◆「いつ」食べるか
時計遺伝子が発見されてより、体内時計と食事との関係を
明らかにする「時間栄養学」という学問が生まれました。
胃や腸、肝臓は体内時計を持っているため、
「いつ」食べるかによって、食事の消化・吸収・代謝が変わってきます。
適正なカロリーよりわずか1パーセントオーバーした過食を
30年間続けた場合、体重が約27kg増えるとの試算があります。
食べすぎは、健康を損ねることは言うまでもありませんが、
「いつ」食べるかによって話は変わってきます。
◆夜、食べると太る
夕食や夜食に食べすぎると、そのカロリーは脂肪になりやすい
と言われます。
マウスを用いた肥満の実験があります。
食事の摂らせ方によって5群に分け、体重の増加を比較しました。
・自由に食べる
・朝食のみ
・夕食のみ
・朝食2:夕食1
・朝食1:夕食2
結果、下記の順に肥満になりました。
①自由に食べる
②夕食のみ
③朝食のみ
④朝食1:夕食2
⑤朝食2:夕食1
食べたいときに食べるのが最も太るというのはうなずけますが、
夕食にウエイトを置いた食事が肥満につながることが分かります。
◆ダイエットには朝食を減らしてはいけない
肥満女性の減量プログラムで、1日1400kcalの食事を、
2群に分けて比較しました。
朝食にウエイトを置いた食事(朝700kcal,昼500kcal,夕200kcal)のほうが、
夕食にウエイトを置いた食事(朝200kcal昼500kcal,夕700kcal)よりも
体重や腹囲が低下しました。
1日の総カロリーは同じでも、夕食を減らした方がダイエット効果がありました。
「1カ月で80kgが76kgに減りました」という太り気味の男性がありました。
尋ねると、夕食はご飯を抜いておかずだけにしたそうです。
肥満防止やダイエットのためには、朝食は減らさず、
夕食のご飯を減らす方が、理にかなっていると言えるでしょう。
参考文献
柴田重信:「時間栄養学」とは何か,プラクティス 36(2): 162-166, 2019