4月25日 シュトルムの童話・クマの子ハンス | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

 むかしむかし、ハンスという男の子が、炭焼きの仕事をしているお父さんとお母さんとくらしていました。
 ハンスはとても力持ちで、小さな木なら、草を引きぬくようにひっこぬいてしまいます。
 子イヌをだきしめたら、あまりの力に子イヌをグッタリさせてしまうほどでした。
 ある日、ハンスが森で一人であそんでいると、子クマを人間に殺されたクマが、しかえしをしようと飛びかかりました。
 ふつうの子どもなら、ひとはたきで死んでしまうのに、ハンスはクマにはたかれたってへいきです。
 そのうちに、クマは子グマをだくようにハンスをだきしめると、森のおくのほら穴につれて行きました
 そして、やわらかい干し草の上にそっとおろしました。
「わあ、気持ちいいなあ」
 ハンスはニッコリ笑うと、そのままねむってしまいました。
 それからしばらくして、あまいかおりで目をさましてビックリ。
 つみたてのイチゴが、山のようにつんであります。
 クマは、
「さあ、お食べなさい」
と、いうように首をふりました。
 ハンスは大喜びで、おいしいイチゴを食べました。
 そのあと、クマのあたたかいおっぱいを、ゴクゴクとのみました。
 こうしてハンスは、クマと一緒(いっしょ)にくらすようになりました。
 クマはハンスのために、毎日食べ物をとって来て、おっぱいをたっぷり飲ませてくれました。
 ハンスはグングン大きくなり、やがてりっぱな若者になりました。
 でもクマは、ハンスが外に出られないように、いつも穴の入り口を岩でふさいでいました。
 きっと、二度と子どもを失いたくないと思ったからでしょう。
 ところが、ある日のこと。
 いつものようにクマが岩のふたをして出かけたあと、ハンスは岩を押してみました。
 ぐっ、ぐぐぐーーー。
 なんと、岩が動いたのです。
 クマのおっぱいを飲んでそだったハンスは、クマと同じくらいの力持ちになったのです。
 岩は少しずつ動き、やがてハンスは明るい光につつまれました。
 ついに、岩がはずれたのです。
 森は緑でまぶしく、花も草も一本一本かがやいて、うれしそうに風にゆれています。
「ああ、なんてすてきなんだろう」
 ハンスはむねいっぱいに、森の空気をすいました。
 そして、すぐにかけ出しました。
 ハンスは走り続けて、小さな炭焼き小屋につきました。
「すみません、水を一杯飲ませてください」
 いきなり入ってきた若者に、炭焼き小屋の夫婦(ふうふ)はビックリしましたが、ハンスの肩に、いなくなった自分の子どもとおなじホクロがあるのを見つけて、おどろきの声を上げました。
「ああっ、お前は、私たちの息子ハンスにちがいない」
 ハンスの方もビックリです。
「お父さん、お母さん!」
 髪は白くなったけれど、小さかったころかわいがってくれた、やさしいお父さんとお母さんです。
 その日からハンスは、お父さんやお母さんと一緒(いっしょ)に、炭焼きの仕事を始めました。
 でもしばらくすると、どこか広い世界へ行き、自分の力をためしたくてたまらなくなりました。
「ぼくを旅に出してください。必ずもどって来ます」
 ハンスがたのむと、お父さんもお母さんも気持ちよくうなずいて、見おくってくれました。
 ハンスは、しばらく国中を旅しました。
 そうして、そろそろはたらき口を見つけようと、大きな農家にたのみました。
 農家の主人は、ハンスの丈夫そうな体を見て、果物畑の仕事をまかせることにしました。
 ハンスはリンゴ畑へ行き、次々とリンゴを取るはずでしたが、力がありすぎるため、ちょっとリンゴを引っばると、木の枝がバキバキおれてしまうのです。
「だんなさま、リンゴの木は、みんなくさっています」
 ハンスが言うと、主人はおこるよりもおどろいて、
「何という力持ちだ。お前には森の木をたおしてもらおう」
と、ハンスにオノを渡しました。
 でも、ハンスはオノなど使わずに、木から木へクサリをつなぎ、「エイッ!」と引っぱりました。
 そのとたん、木はドスンドスンとたおれるのです。
 主人も、仕事なかまもビックリです。
「あんな力持ちがいたら、何をされるかわからない」
「そうだ、ハンスをおこらせたら、殺されてしまうかもしれない」
 そこでみんなで、ハンスをやっつけてしまおうと相談(そうだん)しました。
 そしてある日、主人が言いました。
「ハンス、井戸 (いど)の中にかくしてある宝(たから)をとって来ておくれ」
「はい。わかりました」
 ハンスは喜んで、井戸の中におりました。
 でもそのとたん、主人も仕事なかまも、ハンスめがけて大きな石を投げつけたのです。
 でも、ハンスにはいたくもかゆくもありません。
 ハンスは、井戸の底から主人にこう言いました。
「宝物は見つかりませんよ。いまから上にあがりますから、井戸の入り口であばれるニワトリをどかしてください。さっきからゴミが落ちてきて、目にはいってかゆいんですよ」
 主人たちは、あわてて石を投げるのをやめました。
 大きな石をゴミだというハンスには、とうていかないません。
 主人はハンスにお金をたくさんあげて、出ていってもらうことにしました。
 仕事をなくしたハンスが、ションボリ歩いていると、お城のまどから町をながめているお姫さまの姿が見えました。
「ああ、なんて美しいんだろう。でも、なぜあんなにかなしそうなんだろう?」
 ハンスがつぶやくと、通りかかったおじいさんが教えてくれました。
「お姫さまは、大男と結婚させられるのじゃ。王さまは大男をたおしたら、その者に国を半分やり、お姫さまと結婚させるとおふれを出している。でも、今まで誰一人として、大男をたおすことはできなかったのじゃよ」
「よし、それならぼくがやってみるよ」
 ハンスは剣と、かぶとと、よろいを買って身につけると、そのままお城にむかいました。
 そして王さまに、
「ぼくが大男をたおしてみせます!」
と、言ったのです。
 ハンスは元気よく、大男の住む森へ出かけて行きました。
 大男はハンスを見ると、フンと鼻で笑いました。
 そして大きな剣を、グサリと土につきさしました。
「お前に、この剣が引き抜けるか?」
 するとハンスは、その剣をスルリと土から引き抜くと、空にむかって投げました。
 大男の剣は青空でキラリと光り、大男の目の前にまっすぐ落ちてきて、そのまま土にささりました。
「じゃあ、次はこれを抜いてみてください」
 大男は汗だくになって、なんとかその剣を引き抜きました。
(こいつには、美しい姫をとられるかもしれない)
 大男は急にやさしい顔になり、ハンスに言いました。
「なあ、俺の宝は全部お前にやろう。しかし、姫だけは俺にくれないか?」
 ハンスは、大きく首を横にふりました。
「いやです。姫は、ぼくの結婚する相手だ!」
 ハンスはそう言いきると、大男にむかって行きました。
 そして大男の頭を思いっきりなぐると、一発でたおしてしまったのです。
 ハンスが大男をたおしたのを知り、王さまは大喜びです。
 お姫さまも、ハンスのように強くて勇敢(ゆうかん)な男の人と結婚できることを、心の底から喜びました。
 ハンスは、お姫さまとすぐに結婚式をあげました。
 それから、お父さんとお母さんの待つ炭焼き小屋へ、お姫さまをつれて行きました。
 お父さんもお母さんも、飛び上って喜びました。
 つぎにハンスは、お姫さまと家来(けらい)を連れて、森へ出かけました。
「いったい、どこへいらっしゃるの?」
 そうたずねるお姫さまに、ハンスは答えました。
「もう一人の、お母さんのところさ」
 ハンスの行ったところは、森の中の大きなほら穴でした。
 ほら穴には、クマが今にも死にそうに横たわっていました。
 ハンスはお姫さまの手をひいて、クマのそばへ行き、やさしく言いました。
「お母さん、ぼくをそだててくれてありがとう。おかげでぼくは力のある男になり、お姫さまと結婚することができました」
 するとクマはうす目をあけ、涙を一すじ流しました。
 クマはハンスがもどって来たことを、心から喜んで泣いているのです。
 そしてハンスに体をなでられながら、天国へ旅立ったのです。
 ハンスはお姫さまと二人で、クマのお墓(はか)をつくりました。
 それから、炭焼きのお父さんとお母さんをお城へ連れて帰り、みんなで仲良くくらしました。

おしまい



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