4月28日 日本の昔話☆なぞかけの焼きいも屋☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、ある町に、屋台の焼きいも屋が現れました。
「えー、八里半の焼きいも~ 焼きたての、八里半の焼きいもだよ~」
 焼きいも好きな男がこれを聞いて、焼きいも屋に声をかけました。
「おーい、焼きいも売り。八里半の焼きいもとやらを、もらおうじゃないか」
「へい、ありがとうございます」
「しかし、八里半の焼きいもとは、何のことだ?」
「へい。この焼きいもの味が、クリ(九里→くり)に近いという、なぞかけでごぜえますだ」
「なるほど。九里から少し引いて、八里半か。うまい事を言うな。よし、一本たのむよ」
「へい。まいどあり」
 男が八里半の焼きいもを割ってみると、確かにクリの様に黄色くておいしそうです。
 けれども食べてみると、クリほどはおいしくありませんでした。
「確かに、うまいはうまいが、クリにはおよばねえな。名前通りだ」

 男が歩いて行くと、別の焼きいも屋がありました。
「えー、九里半の焼きいもはいかがですか~ 焼きたての九里半の焼きいも~」
「おーい、焼きいも屋。九里半の焼きいもとやらを、もらおうじゃないか。ところで、九里半とは何のことだ?」
「へい、クリより、半里もうまいという、なぞかけですだ」
「ほほう、それで九里半か」
 男が食べてみると、確かにあまくて、クリよりおいしい焼きいもでした。
「ああ、うまかった。さすが九里半だ。名前通りだ」

 男がさらに歩いて行くと、また別の焼きいも屋がやって来ました。
「えー、十里の焼きいもはいかがですか~ 焼きたての十里の焼きいも~」
「焼きいも屋。十里の焼きいもとは、何の事だ?」
「ああっ、説明するよりも、食って見りゃわかるだ」
 今度の焼きいも屋は、えらく態度の悪い焼きいも屋です。
(まあ、八里半、九里半と来て、どんどんうまくなっているから、この十里の焼きいもは、もっとうまい焼きいもにちがいない)
 男はそう思って十里の焼きいもを食べてみたのですが、いもが悪いのか固くてゴリゴリしています。
 とてもまずくて、食べられたものではありません。
「なんだい、このまずい焼きいもは! ゴリゴリして、食えたもんじゃないぞ!」
 男が文句をいうと、焼きいも屋はすました顔で言いました。
「だから、十里と言っただろう。五里(ゴリ)と五里(ゴリ)で十里。焼きいもがゴリゴリしていてあたり前だ」
「なるほど、確かに名前通りだ」

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