PCを使った偏光の実験〜先進科学塾@名大オンライン打合会より | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 先日、先進科学塾@名大の講師陣で偏光実験のオンライン会打合会がありました。先進科学塾@名大をオンラインでやってみようという試みのため、オンライン会でその検討会をしようというもの。1回目は中村先生が名大の学生向けにやっている偏光実験のプログラムを一通り見て、アイディアを出し合う会だったようです。

 

 「ようです」と書いたのは、ぼくはこの会の終わりがけにちょっと顔をだしただけだからです。この日、ぼくはうたた寝してしまい、気がついたらオンライン会が終わる間際。慌てて参加して、それまでの会の内容を手短に教えてもらったという次第。やっちゃいました。

 

 でも、そこで聞いた話で、いろいろ思いついたことがあったので、その日の夜にあった仲間内のオンライン会で、思いついた実験を試してみました。オンライン会でないと試せない実験だったので、同じ日にオンライン会がもうひとつあったのは幸いでした。

 

 先進科学塾@名大のオンライン会で知ったのは、パソコンなどの液晶画面から出てくる光が偏光しているということ。今まで、そういうことを気にしたことがなかったので、新鮮でした。

 

 

 パソコンの液晶画面から出てくる光は、水平方向の振動面をもつ偏光。この方向の光を通す向きに偏光板を置くと、そのまま透けて見えます。

 

 

 偏光板を傾けていくと、液晶から出る偏光をベクトル分解した成分だけが偏光板を通るので、少し暗くなります。

 

 

 偏光板を液晶から出る偏光と垂直にすると、光は通り抜けられなくなって、真っ暗に。

 

 これらの実験は、通常は自然光を2枚の偏光板に通し、2枚の偏光板の角度を変えることで行います。1枚目の偏光板は自然光を偏光にするための役割ですから、液晶画面のように理想的な偏光の光源がある場合は、1枚目の偏光板がいりません。

 

 この会でぼくから話したのはハチの目がどうやって太陽の方向を知っているかを実験する装置の話。『いきいき物理わくわく実験3』に載っている実験ですが、その時は実験装置の用意がなかったので、話だけでした。会のあと、実際に作ってみました。

 

 偏光板にセロテープを切った短冊を貼りつけて、矢印の形にします。これをセロテープを液晶画面側(こちらから画面を見て、偏光板の向こう側)になるようにすると・・・

 

 

 偏光板が水平方向の偏光を通す向きのとき、セロテープが暗くなって矢印の形が水平方向を示してくれます。つまり、矢印の向きが偏光の向き、ということです。

 

 

 偏光板が鉛直方向の偏光を通す向き、つまり液晶画面の偏光を通さない向きのときは、偏光板は暗くなり、明るい矢印が見えます。この場合は、矢印の向きと垂直な向きの偏光がやってきている、という意味になります。

 

 セロテープで作った矢印が偏光板本体と明るさが逆になるのは、セロテープで偏光面が回転するからです。ほぼ90度回転するので、明暗が逆になります。(詳細な理論はまた別の機会に)

 

 

 これは100円ショップで買った爪楊枝が入れてあったケースのフタ。これを偏光板越しに見ると・・・

 

 

 不思議な色が見えます。これは、プラスチックをこの形にするときに、あちこちが歪んでいるため、場所場所での偏光の回転の状態が異なり、こうやって色づいて見えるのですね。光弾性実験といって、物体にかかる力の様子を2枚の偏光板の間において調べる、古くから知られている実験ですが、パソコンがあれば、1枚の偏光板でできます。

 

 さて、当然オンライン会に参加する人はパソコンでなくスマホを使う人もいるので、ちょっと試してみました。

 

 

 あれれ?

 明るい暗いだけの変化ではなく、色まで変わってしまいました。

 

 これは、なぜでしょう?

 

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 答は、次回・・・ウソです。

 

 おそらく、スマホに貼ってある、画面割れ防止のための透明シートが原因ですね。先ほどのプラスチックで色づいたように、シートで振動面が回転するとき、色がついてしまったのでしょう。

 

 オンライン会でないとできない実験は、写真が撮ってないので、また撮れたときに掲載します。どんな実験かだけ、以下に書いておきます。

 

 これらの実験を説明するとき、実験を参加者にやってもらうだけでなく、実際にどんな風に見えるのかを、画面で確認する必要がります。

 

 そこで考えたのは、鏡を使う方法。

 

 パソコン画面に向かい合うように鏡を置くと、鏡で反射した光も偏光したままなので、鏡を偏光の光源として使えます。その前でこれらの実験をしてみせることで、画面の向こう側で見ている人にもこれらの実験が「見える」というわけ。

 

 夜のオンライン会で他の人たちがそろう前に試してみたところ、うまくいくことがわかりました。

 

 では、またの機会に続報を書きたいと思います。

 

 

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