酔っぱらい亭主をこらしめる、おかみさんの作戦。
亭主が大酒飲みで、とても困っているおかみさんがいました。
何とかして酔っぱらいのくせを治そうとさんざん考えて、1つの作戦を思いつきました。
亭主がいつもの様にグデングデンに酔っぱらって、死んだ様に眠り込んでいる時を狙って、
おかみさんは亭主の肩をかついで墓地まで行きました。
そして、囲いの中のお墓の間に寝かせて、自分は家へ帰りました。
しばらくして、そろそろ酔いが覚めかけたと思う頃、おかみさんはまた墓地に戻って、囲いの戸をドンドン叩きました。
「誰だ?! 戸を叩いている奴は?」
と、酔っぱらい亭主が言いました。
「死んだ人たちに、食べ物を運ぶものであるぞ」
と、おかみさんは、重々しい声で言いました。
すると、酔っぱらい亭主は、
「食べ物なんか、いりません。どうぞ、わたしに酒を持ってきて下さい。食べ物だけで酒がないとはひどいです」
と、言うではありませんか。
おかみさんは、胸をかきむしって叫びました。
「ああ、何となさけない事だろう。
お前さんには、せっかくの作戦も全然効き目がないんだからねえ。
こりるどころか、ひどくなるばっかりだよ。
酔っぱらう事がくせなんかでなくて、まるで生まれつきの性質みたいになってしまっているのだから」
おしまい