大日本サムライガール 6
「ありがとう、みんな……。頑張るね……。精一杯、頑張ってみるからね……」
ついにアメリカ大使館に足を踏み入れた日毬と颯斗。二人を待ち受けていたのはアメリカ諜報機関の要人たちだった。国策について熟考する日毬に対しCIA、国防総省(ペンタゴン)、自友党、民政党、公安警察がそれぞれ共闘を申し出る。日米同盟、日中関係、核武装化……国際社会の企ての渦中で、日毬が選び取る未来とは――!?
目的は政治の頂点、手段はアイドル――。至道流星の“政治・経済・芸能”エンタテインメント、千客万来の第6巻!!
―――――――――――――――――――――――――――――――
ぶっちゃけ最初と最後の方以外はどうでもいい話だったってのは否めない。トータルで見たら今回、たいして進展してないしね。
序盤はアメリカ勢や政党からのラブコールでちょいシリアスめな展開。
ホワイトハウスの意向を汲んで動くDIA(国防総省)かフットワークの軽いCIA、どちらと協調路線を取るのか。自友党、民生党のどちらと共闘していくのか。はたまた誰とも組まず単独で突き進むのか。そこら辺は気になる。日毬の選び取る選択肢とはいかに。
で、後半は芸能パート。『アイドルたちの何気ある日常!』はそれぞれの個性が出ていて良かった。
アイドルの裏の顔、普段の生活している姿を見れるなんてファンにとっては嬉しいものだろう。しかも登場するのがひまりプロダクションの人気アイドルばかりと来たら、注目されないはずがない。
千歳を売り出すためにと杏奈が考えたこの企画。特番として是非やりたいというテレビ局の申し出を受け、月曜から金曜まで一人ずつ、アイドルたちの日常を追っていく形で放送することに。
初めからクライマックス、もとい全力。途中で盛り下がったり失速してしまったら意味がない。最高の状態で金曜担当の千歳にバトンを繋ぐことを目指して、収録に取り組んでいく。
『アイドルたちの何気ある日常!』放送後、ひまりプロダクションの元へ、由佳里への取材依頼やテレビの出演依頼が殺到。ここまでくると颯斗もさすがに由佳里人気を信じざるを得ない。
出版社に声をかけられ、本を出版したらあっという間にベストセラー。続々と舞い込んでくる雑誌の取材やテレビの出演依頼を受け、たちまち由佳里の人気は沸騰。若い女性たちが目標にする「デキる実業家」として、あっという間に世界レベルの有名人になってしまう。
正直ここまでの人気を博すとは思ってなかったから驚いた。
由佳里ファンの呼称『ユカラー』には笑った。なんていうか、確かに有能ではあるんだけど違うんだよなあ(笑) 世間の認識と大いにズレがある。
ひまりプロ的にはこのありがたい流れを利用しないわけがない。由佳里を新社長に据え、経営体制を一新。ひまりプロダクションは新たなスタートを切ろうとしていた。
経営体制一新は次なる一手の布石なのか? 日毬の目標はぶれていないけども、颯斗が今後どうしていくのかが読めない。まあでも、思想的には相入れないとか言って、なんだかんだで日毬を助けていくのだろう。
これで女性陣は一通りスポット当たったし、次から物語は大きく動くのかしら。
個人的には政治寄りの方が面白くて感じるから、7巻からは本格的に政治編に入っていきます、とかだったら嬉しいんだけど。まあどっちみち次巻出るの来年っていう……さすがに遠い(白目
あ、10月から始まる新シリーズ『東京より憎しみを込めて』も楽しみです。