◆分かっちゃいるけど、食欲がない
「早起きは三文の徳」と言われますが、朝食をしっかり摂ることで
得られるものは三文どころではありません。
・学校の成績が良くなる
・運動能力がアップする
・生活習慣病にかかりにくくなる
・認知症になりにくくなる
などなど、いいことづくめです。
良いこととは分かっていても、「朝は食欲がない」と言う人がいます。
国の調査では、朝食を食べない人は、20~30代の2~3割あり、
約半数が高校卒業までに食べないことが習慣になっていると答えています。
[平成17年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)]
朝食を食べない理由は下記です。
①時間がない
②用意がない
③食欲がない
なぜ食べ盛りの若い人が、朝から食欲がないのでしょうか。
◆1週間食べないと食べれなくなる
胃には体内時計があります。
朝食を食べないと胃の体内時計の機能が低下し、
朝食時刻を予知して動いていた胃のリズムが崩れます。
すると、胃からのグレリン(食欲ホルモン)の分泌も減り、空腹を感じにくくなります。
その結果、食べなくても平気になり、それが習慣になってしまうと考えられています。
朝食を欠かさない女子大学生11名を対象に、1週間、朝食を抜いてもらい、
胃の動き(胃電図)と食欲を調べた研究があります。
結果、わずか1週間、朝食を抜いただけでも、胃の体内時計に影響を及ぼし、
胃の動きや食欲を弱めてしまうことがわかりました。
その後、朝食を摂るようにしましたが、弱まった胃の動きは、
1週間後の測定では元に戻り切りませんでした。
◆3週間食べれば、食べれるようになる
また、別の実験で、興味深い結果が得られています。
朝食の量が少なく、食べない日もあった生徒が、
ほぼ毎日食べられるようになると、2週間後には胃収縮の強さが正常になり、
3週間後には胃の収縮リズムも正常になりました。
朝食という良い習慣を続けると、胃が適応してくることが分かりました。
「食欲がなくて食べれない」とお困りの方、あきらめずに、
3週間続けてはいかがでしょうか。
参考文献
永井成美:「体内時計からみた朝食の役割」,臨床栄養 136(3): 305-312, 2020