鎌倉時代の古銅十一面観音菩薩立像です。
彫りの深い像の表現は力強く、鎌倉時代の写実的な仏像表現の特徴をよく表しています。
頭頂部に如来の面が載せられていることが判別出来るほど、細部まで神経の行き届いた作風には、制作した仏師の像に向き合う厳しい姿勢が感じられます。
古銅の味わい深い質感からは永い時の流れが感じられ、古(いにしえ)からの歴史の面影を残しているかのようです。
端整な顔立ちは、見る角度により毅然としていたり、優しく微笑んでいたりと、その表情が多彩に変化します。
像の佇まいはどこまでも静かで、凛として立つ姿には気品が漂っています。
その姿は見る人の心を強く打ち、覚醒させるような力が込められているようです。
小さな像ながら堂々とした存在感があり、美が凝縮されているような見応えのある仏像です。
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