2.5 in India ~初めてのインドの旅~ (3)
車内からの景色がこんなにも目を見張るものとは。
何台ものバスが行き交っていた。
ギッシリと人、人、人。
乗ってみたいという私のリクエストはソナムの
〝私でさえ乗らないよ。〟
の一言でインドにある生活レベルというものを感じさせた。
飼い主がいるのかはたまた野生なのかなんなのか。
こんなところで牛たちは何をしてるの?
餌を食べてる。ちゃんと飼い主がいるんだよ。
あの大きな物体は何?
〝水タンクだよ。〟
どんどん飛び出す私の質問に丁寧にでも少し笑いながら答えてくれた。
正直ありえなかった。
目の前の濁った池で数人の人たちが水を浴びていた。
遊んでるわけではない。
それが生活の一部なのだ。
少し前に私がインドに行きたいと言い出したとき、
Rajが行けないなら私一人ででも行くから、と言った。
するとRajは一人では行ってはいけない。インドは、タイと比べて全てが10倍だと思ってくれていい。
そう聞いていたことを思い出した。
10倍どころの話じゃない気がした。
段々と辺りの景色が町らしくなってきた。
そろそろ家に着くらしい。
ママァ(おじさん)は彼のナニー(おばあさん)と、Seemaマミジ(おばさん)、
そして二人の子供、17歳のDevanshiと、14歳のSiddharthと7人のサーバントと暮らしている。
いわゆるマンションと言った様な造りの建物。
大きな門から車でそのまま入る。
駐車場を降りてすぐに家の玄関があり、玄関と直結でリビングルームがあった。
最初はそこが部屋だとは気づかないほど外との距離が近かった。
フライトが遅れたのもあり、その時既に18時くらいにはなっていただろう。
早速私の気をほぐしてくれるかのようにマミジが色々と話かけてくれた。
それから夕ご飯をみんなで食べる。
私の為にチリを完全に抜いて作ってもらっていた。ありがたい。
Londonでの実家でもインド料理はしょっちゅう食べる機会があるのだが、
元々辛いものがそんなに好きではない私には正直時々手が付けられないほど激カラに感じたりする。
味は美味しくても食べられないのが残念なときがある。
ただ初めてのインドの家庭の味には度肝を抜いた。
こんなに美味しいなんて思ってもなかった。
料理に関しては完全に期待していなかった為余計にだ。
いや、期待してたとしてももっとだ。
こんなに美味しい料理があるなんて。
お世辞でもなんでもなく、日本人の口によく合うということなのか何なのか。
世界一美味しいのが柳川の実家のご飯と思ってたけれど、
インドの家庭料理、いきなりいい勝負を見せた。
日本で言うと例えば丸いトレーくらいの大きさのお皿の上に、
小さい器が三つくらい。
それぞれ違うおかずが入っていて、
チャパティとごはんとあとまた違うおかずもお皿に乗せられていた。
勧められるがままに一番最初に手を付けた。
どうやって食べるのか物珍しかったらしく、
子供たちもみんな私の動きを見張った。
〝そんなにじっと見ないでよ!〟
ちょっと笑いをとりつつ、少し緊張した空気をほぐしたいと思っていた。
もちろん手で食べる。
Londonのヘテッシュには悪いが、比べ物にならなかった。
インド料理がこんなに美味しいなんて。
私たちここに一ヶ月もいれば間違いなく服が小さく感じるだろうな。
つづく。
2.5 in India ~初めてのインドの旅~ (2)
余談だがフライトの前にインドの親戚にチョコレートを買っていくことにした。
あれじゃない、これじゃないと見て回っていたところ、、、
何やら見た事あるような顔の男性。
彼も同じくチョコレートを見ているようだった。
人違いか、そう思ってRajのところへ戻る。
いや、やっぱりなんか知ってるぞ。
少し離れたところから様子を伺いつつ衣服や持ち物を下から上まで観察。
もしかして?
Rajを呼んだ。
二人して彼の後をつけてみた。
思わず声をかける。
あぁっ!
こんなところで友人に会うなんて。
しかも数年前にうちらのFlatに泊まりに来てたこともある友人で
今回も家具の買い付けでイギリスに来ていたのだとか。
携帯を失くしてから連絡がとれなかったらしい。
異様に疲れている様子の彼。
そっとしておこうと思った。
いや、しかしこんなところでカレー(友人のニックネーム)に会うなんて、ありえない。
彼も同じ福岡だし、もしかして縁があるのかと嬉しく思った。
今度イギリスに来たときはインドカレーでも作ってあげよう。
フライト中はできるだけRajを眠らせようと心がけた。
近頃仕事が立て込み寝不足だった。
そんな時期にインド行きをお願いしたことにも多少申し訳ない気持ちでいたからだ。
フライトはほぼ空っぽだった。
3シートのうちらの隣に座っていたのは若めの男性だった。
もちろんインド人。
Rajとしばらく話をした後広い席に移った。
Air India、
インド人以外はほとんど見かけない。
9時間ほどしてデリに着いた。
トランジットで4時間くらい時間があった。
とりあえず親戚に会う為にすることまず一つ目。
着替えだ。
数日前にも一度MumとZARAやなんかに服を見に行ったりもした。
私は〝Decent〟とか〝Conservative〟というような言葉のつく服をあまり持ち合わせていない。
トップスは胸元のあまりあいていないもので、
フェミニンで品のいい感じのもの。
ボトムはジーンズがレギンスあたり。
ジーンズでもカジュアルなものしか持っていなかったので、前日にTOPSHOPで濃い色のものを調達しておいた。
トップスはというと、
いいものが買えなかったので仕方なく自分の店の服から選んだ。
なんとも女性らしい。(だろう)
これからはもう少し考えて服を買おうと思った。
インド人の集まりはLondonにいてもよくある。
変な話、、、
デリの空港でまず初めに驚いたのがトイレだった。
トイレットペーパーはない。
ただ、シャワー?のようなものがある。
これで流せと?
しっかりとポケットティッシュは持参していた。
トイレから出てすぐにRajに聞いた。
どうやら私はそのシャワー?の使い道を間違えていたらしい。
インドではティッシュは使わないのだと。
いわゆる、、、
ウォシュレットということだ。
それでもやはりティッシュがないと困るのでは?
あとはソナム(妹)に会ってから聞いてみたらいいよ、と言われた。
デリからコルカタまでは二時間。
いよいよインドだ。
待ちに待ったインドだ。
早く外に出たい。
Arrivalsのゲートの外にはソナムの顔がすぐ目に入ってきた。
おじさんともう一人背の高い男の子も来ていた。
一通り挨拶をして外に出る。
ありえない景色。
ここがインドか。
少しだけタイを感じさせる熱気と自然が広がっていた。
おじさんはMumの弟さん。ママァ(おじさん)と呼ぶ。
彼は前にLondonで会った記憶が会ったのだけど、どんな人だったかは忘れてしまっていた。
すぐにうちらの荷物を持って車の方へ連れて行ってくれた。
そしてそのママァの息子、14歳のセダール。Rajよりも背が高くて優しい雰囲気。
大人しそうなまだ子供の顔をしている子だった。
前に会ったことを忘れてしまっていた。申し訳ない。
ソナム。
彼女はMumの妹さんの長女。
去年の末まで三ヶ月ほどLondonのセントマーチンで短期留学をしていた。
何度も遊んだし、離れてもよくFacebookで連絡を取り合っていた。
彼女もファッション関係の仕事に就きたいということで共通点は色々あった。
とってもEasy-goingでノリが合う。
来る前に何度もFacebookで連絡し合ってはうちらがインドに来るのを楽しみにしてくれていた。
〝インドで何がしたいかリストを送って!〟
あれやこれやと並べた。
〝4-5日ないと無理!〟
そう、今回の旅は2.5日しかないんだった。
そして空港から車で走る途中の景色に驚いた。
ビル建設が進む真横で牛が戯れている。
ボロボロの紅茶屋さんがあるまたすぐ近くにショッピングモールのような近代的な建物が造られている。
数年前はこうじゃなかったとRajも驚いていた。
私はただただ全てがもの珍しくて、
あれは何?これは何?と聞きまくっていた。
なんて土臭い面白そうな町なんだ。
すぐに私の好奇心をガッツリ掴んだ。
すごいぞ、インド。
つづく。
2.5 in India ~初めてのインドの旅~ (1)
〝インドは好きかい?〟
Londonに戻って会う人みんなにそう聞かれる。
答えは、
もちろん〝Yes, absolutely!!〟
ここまで来るのに何年もの時が過ぎていた。
〝ここまで〟というのは気持ちのことだ。
ただ、ここまで来れたのは、
周囲の大きな支えがあったからで、
自分一人では到底無理なことだったのが今になってもよくわかる。
笑えるほどに、
無理だった。
〝信愛〟って何だよ?
失いかけた心をギリギリのところで掴もうとした。
大きな分かれ道すれすれのところで扉は開かれた。
数年後の自分が
今の自分をどう見るのか。
だから今の思いを日記にして残しておく。
Papaの反対を押し切っての旅となった。
彼らなしでの初めてのインドはどうやら親としての顔が立たない様子。
面と向かってPapaと話をした。
彼の言ってる事は確かに間違ってはいなかった。
でも何度も言っているように、今回は例外だということ。
一時間でもいいから行く気持ちでいるし、絶対に行くから!
そう言って多少の苛立ちと申し訳ない気持ちでいたけれど
一緒に話し合いに参加していたMumとRajが私の意見に加勢してくれた。
Mumは私の気持ちが一番だからと言ってくれた。
二人だって絶対に動揺はしたはずなのに
それでも私の気持ちを優先してくれたことが何よりの励みになった。
インドに行ってどうする?って、
そんなのわからないけど、
行かなきゃいけない気持ちと、
来るなら来なさいと呼ばれているように
数年もの間開くことのなかった扉が少しずつ動いていることに気づいていたから
どうしても諦めるわけにはいかなかった。
Papaの件初め、
このインド行きギリギリまで何度も何度も障害が立ちはだかった。
試されてるだけだとわかっていたから慣れてはきていたものの、
フライト直前になって相当に心をかき乱された。
なんとなく浮かないRajの顔を見て、
きっとインドに着けば来て良かったねって思えるはず、ね?
本当は内心、すぐにでも飛行機から降りたい気持ちになっていた。
そう言えば似たような気持ちを2003年の夏、日本を離れるときにも感じた。
なんで私はイギリスに行こうとしてるんだ?
行きたくない・・・。
でも行こうとする自分・・・。
わけがわからない。
インド・・・。
正直、とても気が重い出発となった。