秋の七草の代表選手の、ハギ‼ | 季節の花と短歌と共に

季節の花と短歌と共に

 このブログでは、私の住む横浜市旭区にある「こども自然公園」で、散策をしながら見つけた季節の草木に目を向け、紹介していきたいと思います。さらに、植物に対して感動、感謝や感情を込めて、拙い自作の短歌を共に載たいと思います。

  気が付けば、ハギが咲いていた…⁉

  

 皆さんは、春にも秋にも季節を代表する”七草”があることは知っている人は多いと思います。でも、秋の七草を言えますか。春の七草の方が有名なので、全部言える人も多いと思います。復習すると、春の七草は「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」になります。ちょっと聞いたことないなと思う人もいると思いますが、これは少し古い呼び方だからかもしれません。ナズナはぺんぺん草、スズナはカブ、スズシロは大根と言えば、「あ~それなら分かる」という人も多いと思います。どれも春先に、道端の土手や田んぼの畦道、そして作物を植える前の畑等に良く見られる植物です。そして秋の七草はというと「ハギ、キキョウ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、オバナ、ナデシコ」になります。オバナはススキのことですね。春の七草は、背の低い草が多いですが、秋の七草は、夏に伸びきった比較的背の高い草木が多いですね。その中で今日紹介するのは、秋の七草の一番手のハギです。秋の七草の一つであるハギは、『万葉集』に最も多く詠まれていることからも、古くから日本人に親しまれてきた植物だといえます。ハギの仲間は種類が多く、刈り込んでも枝を1m以上伸ばすほど生育おう盛です。枝垂れて、晩夏から秋にかけて、多数の赤紫色の花を咲かせるのが特徴です。ハギは漢字で”萩”と書きます。当に”The 秋”です。しかし、実は、ハギは花期が長く、信じがたいのですが早いものは6月頃咲きだしているのもあるくらいです。

 

  ハギは、仲間の総称なんだ…‼

 

 植物の中には、ユリ、ランやツツジは、特定の種類の植名ではなく、多くの仲間の共通の特性をもつグループの総称です。それと同じように、「ハギ」というのも、ヤマハギやマルバハギ、ケハギなどの野生種や、その園芸品種の”総称”として使われています。なかでも最も広く栽培されるのが、ミヤギノハギです。これは、公園でも見かけられます。刈り込んでも枝を1m以上伸ばすほど生育おう盛です。枝垂れて、晩夏から秋にかけて、多数の赤紫色の花を咲かせるのが特徴です。また、ハギの仲間の大きな特徴は、背の低い落葉低木ではあるけれども、木とは言い難いところです。茎は木質化して固くなるけれども、年々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出て、直立せずに、先端はややしだれるところです。ハギは、一見草のように弱弱しい感じがしますが、実は昔から実用的に利用されてきました。ハギは、マメ科植物です。ですから特有の根粒菌との共生のおかげで、痩せた土地でも良く育つ特性があります。この特徴のおかげで、古くから道路斜面、治山、砂防など現場で緑化資材として活用されてきました。現在では、ヤマハギ、メドハギの種子が、斜面緑化のための吹付資材として用いられているということです。更には、マメ科なので家畜の飼料としても利用されました。現代では、外国から輸入された配合飼料が中心ですが、戦後まもなくまでは、家畜の冬季の資料として、萩の葉が利用されました。秋に山から枝ごと刈ってきて、乾燥させて葉だけを取り、干し草などに混ぜ込んで与えたということです。マメ科だけに栄養もありそうですね。文化的にも、とても親しまれました。昔より、短歌や俳句も題材になり、絵画や着物、工芸品のモチーフにもなりました。日常の生活の中でも密着していますね。花札の中にも萩が出てきます。しかし一番は、何といっても”おはぎ”でしょう。もち米のおにぎりの周りにあんこを付けた例の物。お彼岸にお供えをしますが、季節に合わせて呼び方の名称が変わります。春は場単の季節だから、”牡丹餅”から”ぼたもち”とよばれ、秋は萩の季節から”おはぎ”と呼ばれます。しかし、おおかたの人は、春でも秋でも”おはぎ”と呼ぶことが多いのではないかと思います。

もしかしたら、風流な言い方は、春ならば”シャクヤク餅”、秋ならば”餅”となっていたかもしれませんね。いずれにしても、派手さはないが、身近に浸透し密着した萩。万葉の世から今日まで、人々を魅了してきた萩。マメ科だけに、弦のように何と繊細でしかしながら力強い植物なのでしょう。不思議な花ですね…‼   

 

<一首>万葉の 御代より人を 魅せし萩

    秋の夜長も 月の照らされ