「鬘」は 全て自分の頭に合わせて
オーダーメイドで作っている
ごくたまに借りることはあるが
基本的には自分の頭に合わせて作っている
そうしないと頭が痛くなるからだ
鬘は銅板で出来ていて 髪を付けると 女形なら
軽い物でも2キロくらいはある
頭に合っていない2キロの物を被ると非常に痛い!
痛いを通り越すと
「吐き気」が襲ってくる

個人差はあるが少なくとも 3〜4枚は作ってある
これは 自分で保管するのではなく
鬘屋さんが 保管してくれている
その役に合わせて
使い分ける
腰元用、傾城用、町娘用、お姫様用
それぞれ
顔の輪郭の出方が違う
この違いは とてつもなく細かい!
銅板を薄くした 物を金槌で叩いたり
ハサミで切ったりして 頭に合う様にして行く
0.001センチの世界である
普通の人なら
「え⁉︎
それ今 銅板をハサミで切ったけど 何が変わったの?」
とても緻密な作業である
基本的に
鬘を作る時は
鬘さんと床山さんと実際使う役者の3人で作る
トンテン カンテン 金槌の音が鳴り響く
数年経つと金属なので歪んだらする
そうすると 大変である

銅板で作っている 鬘ならまだ 良い方で
たまに 網の鬘
よく 結婚式で 新婦が被る 鬘である
網の鬘で 頭に合わなかったり 時間が経つと小さなズレが 大きくなってくる時がある
網で合わないと鬘を被るのは 皮膚に直接 網の部分が当たるので

銅板の鬘で合わないより遥かに
痛い!

痒い!

そして
吐き気





とても辛いです。