そろそろ夏パジャマ新調するか…。


ユウがせっせと裁縫仕事をしていた。
彼が着ていたパジャマのボタンを僕がもいでしまったからだ。
朝から「キャッキャウフフ」していたら、ブチッと音がした。
ユウが意外に気にいったらしいパジャマだったので、僕は申し訳ない気持でいっぱいになった。
「にいに、ごめんね…。」
にじりよると、ユウに制止される。
「針使ってる時はくっつくな。」
ピタッと止まってユウの作業が終わるのを待つ。
ぐりぐりと糸を巻いて始末して、小鋏で糸を切る。
ユウの裁縫箱はけっこう立派な物が詰まっているように見えた。
てきぱきと裁縫道具を仕舞って箱をちゃぶ台に置く。
ユウの裁縫仕事が終わったようなので、くっついていいか顔色を伺う。
「くっついていいぞ。」
「にいに~…。」
抱きつくとガッチリ抱擁してくれた。
「今度はトレーナーだから遠慮なくキャッキャウフフできんぞ。」
「あははっ…!」
アレンは心行くまでユウに甘えた。


モヤ弟はさびしんぼう。
目の前でバスに発車されると殺意の波動に目覚めるリュウの気持ちがわからなくもない…('д')ガッデム


アレンはユウの朝食を片付けていた。
カチャカチャと食器を盆に置く。
ユウの朝食はご飯と味噌汁に玉子焼きで、たまに焼魚を焼いたりする。
だいたい朝食を作るのはユウで、僕の朝食も一緒に作ってくれる。
今日はジャムトーストとスクランブルエッグに厚焼きベーコンを添えてくれた。
食器の乗った盆を台所に運ぶ。
玄関の方でトントンと運動靴を足に押し込む音がした。
「ユウ、もう行くの~?」
声をかけると「んお~」と間抜けな返事が返ってきた。
神田って気を抜いてる時は可愛いよねえ…。
アレンはニコニコしながら玄関に向かった。
「行ってくる。」
「うん。いってらっしゃい。」
ユウは目をパッチリさせて僕を見た。
「んうぅゥム!」
べったりとくちびるを合わせられ、アレンは呻いた。
くちびるが離れたと思ったら、ユウが嬉しそうな笑顔で玄関から出ていった。
キミって油断できない人だよ…。
アレンはニコニコと皿洗いに戻ったが、ふと玄関に何かあると気が付く。
目をやると、とんでもない物があった。
「ばっかにいに~ッ!」
とんでもない物を抱えて、大急ぎでバス停まで走る。
次のバスは3分発だけど大概5分は遅れて来るけど、祭日はちょうどに来る事が多い。
あと1分ないよ~!
アレンは全速力でバス停を目指す。
あ、ユウ!
バス停に立っていたユウが僕に気が付いた。
そこへちょうどバスが来た。
「にいに!カバンっ!」
兄に走りより鞄を投げ渡す。
「モヤシ助かった!」
そう言うとユウはバスに飛び乗った。
「もう…ハァ…ハァ…、ゆ、油断…ハァ、できないっ…!」
アレンは肩で息をしながらバスを見送った。


がんばれモヤ弟…。
もう駄目だやる気が無くなっているまだ朝なのにいいいッ!


社会人になってから、コーヒーが飲めるようになった。
それまでは日本茶や紅茶しか飲めなかった。
ユウはコーヒーをミルク入りで飲んでいる。
コーヒーと言えば、プロンプトは飲める。
しかし、ドトールは苦い。
苦すぎて飲めない。
ベックスカフェはかろうじて飲めたが、プロンプトほどマイルドではない。
「…。」
スターバックスやエクセルシオールは無理だと判断して手を出していない。
とにかく、ドトールを飲めなければ、その2店舗のコーヒーは美味しく飲めない気がした。
コーヒーの色がそんな風に感じさせるのだ。
モヤシは難なく美味しそうに飲むのにな…。
弟がコーヒーを好きだと知ったのはつい最近だ。
家でも飲みたかったのに、わざわざ自分に合わせていたのだ。
先日、法事で帰省した時に、モヤシの妹のアルマが教えてくれた。
ショックだったが、かと言って家でコーヒーを飲むなんて、その時は考えられなかった。
「…。」
モヤシを想うと怒りも沸いたが、自分への怒りが勝る。
たった一人のモヤシなのに。
ユウはズルズルと苦味が和らいだコーヒーをすすった。


授業行ってくるんだZE…('д')

Dグレは今月号も休載ですって★ミ

なんてエイプリルフールがマジになったらどーしよー。

つーか、他の仕事に血道を上げて連載放置だけは勘弁してほしい…。

待ってる人もいるんです商業ベースの連載を…。

FSSなんて初版本全部捨てたよ待ち過ぎて。



ウトウトとユウの布団で眠っていたら、シャッ!と勢いよく襖が開いた。

目をしょぼしょぼとさせ、有無を言わせないという顔で立っているユウを見上げる。

どうしたのだろう。

「モヤシ、食パン切らしてた。朝飯はご飯と味噌汁だ。」

アレンはがばっ!と勢いよく起き上がり、非難の声を上げた。

「ええぇ~っ!ヤダヤダヤダ!僕はトーストがいいって言ってるじゃん!何で食パン切れてるの?ユウのバカバカバカーっ!」

ニャアニャアとひとしきり喚き、恨めしいという顔でユウを見る。

僕はご飯よりトーストがいいのに…。

何が面白いのか分からないけど、ユウは小さくニヤっとしている。

「おめー、すげー言ってくれるなこのやろう…。」

プイッと背中を向けて、ユウはドスドスと居間の方へ行ってしまった。

「食パン切れてて半泣きすんのおめーくらいだぞきっと。」

バターに砂糖を振ってみたり、美味しいジャムを塗ってみたり、トーストは美味しい朝の楽しみなのに。

僕の朝の楽しみが今日は無いのだ。

子供っぽいとは思うけれど、すごくむくれた顔をしているのが自分でも分かる。

「にいにめぇ~…。」

服を着替えてから居間へ彼を追っていくと、卓袱台の上にはいつもの朝食が乗っている。

ユウな何食わぬ顔をして、僕のトーストに半分だけジャムを塗っていた。

「はっ!お前って本当に食い意地張ってるな。」

鼻で笑われて、今日が4月1日だということに気が付いた。

「ユウのうそつき!僕、本当にガッカリしたんだよ…!」

ベタン!と座布団の上に座って、ユウがトーストに砂糖を散らすのを見ていた。

「おお。半泣きでブンむくれていて面白かった。ほい、できたぞ。」

トン!と皿の上に、トーストが置かれた。

ジャムがたっぷりと贅沢に半分に塗られ、もう半分に砂糖が散らされている。

「…おいしそう。」

「贅沢にしてやったぞ。」

二人で顔を見合わせて、アハハと笑う。

ユウの手が伸びてきて、頭を優しく愛しそうに撫でてくれる。

こうして僕が一番嬉しいご褒美が貰えるなら、エイプリルフールも悪くない。

アレンは心行くまでユウに頭を撫でさせた。



つーか新年度初に「4月で退職します。」と嘘をついてきたお…。

フーンとか流されたお…まー流すわな…('Д')

ええ普通に学校ですね1時間かけてクソ寒い都にいきますぉ。
雨まで降るとかがっでもすと★


ユウは味噌汁を飲みながら、今日は何をしようか考えていた。
年度末は忙しく、帰りも遅かったので、モヤシをあまり構ってやれなかった。
セットされてない栗色の髪を見ながら、素のモヤシの美しさに胸を打たれた。
眠そうな顔も、てれっと正座を崩した足も、油断しきった姿がとてもいとおしい。
幸せだ…。
アレンのリラックスしきった様子を見て、ユウは幸せを感じる。
そうだ。
今日はモヤシを見て過ごそう。
じっと見ていたら、眠そうなボンヤリ顔がこちらを向いた。
「にいに、今日はどっか行く?昨日まで忙しかったから、お家でノンビリにする?」
こうして気遣われるのもくすぐったいので、いつもなら「疲れてねえよ軟弱モヤシ」と煽ってギャアギャア言い合うが、今は幸せな気持ちに浸っていたかった。
べろべろと口元に付いたジャムを舐めるモヤシが返事を待っている。
モヤシは食パン派だ。
「家でゴロゴロすっかァ…。」
モヤシがに眠そうに、にまーっと笑う。
「じゃあ、今日はにいを独り占めの日~…。」
そんなことを言うとは思わなかったので、ユウは虚を突かれた。
ボンヤリと牛乳を飲むモヤシを眺めていたら、モヤシがまた驚くようなことを言う。
「僕、家に居るのも好き。ユウをじろじろ見る人も居ないし…。」
牛乳を飲み干したモヤシは、ぐぐーっとノビをする。
可愛いことを言ってくれる。
嬉しくなったので抱きしめて頭をグシャグシャしたら、モヤシは頬も耳も真っ赤になった。
今日はモヤシを構い倒す日にしよう。
ユウはモヤシの真っ赤な頬をぷにぷに優しくつねった。



兄ユウはお手軽兄ちゃん…('ω'=)