4月21日 ゲーテの童話・キツネの裁判 | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、ある森の中に、動物たちの国がありました。
 動物たちの王さまは、動物の中で一番強いライオンです。

 ある日の事、森の動物たちが、王さまのところへやって来て言いました。
「王さま。キツネのやつを、こらしめてください。あいつは、とても悪いやつなんです」
「そうです。わたしはだまされて、落とし穴に落とされました」
「わたしの子どもは、足にけがをさせられました」
「ぼくは、朝ご飯を取られました」
 それを聞いた王さまは、とても怒りました。
「うわさには聞いていたが、けしからんキツネだ。よびつけて、こらしめてやろう」
 王さまの命令で、クマがキツネをよびに行きました。
「おいキツネ! 王さまのよび出しだぞ。さあ、王さまのところへ行くんだ!」
 王さまと聞いてキツネはビックリしましたが、それでも笑い顔で言いました。
「クマくん。お使いをごくろうさん。それではしたくをするあいだ、ハチミツでも食べていてください。ハチミツは、そこの木の穴に入っていますよ」
「ハッ、ハチミツ!」
 ハチミツが大好きなクマは、大喜びで木の穴に首をつっこみました。
 でもいくら探しても、ハチミツなどありません。
 おまけに小さな穴だったので、首がぬけなくなってしまいました。
「うーん! うーん!」
 クマは大声でうなりながら、何とか首をぬきました。
 でも顔はきずだらけで、頭がフラフラです。
 クマはヨタヨタと、一人で王さまのところへ帰りました。
「なに、キツネにだまされたって!」
 クマの話を聞いた王さまは、今度はネコを使いに出しました。
 ネコがやってくると、キツネが言いました。
「やあ、ネコくん。ごくろうさん。したくをするあいだ、物置きのネズミを取ってくださいよ」
「ネッ、ネズミ!」
 ネズミが大好きなネコは大喜びで物置に入りましたが、物置きの入り口にしかけられたネズミ取りに足をはさまれ、おまけに柱にぶつかって顔にも大けがをしました。
 泣きながら帰って来たネコを見て、王さまはまた怒りました。
「なんと、お前もやられたのか!」
 三度目のお使いは、キツネと仲の良いタヌキです。
 すると今度は、キツネもおとなしくついてきました。
 キツネがやってくると、王さまは怖い顔で怒鳴りつけました。
「こらっ! お前は、けしからんやつだ。そんなやつは、すぐに死刑だ!」
 怒られたキツネは、泣きながら言いました。
「王さま、わたしが悪うございました。
 どうか、死刑だけはお許しください。
 おわびにわたしが今まで集めた宝物を、みんな王さまに差し上げますから。
 その宝物は、家の裏山の中にあります」
「うむ。ではそれが本当か、調べてみよう」
 王さまはオオカミに、宝物を探すように言いました。
 けれど宝物なんて、どこにもありませんでした。
「お前は、まただましたな!」
 王さまがキツネをにらみつけると、キツネはあわてて言いました。
「王さま、ちょっと待ってください。
 宝物はきっと、オオカミが横取りしたんですよ。
 そうに違いありません!」
「な、何だとっ、このうそつきギツネめ!」
 怒ったオオカミは、キバをむいてキツネに飛びかかろうとしました。
 すると王さまが、オオカミとキツネに言いました。
「待て、待て。
 どちらが正しいかは、勝負で決めろ。
 オオカミとキツネが勝負をして、もしキツネが勝ったなら今までの事を許してやろう」
 どう考えてもオオカミとキツネでは、キツネに勝ち目はありません。
 しかしこうなる事をよそうしていたキツネは、太い尻尾の中にたくさんの砂をかくしていたのです。

 さあ、いよいよ勝負です。
「なまいきなキツネめ! ええい!」
「そうかんたんに、負けるものか! やあー!」
 飛びかかって来るオオカミの顔に、キツネは砂の入った尻尾をうちつけました。
 すると目に砂が入ったオオカミは、その場にうずくまってしまいました。
「あいたたっ! めっ、目が見えない!」
 いくらオオカミでも、目が見えなくてはどうしようもありません。
 とうとうオオカミは、キツネに負けてしまいました。
 オオカミに勝ったキツネは、にっこり笑って王さまに言いました。
「どうです。オオカミに勝ちましたよ」
 約束なので、王さまはキツネを許すしかありません。
「むむっ、仕方ない。キツネが今までした事は、全て許してやる」
 それを聞いてキツネは、ゆうゆうと自分の家に帰って行きました。

おしまい

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