ここで、ロウバイを題材にして作られた俳句を紹介します。小説家として知られる芥川龍之介は、「蝋梅や 雪うち透す 枝のたけ」という句を作っています。晩冬に降った雪と蝋梅とが、対比というより重なり合った透明感、美しさがよく表された一句だと思います。そのほか、多くの文豪、俳人が蝋梅を季語に使った俳句を作っています。「蝋梅の つばらに空の 凍てにけり」(石原舟月) 「蝋梅の かをりやひとの 家につかれ」(橋本多佳子) ところで、和歌にはロウバイは詠われているでしょうか。ネットで調べたところによりますと、「中国原産。彼の地では古くから梅・水仙・山茶花(日本の椿)と共に『雪中四友』の一として画人文人に愛されたが、日本に入ったのは遅れ、江戸時代になってからという。『原色牧野植物大圖鑑』は後水尾天皇(在位1611~1629)の時代に朝鮮から渡来したとする。貝原益軒の『花譜』(1694)を見ると『此花近年唐より来りしにや、いにしへには是ある事をきかず。今も世人あまねくしらず』とあり、元禄時代になってもまだ珍しい木であったらしい。」ということでした。つまり、中国原産のロウバイが日本に来たのは、江戸時代中期ということです。ですから、詳しくは分かりませんが、和歌が詠まれた奈良・平安の時代の和歌には出てこないということでしょうね。遣隋使や遣唐使達は、中国からいろいろなことを学んで、種々の物を持ち込みました。それらの中には植物の苗木や種もあったと思いますが、でもその中にロウバイは含まれていなかったのでしょうね。明治以降に詠まれた短歌にはロウバイは出てきます。更に、ロウバイのように中国では花弁、花芯まで同じ色の花を”素心”というらしいです。ここで言う”素心”とは、平生のおもい、かねての心、素志という意味です。一点素心という言葉も中国にはあって、「人間らしく生きるためには、ほんのわずかでも純真な心をもつ必要がある。」という意味で使われています。幕末の馬関の開港のころ、高杉晋作が作った漢詩にも素心が使われています。<次悠々道人韻 高杉晋作>「詩酒悠々宜送日 男児成事豈無時 縦令市井呼侠客 一片素心未敢差」 この詩は「酒を楽しむひとときが日常に美しさをもたらすことを讃えています。男児は機会を逃さずに成功を収めるべきであり、市井の人々も心の純粋さを失わずに生きるべきだ」と語られています。ロウバイの花が、雄しべも、雌しべも、花びらも全て黄色で美しく彩られている様子から、その純粋さ純真さをイメージして、作られた漢詩かもしれませんね。実に見事な漢詩だと思います。一方で、色や香りを楽しめるロウバイですが、実には注意が必要です。蝋梅は開花後に実をつけます。楕円形の独特な形をした実の中には種子があり、庭などに蒔くとのちに発芽します。この蝋梅の実や種子をとる分には問題ありませんが、有毒なので食用にするのは危険です。蝋梅に含まれる有毒成分カリカンチンは、人や動物に強直性けいれんなどを起こすことがわかっています。絶対に口にしないようにしてください。やはり、「美しい物には毒がある」ですね。                         (写真は昨年のものです)

 

<一首>ロウバイの 淡き黄色に 伴いて

    嬉しからずや 春が来りぬ