4月28日 ハリスの童話・タールぼうや | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、ある森に、イタズラ好きのウサギがいました。
 そんなイタズラウサギを何とか捕まえようと、キツネはあれこれ考え、
「・・・そうだ! 良い方法があるぞ!」
と、キツネはコールタール(→石炭から取れる、ネバネバしたもの)に松ヤニをたっぷり混ぜると、それで人形を作ってウサギが通る道ばたにポンと立てました。
「さあ、これで完成だ」
 キツネが草むらに隠れると、間もなくイタズラ好きのウサギがやって来ました。
 ウサギは人形を見つけると、人形にあいさつをしました。
「やあ、おはよう。今日は、いい天気だね」
「・・・・・・」
 もちろん、人形は何も言いません。
「おはよう。・・・聞こえないのか?」
「・・・・・・」
「おい、黙っているとは生意気だぞ!」
「・・・・・・」
 人形は、やっぱり何も言いません。
「返事しないと、一発、くらわすぞ!」
「・・・・・・」
 それでも黙っている人形に腹を立てたウサギは、げんこつをにぎると人形の顔をパチンと叩きました。
 すると、
「あっ!」
 ウサギの手は、コールタールの人形にベチャリとくっつきました。
「おい、もう一度殴られる前に、おれさまの手を離したらどうだ!」
 怒ったウサギは、もう片方の手で人形の顔をバシンと叩きました。
 するとその手も、コールタールの人形にベチャリとくっつきました。
「こいつめ!」
 さらに怒ったウサギは、両足で人形を蹴飛ばしました。
 しかし両足も、ベチャリと人形にくっつきます。
「ちくしょう! これでもくらえ!」
 ウサギは次に、頭突きをくらわせました。
 もちろん頭も、ベチャリとくっつきます。
 こうして体中がコールタールの人形にくっついてしまったウサギは、身動き一つ出来なくなりました。
 それを見ていたキツネは、笑いながら草むらから出てきました。
「おやおや、これはウサギくん。
 何だか大変な事になっているね。
 いつも威張っているお前さんも、これでおしまいかな。
 どれ、このまま枯れ草に集めて火をつけて、おいしいウサギの丸焼きを頂こうとするかな」
 それを聞いたウサギは、とてもなさけない声で言いました。
「キツネさん。
 ぼくは、とても悪いウサギです。
 だから、殺されても仕方ありません。
 どうぞこのまま火をつけて、ぼくを丸焼きにしてください。
 ・・・でも、一つだけお願いがあります。
 どうか野バラのしげみにだけは、入れないでください」
「いや、枯葉を集めて火をつけるのはめんどうだから、首つりにしてやるよ」
「どうぞ、首つりにしてください。でも、野バラのしげみにだけは、入れないでください」
「いや、ひもがないから、首つりはやめた。川に沈めてやるよ」
「どうぞ、川に沈めてください。でも、野バラのしげみにだけは、入れないでください」
「いや、この辺りには川がないから、いっそ皮をひんむいてやる」
「どうぞ、皮をひんむいてください。でも、野バラのしげみにだけは、入れないでください」
「・・・うん? お前は、野バラのしげみにだけは、入れてほしくないのか。そうか、そうか」
 キツネはウサギの後ろ足を持ち上げると、
「ならお前を、野バラのしげみに投げ込んでやる!」
と、言って、ウサギを野バラのしげみめがけて力一杯投げつけました。
「ワハハハハハ。どうだウサギめ、まいったか」
 キツネは満足そうに、野バラのしげみを見ました。
 すると突然、
「ははーん。まぬけなキツネ」
と、遠くの丘で、ウサギが叫んでいるではありませんか。
「まさか!」
 ビックリするキツネに、ウサギが得意そうに言いました。
「おれさまが、野バラのしげみの中で生まれたのを忘れたのかい? 野バラとおれさまは親友同士で、野バラがおれを助けてくれたのさ」
 ウサギはそう言うと、どこかへ行ってしまいました。

おしまい

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