「COSMOSを観る」シリーズ・コトハジメ
カール・セーガンの『COSMOS』は1980年に吹替版がNHKで放送され、カール・セーガンの声は横内正が担当。本人の声より低く太い声でしたが、俳優なので、科学者のセーガン本人の声より聞き取りやすかったですね。
残念ながら吹替版を視聴することはできません(当時の録画はVHSの時代です)が、知人が2000年に発売されたコレクターズエディション版を持っており、借りることができました。
もう50年近く前に作られた科学番組なので情報は古いのですが、改めて見直してみると、他の科学番組と違い、シリーズ全体を通じての大きなテーマが貫かれていることがわかります。
「宇宙を知ることで地球の未来がわかる」という明確なメッセージです。
このメッセージは共感できます。冒頭のイラストも昔描いたものですが、まさに同じテーマですね。
第1話のタイトル「宇宙の浜辺で」も、そのメッセージが込められています。
以前、COSMOS全話を見るという企画を立てて1回目の記事を書いたのですが、それからもうずいぶん経ってしまいました。
そこで、メンバーもシカ部の人たちに一新して、リブートすることにしました。
まず、番組がどのような内容であるのかを【番組のアウトライン】としてメモを取ることにしました。動画サイトで配信されていればよいのですが、COSMOSは配信されていないので、せめてアウトラインのメモを残すためです。
それから、その番組の内容についてのコメントを対話形式で【第○話を観て】に書いています。
では、お楽しみください。
第1話 宇宙の浜辺で
【番組のアウトライン】
・宇宙を理解することが地球の未来を決める。私たちは宇宙に浮かぶチリ。宇宙を旅しよう。
・地球は宇宙という大海の浜辺だ。私たち自身が宇宙の一部なのだ。では、想像の宇宙船でたびに出よう。
・今、宇宙船は宇宙の果と地球の中間地点にいる。宇宙の果から見ると、われわれの銀河系は露ほども見えない。
・宇宙のどこも同じ法則だが、その法則はすべて知られていない。
・ここでは距離の単位に光年を使う。銀河も寿命があり、生まれたり死んだりする。どれほど多くの惑星や文明が滅びたことか。
・パルサーは初めて発見されたとき、灯台のような人工物だと思われたが、そうではない。
・宇宙には知的生命体がたくさんあるだろう。彼らの文明はわれわれのとどう違うのか。地球からわずか1500光年のところにオリオン座があり、暗黒星雲がある。そこは星の生まれるゆりかごだ。
・プレヤデス星団は生まれてまだ5000万年という若い星の集団だ。
・星間にはインクの黒いシミのような雲もある。ここには有機物が含まれていて、その分子は生命の材料になる。
・太陽系に入ると、地球からたった4光時間のところに海王星と衛星トリトンがある。天王星のリングは1977年に見つかった。
・木星は太陽系最大の惑星で、その表面に光の柱が噴出していることを1979年にボイジャーが発見した。
・1976年、火星に2機の探査機が着陸し、巨大なクレーター(オリンパス山)や大渓谷を発見した。
・最後に第3惑星の青い惑星に到着する。宇宙にはたくさんの星がある。私は地球と同じ様に宇宙にもたくさんの知的生物がいると思う。
・地球は生命に満ち溢れた宇宙でもまれな場所だ。
・地球の大きさを最初に計測したのは紀元前3世紀のエラトステネス。アレキサンドリアの図書館長をしていた彼は、あるとき、あるパピルスに6月23日にアレキサンドリアより南の町シエネでは、真昼に地面に立てた棒の影が消えるという記述を見つけた。同じ日の同じ時刻にはアレキサンドリアでは影がなくなることはない。そこから、エラトステネスは地面が平らでなく曲がっていると考え、2つの町の井戸の差と2つの町の距離から、地球の大きさ(周囲の長さ)を計算した。(カール・セーガンは厚紙に描かれたエジプトの地図のアレキサンドリアとシエネに模型の塔を2つ立て、地図を曲げることでそれを示した)エラトステネスが使ったのは、棒と目と足と頭脳、そして真実を求める心だった。
・アレキサンドリア図書館には世界中から本が集められ、パピルスに写して保管された。世界最大の図書館であり研究所だった。ここからエラトステネスやヒッパルコス、ユークリッド、アルキメデス、プトレマイオスが登場した。
・図書館は破壊され、パピルスも一部が残っただけ。地動説を唱えたアリスタルコスの業績も失われた。
・なぜ私はみなさんをこの図書館にお連れしたか。それは、ここが人類史上初めて、組織的に知識を集めた場所だからだ。ここから、古代の人々は宇宙に向けて進んだ。しかし、中世では、古代の業績を再発見するのみだった。
・1600年までに、アリスタルコスの地動説が再発見された。アリスタルコスとコペルニクスの地動説は70年後に認められた。
・1920年代、天文学者たちは宇宙の星動きを望遠鏡で観測し、星星が互いに遠ざかっていることに気がついた。驚くべきことに、宇宙は膨張していたのだ。そこから、宇宙が150億歳だとわかった。ビッグバンで宇宙が誕生してから150億年だ。
・宇宙の歴史を1年の暦に置き換えると(宇宙カレンダー)、宇宙の誕生は1月1日の最初の1秒、銀河系の形成は5月だ。太陽系や地球は9月、生命誕生はその直後だ。人類の歴史は12月31日の最後の10秒だ。
・数分前に人類が登場し、火を覚え、作物を耕した。
・人類は150億年の遺産を引き継ぎ、宇宙の謎を解くか、自己破壊するか。宇宙の暦の次の1秒がどんなものになるかは、人類にかかっている。
【第1話を観て】
ひろじ「じゃあ、COSMOSの第1話を見てみよう。まず、オープニングから」
ひな「えー、これ、ほんとに50年も前のTVなんですか。なんかすごい画像」
きりる「ふむ。たしかにすごいな。生まれる前の番組とは思えん」
えみり「宇宙の遥か彼方から地球に向かって進む想像の宇宙船って設定、おもしろい」
みすみ「初めて見るけど、なんか有名な番組なのかな。カール・セーガンって名前、どこかで聞いたことがあるじゃん」
きりる「昔、宇宙に向かって打ち上げられた探査機だ。たしか、2機あったと思う」
ひろじ「1977年に1号と2号が打ち上げられた。それまでよくわからなかった木星、土星、天王星、海王星を探査して、今はもっと遠いところを飛んでいる。ボイジャーには地球の文明を記録したCDを乗せてある。万一、宇宙人がボイジャーを発見したら、地球の文明がわかるように。このCDについては、主にカール・セーガンが企画したらしい」
えみり「そんな時代のロケットで、そんな遠くまで行けるのかしら。今でも、火星まで行くくらいでしょ」
ひろじ「スイング・バイを使って、探査機の速度を増やしたんだよ」
えみり「スイング・バイって、何?」
ひろじ「探査機が惑星のそばを通るとき、惑星と引力を及ぼしあう。それは一種の衝突なので、運動量保存則により、惑星の運動量の一部を探査機の運動量にすることができるんだ。それが、スイング・バイだよ。スイング・バイを使わない場合、当時のロケットの性能だと、せいぜい木星あたりまでしか行けなかったはずだ」
えみり「へえ、それじゃ、惑星を推進力に使ってるの! 惑星のそばを通るだけで加速できるなんて、すごい技術だね」
みすみ「あ、今、セーガンがいったこと、この回のタイトルじゃん! 『地球は宇宙の浜辺』なんだって!」
ひな「ええと、どういう意味かなあ」
みすみ「たぶん、地球も宇宙の一部だってことだよ。もっというと、わたしたちも宇宙の一部だって」
きりる「ふむふむ。たしかに、そういう意味だろうな」
ひろじ「このCOSMOSは、シリーズを通してそのメッセージが語られているんだ。たぶん、カール・セーガンからのメッセージだろうね。他の回では『人間も木も同じ化学物質でできている』といっているし」
ひな「宇宙カレンダーって、おもしろいね。宇宙って、できて150億年なんだ」
きりる「今は137億年といわれているな。それにしても、それを1年に圧縮すると、人類の今の世界が最後の1秒間くらいというのは、びっくりだな」
ひろじ「宇宙の3K背景輻射というのが、宇宙ができたときのビッグバンの名残りだとガモフが考えて、ハッブル定数の値から最初に宇宙の年齢を概算したのが始まりだよ。そのときは17億年(*)という値だった」(*)ガモフ全集7『宇宙の創造』より
えみり「今の値とずいぶん違うね」
ひろじ「3K背景輻射の観測精度が時代とともにどんどん上がって、ハッブル定数がより詳しくわかるようになったんだ。特に、大気圏外での人工衛星による観測で、時代を経るにつれ飛躍的に精密になり、今では137億年プラス・マイナス1億年というのが、宇宙の年齢といわれている。COSMOSを作った時代では、それがまだ150億年だったということだよ」
えみり「ん〜、最後まで見ちゃった。すごく内容が濃かったね。アメリカの科学番組って、すごいんだなあ」
ひろじ「COSMOSって、アメリカでセンセーションを巻き起こして、社会現象にもなった番組なんだよ。それまで子どものあこがれの職業はアメフトやバスケの選手だったのが、天文学者になりたいって子供が激増したという。もっと後になって、COSMOSの続編が作られたけど、そのナビゲーターになった天文学者は、子どものころCOSMOSを見て天文学者を目指した人だ」
ひな「セーガンさんの言葉が胸に響いたなあ」
ひろじ「そうなんだけど、昔、アメリカの物理教育の研究大会にサークルの人といったとき、向こうの理科の先生にCOSMOSのことを聞いたら、boringっていわれて、びっくりしたよ」
ひな「ボーリングって」
きりる「退屈だってこと」
ひな「えー、そうかなあ」
ひろじ「たぶんの話だけど、アメリカの視聴者って、長い内容は苦手で、例えばニュース番組でも、一つ一つの話題がすごく短い時間で紹介される。COSMOSの展開はたしかに少々冗長なところがあるから、それが退屈に思えたのかも」
ひな「でも、セーガンさんの言葉がすごく心に残ってます。退屈には思えなかったです」
ひろじ「COSMOSの特徴はナビゲーターであるカール・セーガンのメッセージ性が強いことかな。他の科学番組にはない特徴だと思うよ。それに、そのメッセージを伝えるために、番組での映像の見せ方とか、言葉の選び方とかで、すごく工夫していることがわかる。おそらくだけど、アメリカの一般視聴者は、科学についてはあまり興味がないんじゃないかな。ぼくも専門用語を使わないように工夫しているけど、COSMOSを見直してみて、勉強になることが大いにあったよ」
【終わりに】
今回は、なんとか最後の話まで、完走したいと思っています。
のんびり一話ずつ取り上げていきますので、よろしければお付き合いください。
第1話を観て改めて思ったのですが、カール・セーガンという人は科学と世界の関わりについて、強いメッセージを発信し続けた人ですね。カール・セーガンの遺作ともいうべき『カール・セーガン科学と悪霊を語る』を、もう一度読み直してみたいと思っています。今読むとまた違った印象がありそうです。
それでは、また。
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