「大日本サムライガール 4」感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

大日本サムライガール 4 (星海社FICTIONS)/講談社
¥1,418
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「ハッキリ言うておく。うちはオドレが死ぬほど嫌いや」

大阪VS東京——をテーマとしたテレビ討論番組のオファーを受けた日毬(ひまり)と颯斗(はやと)。訪れた大阪で二人を待ち構えていたのは、社会共産党員の美少女会計士・槙野 栞(まきの しおり)だった。右翼アイドル(神楽日毬)VS左翼アイドル(槙野栞)——前代未聞の戦いの幕が、今ここに切って落とされる!! 目的は政治の頂点、手段はアイドル——。至道流星の“政治・経済・芸能”エンタテインメント、白熱必至の第4巻!!

 

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いやぁ、一人新キャラ出てきただけでこうも違くなるもんなのね。新鮮ですごく良かった。
 
東洋テレビにて、日毬が司会を務める看板番組「ひまりんプロジェクト」がスタート。政治・経済を初めとした社会問題を扱う討論番組としては異例の、初回視聴率20%越え。しかし、それも日毬の人気故のこと。日毬の強硬な姿勢が番組の趣旨と噛み合わず、司会者として向かないことは誰の目から見ても明らか。回を重ねる毎に下がっていく番組の視聴率に、日毬は不安とやるせなさを噛みしめるばかりだった……
 
初の冠番組だから『ひまりんプロジェクト』の打ち切りを恐れる気持ちは分からないでもない。でも日毬は真面目すぎていけないと思う。たかだか番組が一つ終わるくらいで日毬の人気にたいした影響はないだろう、と。むしろもっとすごいことやらかしてるというのに…(笑)
 
次なる新事業として何を始めるか、颯斗たちは考えていた。そこに、ネットにおける政治的主張を可能にする。そんなサイトを自分達の力で生み出そうと由佳里が提案。壮司のコネでそちらの方面に強い議員、緒方との会合をこぎつけることに成功する。
『きれいなネット政治推進協会』と銘打ち、ひまりプロダクションは新事業に挑む。加えて日毬のために政治的なパイプを作れれば尚良い、という思惑も込めて。
こちらはまだ始まったばかりの事業、公職選挙法の例外として認められる立ち位置にいけるのか? どこまで安定して稼ぐことが出来るのか? 今後が楽しみです。
 
今回から登場の新キャラ、槙野栞。社会共産党所属。美少女会計士として話題となり、各種メディアに露出。主に大阪方面で知名度が高まっている急上昇株。
大阪の番組で日毬と初共演し、激しい論争を繰り広げる。その個性もあいまって、颯斗にすさまじいインパクトを与えた。
槙野栞のキャラすごく良いじゃないですかー! 容姿も含むっちゃ含むけど、それよりも、コテコテの関西弁で自信家、基本的な性格として気が強いが心優しい面も持ち合わせている。もちろん頭も切れる、と。ポテンシャル高すぎる。とにかくすごい可能性を感じた。
既存の雰囲気をぶち壊すような強烈な存在感。エッセンスとしては少々強めではあるものの、また新たな気持ちで読み進められる、という点でプラスかと。
なんたって番組開始前、控え室で日毬と初対面したときの一言目が「お前超嫌い」だからね…(笑) とんでもない娘や……!
日毬との会話でキャラが立ってたというか、掛け合いが面白かった。そこが既にポイント高い。やばい、僕この子超気に入ってしまったかもしれない。
日毬と栞は、政治的思想では相入れない。でもお互いの意見を本音でぶつけ合えるって素敵なことなんじゃないかな。二人のやり取りを見ていると微笑ましく思うときが確かにある。

栞はアイドルになることを伝えに元参議院議員であった父、槙野光造のいる自宅へ、日毬たちと共に向かう。しかし、共産主義一徹の光造はそれを認めず、右翼である日毬を目の敵にして栞諸共家から追い出そうとする。
ネタバレになるから書けないけど、栞の出自にも色々あって大変だったんだなぁと感じた。
駅には顔なじみの町の人々がたくさん集まっていた。栞を見送るために。この時点でちょっとうるうる。
そして、新大阪駅のホームに光造が駆けつけてくるシーン。すごく感動しました。 顔を合わせれば喧嘩してしまう仲だけれど、ちゃんと親子の絆はあるじゃないか…! 読んでいて心が暖かくなりました。至道先生の書く年配男性キャラはいい味出してるよなぁ、と改めて思ったり。

栞を迎え入れたひまりプロダクション。次なる一手はどんな事業で攻めていくのか。もっとスケール大きいやつでもいいよの? 何はともあれ、続きを楽しみにしております…!