4月27日 鹿児島県の民話☆いやしい話☆ | ☆かおりキャンドル®☆CANDLE ARTIST☆手作りキャンドルのお花のお部屋☆ フラワーキャンドルアーティスト☆きょうちゃんのブログ☆

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蝋で花の芯から作り、花びら一枚一枚全て手作業でお花のキャンドルに仕上げていく工房での出来事を綴ったブログです(*^。^*)  

むかしむかし、薩摩の国(さつまのくに→鹿児島県)に、とんち名人がいました。
 殿さまはとんち名人の事がお気に入りで、ひまがあればとんち名人を城によんで、とんち名人のとんちを楽しんでいたのです。
 しかし上品な殿さまは、とんち名人のある事が気に入りませんでした。
 それはとんち名人が、おならとか、うんことか、おしりの話を良くするからです。

「これ、お前は人前で、いやしい話を平気で言うが、あれは困るぞ」
 するととんち名人は、首を傾げて言いました。
「殿さま。いやしい話とは、何でございましょう?」
「その、なんじゃ、おしりの話とかな」
「ああ、おしりの話ですか。しかし、おしりと言う物は、むかしから「ふくじり」などと言って、縁起の良い物でございますが」
「いや、いかんいかん。これからは、しりと言う言葉は使わぬように」
「それは、難しいご注文ですね」
「何が、難しい? 簡単な事ではないか」
「そうでしょうか?」
「そうじゃ」
「・・・では、もし殿さまが使われたら、いかがなさります?」
「おほほほ。もしわしが使ったら、お前に金千両をつかわそう。その代わり、お前が約束を破ったら、今後一切、城への出入りを禁じるぞ」
「はい、承知しました」

 次の日、とんち名人は城へ顔を出す時間になっても、なかなかやって来ませんでした。
「今日は、遅いのう」
 その日は昼近くになってから、ようやくとんち名人がやって来ました。
 殿さまは、少し機嫌を悪くして言いました。
「これ、遅いではないか。どうしたというのだ?」
「はい、ちょっと急ぎの用事で、友だちの所へ寄りましたもので」
「そんなに、手間取る用か?」
「はい、お茶をすすめられまして」
「なに? 茶を飲むのに、なぜそんなに手間がかかるのだ?」
「はい。それがいくら待っても、なかなかお茶が出てこないので、不思議に思い、そっと裏座敷をのぞいて見ますと・・・」
「うむ、のぞくと・・・」
「友だちは木の茶がまで、お湯をわかしておりました」
「何と、木の茶がまだと?」
「はい、さようで」
「何を馬鹿な。それでは茶がまのしりが、焼けるではないか」
 それを聞いたとんち名人は、ニヤリと笑いました。
「ははーん。殿さま、今、確かに言いましたよ。しりという言葉を」
「・・・あっ、しまった。これはやられた」
 こうしてとんち名人は、殿さまから千両を頂いたということです。

おしまい
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