お菓子工場と居酒屋。ダブルワークはきつかった。二つ目のバイトの居酒屋の終わりごろが、一日のうちで最も疲れてくる時間である。
「留学したい」 いつかの留学を夢見て、ここ何年か過ごしてきた。
「アンタなんか、一人前じゃナイ。就職しなさいッ」何度母親になじられたことだろう。
毎日、居酒屋が終わって、明け方電車で帰ってくる時、むなしかった。同じ方面の電車で帰る同じバイトの女の子は、まだ10代だ。
「なあ、吉田っていくつ?おまえ、30だろ?」
などと言ってくる大嫌いな主任。失礼な!まだぜんぜん20代だ。自分でしょ、30代は。だけど、私はもう10代ではない。
アルバイトの平均年齢ってわからないけど、きっと、バイトするにはもう年なのかもしれない。だけど、同じ歳の子もいたし、30くらいの人もいた。最近、年齢を隠すようになってきた。だって、年齢で人格を判断されるのが嫌だ。
「失礼ですけど、おいくつですか?」と聞いてくる人は日本には本当に多い。
テレビで日本人のタレントが、通訳さんを通して、ハリウッドスターに年齢を聞いているのを見たりするけど、あれは絶対にやってはならないことだ。欧米では年齢は関係ない。関係なくても、それはプライバシー。聞かないのが常識だ。無論、就職の面接でも、答える必要はない。
こうしている間も、弟はアメリカで勉強している。
それにしても・・・・だ。まず、学校すら、どう選んでよいかわからない。とりあえず、留学の雑誌に載っているように、
日米教育委員会なるものに行って、学校案内を見てこよう、と決意した。
そこは、とあるビルのワン・フロアであった。灰色の絨毯。まるでオフィスのように、壁中3方向に、学校案内がファイリングしてある。
「・・・どうしよう。わからない。学校がいっぱいありすぎる」
周りを見渡しても、人は少なく、何をどう質問していいのかも、わからなかった。
結局、小心な私は何も聞かず、数分でその場を後にしてしまった。
どうしよう。相談する人が、誰もいない。
親は留学に反対している。