札幌の(架空の)白麗高校シリーズの2作目です。
1作目の「おまえなんかに会いたくない」での重要な登場人物が、本作でも登場します。
。。。が、前作を読んでいなくても大丈夫です。
ということで、本作。
一言でいうと、高校生3人の青春小説です。
乾ルカさんの作品は札幌が舞台というものが多いので、非常に身近に感じます。
転校生で容姿端麗な美令を中心にひょんなことからかかわることになった和奈と更紗、また男子2人との絶妙な距離感を保ちながらの高校生活を描きます。
美令も含めて、それぞれの”秘密”を抱えながら、高校2年から3年までを過ごし、いろいろなエピソードの度に徐々に徐々にゆっくりと距離が縮まっていきます。
ラストでの3人には、まぶしさを感じてしまいました。
というところが、王道であり、率直な感想です。
以降は、本筋とは多少ずれていることを承知で、札幌の住人、それと鉄道目線での私の感想を記します。
まずは、ホワイトアウト。
これ、札幌に住んでいても、本当に怖いです。真っ白で方向が全く分からない、道も吹雪でよくわからないという状況です。歩いていても、車を運転していてもほんのちょっとの距離でも躊躇してしまいます。今シーズンも私の最寄駅から普段は10分もかからない自宅まで一度怖い思いをしました。
修学旅行での北海道新幹線。
札幌からの修学旅行は、昭和のころまでは青函連絡船。青函トンネル開通後は、行きを寝台特急「北斗星」で本州方面へ行き、帰りは飛行機というのが定番だったらしいです。
今は北海道新幹線、東北新幹線で東京に向かうということなのでしょう。青函トンネルは、入ってしまえばただのトンネルですが、それを本作では特別の場所とするところに共感を覚えました。どんな特別かは本作を読んでのお楽しみということで。
2つの震災。
本作は、東日本大震災と胆振東部地震が物語の重要なエピソードとして登場します。胆振東部地震のブラックアウトについては、当時の状況を経験した目線で非常にリアルでした。
(以下ネタバレをご容赦ください)
美令が、修学旅行の帰りに飛行機に乗らなかった理由が終盤で明かされます。
いわゆるゲン担ぎの部類になるのでしょうが、それが度を越しており、祖母から
「飛行機や船に乗ったら死ぬ」
と毎日のように言われ続けたことで、大丈夫とわかっていても躊躇してしまう。美令の両親もそれがわかっていながら、絶対に乗らない。
これを払拭するため、親友と飛行機に乗ろうとすること。ある意味すごい勇気でしょう。
この希望を抱かせるラストが非常に気持ちの良い印象を持ちました。
