クロッククッカー 千葉敦子との出会い | 野菜と猫と時々お絵描き

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都会と田舎の二重生活をはじめて6年。
都会ではあれこれ趣味の生活をし、
田舎では野良猫たちの絵を描いたり、野菜や庭作りをしたりと欲張り生活をしています。


もう30年以上も前
フリージャーナリストの千葉敦子氏を某新聞のコラムで知った。
この時、彼女はすでに乳癌末期だったのではないかと思う。
なんて潔い生き方かと感銘した。
ジャーナリストとして、単身海外での取材報告を電信で送ってくるなど、颯爽とした活躍ぶりが想像できた。
こちらは、乳飲み子を抱えて、家からほとんど出られず、寝不足と社会から取り残されているという不安感で悶々とした日々を送っていた。
そうした日常生活で、彼女の著書にどれほど元気づけられたことか。
今をとりあえず一生懸命生きようと思った。

彼女は闘病生活を送る中で、たくさんの著書を残したが、特に記憶に残っているのが、このクロッククッカーと編み物と箙田鶴子(えびらたづこ)氏との往復書簡だ。

働く女性でもきちんと手料理を作ることの大切さと、このクロッククッカーを使えば時短調理が可能で、時間の有効活用が可能になることを学んだ。

さらに、病院通いの日々の中でも、待ち時間を有効活用すること、それが編み物と、読書であること。
自分の趣味と合致する点でも親近感を抱いたものだ。

彼女は、乳癌手術前に自分の裸身を画像に収めて、著書にも載せていた。そのことについては、賛否両論あったのを記憶している。
わたしは、あっぱれと思ったのだが。

そして、箙田鶴子(えびらたづこ)氏との出会い
なかなかシビアな展開でいつも考えさせられる内容だった。

箙氏は脳性小児麻痺により重度の障害を抱えた文筆家である。
彼女の学びへの意欲と才能はなかなか周囲には気づかれずに、暗い幼少期を過ごす。
往復書簡で、しばし箙氏は障害者と言われることに対して周囲からの差別と偏見を千葉氏に訴えていた。

普段の何気ない生活の中で、ふと箙氏の言葉が浮かんでくる。
彼女は、よく、足で鍋を磨くと言っていた。間断なく勝手に震える手足で鍋を、足で磨くということ、その言葉を思い出すたびに背筋がしゃきっとした。

クロッククッカーを使うたび、2人の女性が蘇る。

ちなみに今夜のおかずは、イワシの梅干し煮です。