臨床試験(人を対象にその治療の効果や安全性を検証する試験)のうち、医薬品や医療機器の承認を国から得るために行われるものが特に「治験」と呼ばれていて、第1相試験~第3相試験まで段階的に行われます。
製薬会社は実施する治験ごとに計画を厚生労働省に届け出る必要があります。




第1相試験と呼ばれる試験では、通常、その化合物(ここからは治験薬と呼びます)が初めてヒトに投与されることになります。

ですのでまずは少数(数十人程度)の健康な成人に投与し、主に安全性や体内での化合物の吸収や排泄の過程を確認します。

第2相試験では、初めて治験薬が治療の対象となる患者さんに投与されます。ここでは、比較的少数の患者さんで、いろいろな量や1日の投与回数などを比較して有効で安全な使い方を確認します。

第3相試験では、第2相試験で確認された最適な投与法で、多くの患者さんに投与して実際の治療に近い形で使用します。

第3相試験では治験薬と既存の治療とを比較して有効性や安全性が優れているか(あるいは劣っていないか)を検証します。

この比較では先入観が入らないよう、処方する医師も、薬を飲む患者さん治験薬か既存の薬かわからないように投与されます。

これは二重盲検比較法といって、結果を客観的に評価する手法として治験ではよく用いられています。

これらの治験に参加していただく患者さんには、GCPに従って治験の内容や参加することによって発生する可能性のあるメリットやデメリットなどを詳しく説明を受けたうえで、自由意思で参加するしないを決めることができます。けっして強要されることはありませんのでご安心ください。



 

英ウィメンズクリニックでは、新薬を開発しているいくつもの製薬会社から第2相試験、第3相試験の依頼を受け、行ってきました。

今ではそれらの薬が生殖医療の現場でなくてはならないものとして活躍しています。

次回には治験で得られたデータがどのように国に提出され、審査されるかについてお話いたします。

 

過去の記事もご参照ください。

「新薬ってどのように開発されるの その1」

「新薬ってどのように開発されるの その2」

文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児