「ハジメマシテ
ワタシハ、リシュフェン22サイデス」
「はじめまして
僕は大和健之丞と言います
27才です」
お互いに自己紹介をした2人は可笑しく
なってプッと笑い出した。
初めて会ったのに何故か、顔だちが
兄弟のように似ている。
「タイペイ ワンオーワンニハ、モウ
イッタ?ワタシハソコデハタライ
テル」
「台北?あ、101?」
「ルイヴィトンノカイシャ」
「ルイヴィトン?凄いね・・」
「まだ行ってない。今朝台湾に着いた
淑芬さんに、会えてよかった・・」
初めて訪れた台北。健之丞の不安な
思いは、安心感へと変わっていった。
🏮🏮🏮🏮
淑芬は5才の時に父と別れた。
父が買ってくれたウサギのぬいぐるみ
のリュックを大切にいつも背負っていた。
別れの日、父の姿をずっとずっと追い続け
ていた。
この日が父との永遠の別れになるとは
知らずに・・
淑芬が物心ついた時、父の姿はなかった。
幼なじみの花梨とは姉妹のように大きく
なった。
花梨といつも正門町に行っては、洋服を
見たり食べ歩いたりしていた。
「夢はお嫁さんになることよ」
「そうね、私は日本に行ってみたいわ」
「これから寧夏路夜市へ行って、お腹一杯
水餃子を食べようよ」
淑芬14才の頃に父が仕事現場で事故に
あい、帰らぬ人となった事を母から
知らされた・・