「空に欠けた旋律<メロディ>」 感想 | self-complacency

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ライトノベルの感想を書いてました。

空に欠けた旋律<メロディ> (GA文庫)/ソフトバンククリエイティブ
¥630
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恋をした相手は英雄『銀色の魔女』。
硝煙と血煙の舞うセカイで繰り広げられる、空戦と恋の旋律。
「魔女さんのことが、好きです」
百年以上前から泥沼の戦争が続く世界。レイは単騎で敵を撃墜し続ける銀色の魔女、クッキィに恋をした。 彼女への憧れから士官学校を卒業後、パイロットとしてクッキィのいる基地へとやってきたレイ。 配属早々の戦闘のさなか、敵軍のエースに撃墜されたクッキィを救うため、レイは戦線を離脱する。 ところが戦域から離れた場所で、死を望んでいるかのようなクッキィの言動に、思わず告白してしまう。 そんなレイに、クッキィは銃口を向け、甘くささやく。
「世界を変えてみない?」
絶望的な世界のなかで、疾走する空戦と恋の旋律。
 
主人公は普通に男だと思っていたので、いい意味で裏切られた感じ。
別段それが物語の大筋に絡んでくるわけではないのだけど。これもある意味百合……なのか?
八年前の戦争、故郷の街も家族も、何もかもを失い死を覚悟した。しかし、魔女と噂されるメロディが現れ、敵を殲滅してくれたおかげで当時の主人公、レスティ・ヴァーナは救われた。それ以来、魔女の存在を生き甲斐にして。少しでも彼女の近くへいきたいという思いで、彼は軍人としての訓練を受けていく。そして現在へ、軍の部隊に正式入隊したところから物語は始まる。
ジャンルはロボット物。結構戦いのシーンも多かった印象。
端的に言うと世界観が暗い、というか作品全体からどんよりした空気しか感じない。作中の世界が戦争もバンバンやってるような、破滅へ向かう絶望的な世界だからなのだけど。そのトラウマとなる出来事があったからか、主人公の思考は大分狂っていた。好きな人が誰かに殺されるくらいなら自分が殺す、とかね。そんなのばっかり。歪んだ愛情ってレベルじゃなく、この作品の場合は主人公の性格に問題があるとしか思えないな…… 今まで読んだ中で一番多く「死ぬ」「殺す」等のワードが出て来たかもしれない。
魔女さん、もといクッキィ・ハーツさんが強い、って記述されてる割には結構やられてて微妙な感じに。幼なじみのエリィも復讐を生き甲斐にしてきた。でも最後は軍を裏切った身であるレイを、命を賭けて(生きてるっぽいけど)助けていたから彼女にとってはレイがそれだけ大事な存在だったんだろう。
部隊隊長のブラットが唯一まともというか、すごくいい人だなあと感じた。登場人物がみんなアレだからか。
「~~~だ。まあ、○○○だけど」、みたいな表現が多くて、途中読む気が半減した場面も。
世界は操られていて、その組織によって戦争は起こされているんだから戦いは終わらなくて当然、っていう事実。主犯格を倒さなきゃこの状況は解決しなさそうだしまだ話は続きそう。
駒都えーじさんのイラストに惹かれたのが購入した理由だったり。メロディ(ロボット)のイラストもかっこいいし、キャラ絵も良かった。ゴールデンタイムもそうだけど、美人系の女の子を書くと上手い方だなあ。