◆一流選手の条件はケガをしない
一流のスポーツ選手とは、どんな人でしょうか。
「大きなケガをしない人」
と言えるかもしれません。
スポーツの世界で「ケガ」とは、転んですりむくことではなく、
筋肉やじん帯を痛める故障のことです。
横綱、稀勢の里(現在の二所ノ関親方)が現役時代、
ケガで休場しないことが自慢でした。
2017年、大けがをするまでは。
春場所13日目、日馬富士に寄り倒されたとき、
左大胸筋と左上腕二頭筋を痛めてしまいました。
それ以降、本来の相撲が取れなくなり、引退に追い込まれてしまいました。
期待されていたのに、ケガのために第一線から退いたスポーツ選手は、
枚挙にいとまがありません。
選手として、安定した成績を残すには、
ケガをせずに、シーズンを乗り切ることが不可欠でしょう。
しかし、ケガをするほど自分を追い込んで練習しないと、
一流になれないのも事実でしょう。
マラソンの瀬古利彦さんは、現役時代は「ケガのデパート」と言われていました。
激しい練習のため足の筋肉や腱を痛め、
そこをかばって練習していると別のところを痛めるという繰り返しです。
瀬古さんにとっては、死ぬほど練習することはたやすいことで、
問題は体が悲鳴を上げて走れなくなることです。
走るのが嫌いで、サボることばかり考えている人と比較すると、別世界の境地でしょう。
ケガをするほど激しい練習をするが、大きなケガをしない
ということではないでしょうか。
◆うつ病は脳のケガ
うつ病になる人は、ある意味、
病気になるほど頑張っている人と言えるかもしれません。
うつ病は、心の病気というより「脳の病気」です。
脳の感情や意欲をつかさどる部分が、ケガをしたようなものでしょう。
うつ病の人に一番必要なことは、一にも二にも脳を休めることです。
映画を観て気晴らしをすることや、悩みを聴いてもらうことよりも、
休養が優先ではないでしょうか。
膝を痛めた選手に一番必要なことが「膝を休めること」のように、
うつ病の人に必要なことは「脳を休めること」でしょう。
脳を十分に休めていると、脳の機能が少しずつ回復してきます。
しかし、一旦痛めた部分は以前よりも弱くなっているため、
以前のような生き方は難しいかもしれません。
剛腕で鳴らした剛速球ピッチャーが、
ケガのあと変化球投手に変貌して大活躍したという例があります。
軽いうちに治して、
「その脳」を使わない生き方を模索するのがよいのではないでしょうか。
~その15につづく~