花より目立つ赤い実が圧倒的存在感のナンテン…‼ | 季節の花と短歌と共に

季節の花と短歌と共に

 このブログでは、私の住む横浜市旭区にある「こども自然公園」で、散策をしながら見つけた季節の草木に目を向け、紹介していきたいと思います。さらに、植物に対して感動、感謝や感情を込めて、拙い自作の短歌を共に載たいと思います。

  花の無い冬の公園でも

 毎日のように、散歩やランニングのために、こども自然公園(通称:大池公園)に行っていました。しかし、寒さが本格化し公園の植物で花を咲かせるものが少なくなってきてからは、少しずづ公園に行く足が遠のいてきました。行けば行ったで、花は無くとも、葉の色の変化や、木の実の色や形などをに新たな発見もあります。そんな時には、思わずスマホで写真を撮ったりしています。公園の植物は、芽から花へ、花から実へ、緑から黄色へ赤へ、繁茂から枯れ枝へ、そしてまた新芽と移ろう中で、いろいろと変化が見られます。普段はほとんど気にしないで見過ごされてしまう変化も、意識してみていくと、新たな発見をすることが多々あります。そして、植物の智慧の凄さや「お前も、一生懸命に生きているんだな」と教えられることもたくさんあります。そんな発見やきれいなもの、かわいいもの、不思議なもの等々を発見した時には、藪の中に入り込んでいったり木に近づいて行ったり、時には何の変哲もないような雑草に近づいて行ったりして写真を撮ったりします。他の人が見たら「こんなところで何しているの⁉」と思うかもしれませんね!それほど植物に私は魅せられてしまっているのだと思います。そんな、そんなこと思いながら公園を散歩していると、ある一角に、赤い実がたくさんとなっていました。昼でも少し薄暗くて鬱蒼とした森の中の一角に、赤く丸くて小さい実を付けた植物がたくさん茂っていました。「これはすごいな。ここまでくると、綺麗だな」と思わず気をひかれ、藪の中に入り、スマホで写真を撮りました。今日紹介するのは、ナンテンです。

 

  日本では、幸福を呼ぶ木⁉

 ここは、ちびっこ動物園の裏手の道からちょっと奥まった森の中に見られた”ナンテンのジャングル”でした。普通は、民家の庭で1,2本植わっているとか、玄関先に1鉢置いてあるという感覚でいました。しかし、ここで見たナンテンは、何本も競って生い茂っていて、木の実がたくさん真っ赤になっていたので、まるで”ナンテンのジャングル”か”ナンテンの赤い実が、木の上で爆発して飛び散っている”という表現が相応しいくらいでした。逆に言うと、そのくらい繫殖力が強いのでしょうね。私の、家にもナンテンがあります。それは、私が植えたものではありません。隣のお宅のナンテンの紅い実が落ちて、それが発芽したものです。また、別のところには、きっと鳥のフンに混じっていた種から芽を出したものではないかと思われるナンテンもあります。その生命力の強さには驚かされます。”ナンテン”は関東以西の本州、四国及び九州に分布するメギ科ナンテン属の常緑低木と言われています。和風庭園の定番であり、赤い果実や紅葉を観賞するため、古くから庭木、盆栽、正月の床飾りなどに多用され、江戸時代には数多くの品種が作出されたと云います。日本以外では中国やインドに自生しています。基本的に暖かいところを好むのでしょうね。日本に生えるナンテンの起源は不詳であり、中国中南部及びインドの暖地にあったものが薬用として持ち込まれ、その後に野生化したとする説や、空海が唐から持ち帰ったナンテンの杖を石垣に突き刺したものが根付いたとする伝説などがあります。ナンテンという名前は、中国名で食堂の灯りを意味する「南天燭(ナンテンチュー)」に由来し、果実に野鳥が集まることを意味するという説、あるいは、複数の幹が乱立する様を竹に見立てた「南天竹」に由来するという説があります。そして、日本では漢字の読みが「難転」に通じるという語呂合わせにより、江戸時代から縁起の良い木とされ、火災除けや魔除けのため玄関先、トイレ付近、鬼門の方角に植えられ、その名残が今日でも各地に見られます。ナンテンは、実は勿論のこと、葉も先端の方が紅葉します。全体に赤く紅葉する物もあります。 当に、この時期にふさわしい縁起物の木と言えますね。

 

  ナンテンは、観賞用だけではない!

 冬のこの時期に、咳がよく出ます。その時によくのど飴をなめたりします。”南天のど飴”というのもありますね。そうです。ナンテンには、薬効成分が多く含まれています。ナンテンは中国原産の植物ですが、果実を咳止めに用いるようになったのは,中国から伝わった知識ではないようです。漢方処方には用いられず、民間薬的に単独で使われています。ナンテンエキスを配合したのど飴が有名になって需要が増し、薬用向けに国内生産や輸入量が増えました。また、ナンテンの葉には防腐効果のある成分も含まれるため、赤飯やおせち料理の上に載せると長く食材を持たせることに役立ちます。鎮咳作用や防腐作用もある優れものだったのです。実や葉に接触した程度では問題ありませんが大量に摂取すると毒性が現れますので、大量に口にするのは避けた方がよいです。ナンテンには、葉も幹も水銀などの毒に触れると変色するために、殿様の食事の際の毒見に使われたという話もあります。

 ナンテンの真っ赤な実は、季節感あふれるアクセントになります。部屋に飾るだけでなく、実のついた枝を手折って箸置きにもします。新たな年の「難を転じる」よう、思いを込めたお正月のおもてなしには風情があっていいですね。

 

ナンテンの花言葉は…⁉

 南天の全般的な花言葉は、花や実の色によって違います。ナンテンの花は、白くて可憐な花が咲きます。その「白い花」が持つ南天の花言葉は、「深すぎる愛」「機知に富む」「募る愛」という意味を持っています。赤い実が実る前の、情熱的な思いが蓄えられていますね。「赤い実」が持つ南天の花言葉は、「幸せ」「私の愛は増すばかり」「よき家庭」という意味を持っています。恋が成就した後にふさわしい意味を持っています。また、白い実のナンテンもあります。自生する白南天は希少で、目にすることも少ないとされています。見つけた方は、とても強い運の人かもしれません。直径数ミリ程度の白い実をつけますが、葉が赤南天のように紅葉しないという特徴があります。白南天の花言葉は「募る愛」「機知に富む」「深すぎる愛」です。いずれにしても、南天の花言葉はポジティブなイメージのものが多いです。春に咲いた花が実となり熟していく姿から深まる愛情を連想させます。

 花の少ない冬の時期に、このナンテンの紅白の実が、私たちをいろいろと楽しませてくれ、「今年も1年間頑張りなさい」と励ましてくれているようですね。
 

<一首>

しんしんと 凍てつく冬に ナンテンは   赤白そろい 幸よぶ木かな