クライシス・ギア 緋剣のエージェント・九重 慎
「クライシス・ギア」は有事の際、人間を守る発明品だった。だが10万人に1人の確率でこれを武器(ウェポン)化できる人間が現れた。
高校生・九重 慎もまた武器化の才能を持っていたため、政府機関「特防」に所属するエージェントとなった。そんな彼に、財閥令嬢である緋扇紗々良の身辺警護依頼が舞い込む。
ただの警護任務のはずが、緋扇本家の人間が全員惨殺されたことで自体は急変する!
紗々良を守る慎の前にも凶悪犯――クライシス・ウェポンの能力者「セブン」が現れる――。
強き「本能」を刃に――! バトルアクション開幕!!
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国家公安委員会特別防衛部隊に所属する第七種エージェントにして高校生、九重慎。銀行強盗犯の捕獲仕事を片付けた翌日、彼は上司のカナデより緋扇家の娘、紗々良を警護する任務を頼まれる。そんな退屈なだけの任務は他の人に回せと当初、慎は断わっていたものの、報酬に一日三十万円という大金を積まれてしまっては話は別。何故なら今の慎には家族を殺した犯人について知るために「終末の探偵」への依頼金1000万円が必要なのだから。
依頼をこなすため、緋扇邸へ。たかが警護、大したことも起きないだろうとたかをくくっていた慎だった。しかし、紗々良は死んだはずの妹、響にそっくり。特防に警護依頼を頼んだ割に屋敷の防御は薄く、危機感も感じられない。慎の中でその言いようのない違和感は徐々に増していく……
緋扇本家にて殺人事件が発生したことをニュースで知る驚きを隠せない慎。緋扇十八名、特防エージェント十五名死亡と聞いて、学校に居た慎は紗々良のいる屋敷へ全力で走る。
安易にキャラを死なせてしまっては嫌悪感を与えてしまうし薄っぺらい話になってしまう。
ある程度その人物を知っていて感情移入しているくらいがちょうどいいラインかな。
慎の同僚だったツバメ。大学生で医者になって将来はたくさんの人を救うという夢を持った青年。このように背景が描かれるともうやばい。お人好しは早く死ぬ世の中ってのはまさしくその通りだよな……(涙)
防衛の任務に絶対の自信を誇る第四種エージェント、。クライシス・ウェポンがカイトシールドとそれで受けたダメージを跳ね返すガントレット。慎と戦ったとき割と強かったから、セブン相手でも互角くらいに戦ってくれるんだと思ってたんだけどなあ。それだけセブンという者が桁違いに強いということか。その事実を否定しようのないほどありありと見せつけられた。ここが演出の上手さだろう。
意地もプライドも、全てを投げ捨てて紗々良を守る。自分では勝負にならないことを認め、特防を動かすという選択肢を取った慎は偉いと思う。
他人の力に頼る部分が主人公らしくもあり、そうでなくもあり、新鮮で良かった。
王道にして邪道。なんだろう、物語がダークでかっこいいというのかな。
いわゆる俺TUEEE系の作品が流行りである昨今。そういうのも僕は好きだけど、本作はあえてそうしていないところがポイントだと思ってる。自らを強いと自負していた主人公が度重なる敗北を経験し、己の弱さを認め、それでも諦めることなく大切な人を護ろうとする。その姿勢はやっぱ素敵だなあって。
進化するクライシス・ウェポンもそうだし、慎に成長の余地があると大いに感じさせるところに魅力を感じました。
この先どうなっていくんだ?とページを捲る度に物語に惹きつけられていく感じでほんと楽しかった。
お約束なラッキースケベ展開も外さない辺りがまたいい。ありがとうございます、ご馳走様です。
緋扇を狙い裏で糸を引いていた黒幕は一体誰なのか。これから少しずつ明らかになっていくと思われるので期待。セブンとの再戦もあったら良いなぁ。
何から何までツボですごく面白かった。二巻の発売、全力で待ってます……!