エイティーン・ナイトメアズ・アット・ザ・ラックス(Eighteen Nightmares at the Lux )New Blood – No.329
Region : UK, ロンドン
Members : シモン・ジョゼフ(Shimon Joseph:vo / g /accordion )、グレッグ・ゴールド(Greg Gold:g)、ビッグ・コンスト(Bïg Const:b / Harmonica)、アレックス・アレン(Alex Allen:ds)
Sounds Like :クランプス(The Cramps)、タブ・ファルコズ・パンサー・バーンズ(Tav Falco's Panther Burns )、バースデイ・パーティ(The Birthday Party)、ホラーズ(The Horrors)、エイティーズ・マッチボックス・ビーライン・ディザスター(The Eighties Matchbox B-Line Disaster)、ジョニー・バーネット・ロックンロール・トリオ(Johnny Burnette and The Rock and Roll Trio)、デフ・スクール(Deaf School)、ハイヴス (The Hives)
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Turn On Tune In: Get To Know - Eighteen Nightmares At The Lux EIGHTEEN NIGHTMARES AT THE LUX - '6ft 6' [OFFICIAL VIDEO] EIGHTEEN NIGHTMARES AT THE LUX - 'Linger' [OFFICIAL VIDEO]
エイティーン・ナイトメアズ・アット・ザ・ラックス、略してENATL。ロイヤルなファンは彼等を”ナイトメアス/ Nightmares”と呼んでいる。
2010年1月に配信EP『Fuzz Candy 』を初リリース。2010年12月にセカンドEP『Draw The Curtain 』を配信リリース。2012年6月にシングル『Mother of Girl 』をリリース。これらは自主レーベル「Fuzzabilly Recordings」からのセルフ・リリースだったが昨年にUKインディペンデント・レコード・レーベル「Dust Devil Sounds」とサインアップ。ENATL は2014年2月10日に「Dust Devil Sounds」からEP『Pig』を配信リリースしたばかりだ。
英紙、ガーディアンやデイリーミラーは彼等を「ゴスビリー(gothabilly)」と銘打って読者に紹介した。
ホラーズのファリスの弟タリクのバンド、ルーム(LOOM)を対バンとした昨年に私が見たエイティーン・ナイトメアズ・アット・ザ・ラックスのギグでは、ゴスビリーやホラー・パンク・バンドがよくするようなメイクを彼等はしていなかった。昨年秋頃のパブリシティー・ショット(アー写)からメイクをしだしたようだ。
EP『Pig』のリリース・パーティで私はフロントマンのシモンに聞いた(オンレコのインタビューではない)。「ゴスビリーといわれることは望むところなのか?これまでにゴスビリーとして扱われたことはあったのか?」。
クランプス The Cramps - goo goo muck
そしてクランプスは、ホラー・ブルース(horror-blues)、ショック・ロック(Shock rock)と称されたスクリーミン・ジェイ・ホーキンス(Screamin Jay Hawkins)と、ロカビリアン・バンド、ジョニー・バーネット・ロックンロール・トリオ(Johnny Burnette and The Rock and Roll Trio)らの「子ども」だ。
スクリーミン・ジェイ・ホーキンス Screamin Jay Hawkins - I put a spell on you
ジョニー・バーネット・ロックンロール・トリオは、ギャロッピン奏法をベースにファズを加えロカビリーをバージョンアップさせたバンドだ。ビリー色のあるサブジャンルのバンドたちはジョニー・バーネットから大きな恩恵を授かっている。
ジョニー・バーネット Johnny Burnette Train Kept A Rollin'
ENATLのフロントマンのシモン・ジョゼフは創世期のロカビリアン、チャーリー・フェザース(Charlie Feathers)やカントリー・ブルースのシンガー、ギタリスト、スリーピー・ジョン・エスティス (Sleepy John Estes) 、タブ・ファルコズ・パンサー・バーンズ(Tav Falco's Panther Burns )などに耳を傾けるヴィンテージミュージック・マニアのようだ。
タブ・ファルコズ・パンサー・バーンズ Tav Falco's Panther Burns on Marge Thrasher 1979
エイティーズ・マッチボックス・ビーライン・ディザスターThe Eighties Matchbox B-Line Disaster
ゴスビリーはゴシックとロカビリーの混成語で1970年代後期のクランプス(The Cramps)をパイオニアとするロカビリーと漆黒のパンク・ロックを融合させた音楽傾向とファッションを指すサブジャンルでありサブカルチャーだ。音楽ジャンルとして大衆化され得るようになったのは1990年代半ば「Skully Records」からリリースされたゴスビリーのコンピレーション・アルバムが発端とされる。しばしばサイコビリーの下位セクトと見なされるが、サウンドのリバーブレーション、ジャングルドラマー、BPMで差異があり、初期サイコビリーのような荒ぶった攻撃性はない。ビリー色で繋がるサイコビリー、パンカビリーとは兄弟だが、テーマあるいはモチーフになるのは、ヨーロッパのゴス文化のロマンチシズムとザ・マンスターズ(The Munsters)やアダムスファミリー(The Addams Family)に代表されるホラーコメディである。ゴスロックのように実存主義哲学やニヒリズムといった知的なものを扱うことはなくキッチュな美学がアティチュードで、その点でホラー・パンクと親和性が高い。
playlist - ゴスビリー
英国には根強い”ゴス”人気がある。
ゴシック・ロックは1970年代後半に生じたポストパンクやオルタナティヴ・ロックのサブジャンル。
プロトタイプはジョイ・ディヴィジョン (Joy Division )。1979年9月15日、プロデューサー、トニー・ウィルソン(Tony Wilson)はBBCのテレビ番組の為のインタビューでジョイ・ディヴィジョンを「”ゴシック”バンドだ」と説明した。以後、1979年にゴシック・ロックという用語が使われだす。1980年2月にメロディー・メイカー紙が"masters of this Gothic gloom"とゴシック・ロックの特集を組んだ。音楽批評家ジョン・サヴェージ(Jon Savage)は「イアン・カーティス(Ian Curtis)がゴシックの決定的な体現者だ」と記した。
ジョイ・ディヴィジョン Joy Division – Shadowplay Joy Division - Love Will Tear Us Apart [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
そしてもうひとつのプロト・ゴスとしてはスージー・アンド・ザ・バンシーズ (Siouxsie & the Banshees)があげられる。ゴス期は1978年~1983年。
スージー・アンド・ザ・バンシーズ Siouxsie & The Banshees Metal Postcard (Old Grey Whistle Test 7/11/1978)
バウハウス Bauhaus - Bela Lugosi's Dead
UKパンク・バンド、グロリア・ムンディ(Gloria Mundi)
ギグの対バン相手だったグロリア・ムンディを見て衝撃をうけたバウハウスは音楽とプレゼンテーションを変えた。グロリア・ムンディに影響され無地のジーパンにTシャツのバンドから漆黒のバンドに変えたのだ。
playlist - グロリア・ムンディ
ゴシック・ロック/ゴス・ロックがジャンルとして広く大衆に認知されたのは1983年になってからだ。
バットケイブ
- 音楽ジャンルとは -
音楽ジャンルを音楽文化の消費の為のセグメント分けの道具としか見なさないというのは産業論的な視座に立っているということだ。ジャンルにはもっと重要で別なファクターがある。ブルデュー社会学の人間が社会化されるメカニズムを説明する概念ハビトゥスの社会的に獲得された性向の総体と「場」の関係からトインビーは音楽ジャンルの重要性を説いている。
「ジャンルの束縛によって、音楽を構成する響きを生産的に秩序づけるための根本的な条件が用意されるとさえ言えるかもしれない。」
ジャンルの不安定性を踏まえたうえでも、テクスト生産のレベルにおいては、ジャンル概念なしでは何も為しえず、ジャンルは創造的動作に欠かせない出発点を提供するもので、またミュージシャンの創造の場だけで成り立っているのではなく、音楽ファンといった需要者や産業側も含めてジャンルは横断的な共同体を作る。
そして各々が社会的作者となりサブカルチャーができあがる。ゴシック・ロック、サイコビリー、ホラー・パンク、ゴスビリー。
そして各々が社会的作者となりサブカルチャーができあがる。ゴシック・ロック、サイコビリー、ホラー・パンク、ゴスビリー。