物理サークル2020.1.25報告その1 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 1月25日(土)の物理サークルに娘と行ってきました。

 

 20分ほど遅刻したのですが、まだ一人目の川上さんの発表が続いていました。

 

 その後、石川さんの電磁気の発表。

 

 この二つは高尚な感じで、議論というより、議論とか問題提起といった感じでした。

 

 今回もいつもと同様、ぼくの私的な記録です。実際に行われた発表順ではありませんし、すべての発表を網羅しているわけでもありません。

 

 発表の詳細な記録は、愛知物理サークルのウェブサイトの「例会記録」でご覧になってください。例によって、すぐには更新されないと思いますので、それまではこの私的な記録を覚え書き程度にお使い下さい。

 

 冒頭の写真は、飯田さんの新作(というより、昔の実験のリメイク)です。なぜリメイクしたかというのは、以下の文章を読んでいただければわかるかと思います。

 

 水平投射とエネルギー保存を組み合わせた演示実験。

 

 原型がこちら。

 

 

 焦げ茶色のモール(手前の机に大きく写っています)をレールとして使い、ビー玉をある高さから落として、計算した場所につるしたペットボトルのフタに衝突させる、という実験です。

 

 レールを飛び出す速さが約1m/sになるように落とす高さを約5cmにします。

 

 エネルギー保存則mgh=(1/2)mv^2(v^2はvの二乗を意味する記号とします)より、v=√(2gh)となりますので、g=9.8を約10と考えて、hを0.05mつまり5cmにすると、v=約1m/sとなります。

 

 落下距離はy=(1/2)gt^2より、t=0.1sでy=約5cmです。

 その間に、ビー玉は水平方向にv=約1m/sでt=0.1s間進むので、水平方向にx=約1×0.1=約0.1m=10cm進みます。

 そこで、ので、0.1秒分でビー玉が落ちる位置は横に約10cm、縦に約5cmとなりますので、その位置にペットボトルのフタがあるように、装置を配置します。

 横の距離は10cmに切った青いゴム磁石ではかり、縦の距離はヒモの長さで決めておきます。

 

 だいたいの数値で行う実験なので、フタの位置やビー玉を落とす高さはわりとざっくりとした決め方でやります。ビー玉とフタに大きさがあるため、このくらいのあらっぽい実験でも、うまく命中します。

 

 次は、飛び出す速さを2倍の2m/sとします。

 0.1sで横に進む距離は、最初の実験の2倍、つまり約10cmとなりますから、ペットボトルのふたの位置を、横へ2倍離れた位置に調整します。これまた、青いゴム磁石2つ分の距離をざっくりと測りますが、これでちゃんと命中するからすごい。

 

 

 上の写真は、速さを2倍にするには、何倍の高さから落としたらいいかという実験風景。2倍の高さも、飯田さんが目寸法で適当に引いたチョークの線で決めていました。

 

 もちろん、高さを2倍にした場合は、飛び出す速さは2倍になりませんから、命中しません。最初のエネルギー保存の式を見ればわかりますが、高さは4倍にする必要がありますね。

 

 

 ちょうと命中する寸前の写真が撮れました。

 

 カツーン!と音を立てて命中します。

 

 お見事。

 

 この実験、演示実験としてとてもおもしろいのですが、飯田さんいわく「あまり広まっていない」とのこと。

 

 その原因の一つが、材料のモールが手に入らなくなってしまったことだそうです。

 

 以前はどのホームセンターにも売っていたのですが、今はもう見かけないというお話し。

 

 ぐにゃぐにゃ曲がるので、この手の実験をするのに便利な材料だったのですが・・・

 

 そこで、飯田さんが手に入れたのが、代用品の配線用のモール。冒頭の写真の白いレールがそれです。

 

 こちらは、昔のものより幅も広く、がっしりしています。大きいビー玉で実験するのによいのですが、あまりぐにゃぐにゃしないので、とくに1回転ジェットコースターの実験をするときに工作が簡単。

 くるっと丸めて板に留めるだけで、全体がしっかりと固定されます。以前のモールだとぐにゃぐにゃするモールを固定するために、さらに板などで補強が必要だったのですが、その手間がなくなりました。

 

 うん、これなら、めんどくさがりやのぼくでも、作れるかな・・・

 

 と思っていたら、最後に飯田さん、余っている古いモールをみんなに配りはじめました。

 

 もらったからには作らなくてはいけなくなります・・・

 

 ぼくも、遠慮していたのですが、結局もらうことになってしまいました・・・

 

 「さりと12のひみつ」の連載原稿も先日完成したことだし、やってみてもいいかな・・・とは思うのですが・・・

 

 ところで、この実験、まだバリエーションがあります。

 

 

 落下距離を約5cm、20cm、45cm、80cmとした4つのフタを定規からぶら下げたものを作り、先ほどの飛び出し装置に合体させます。飛び出し装置から横へ10、20、30、40cmと、順にずらしていきながら、ビー玉を同じ高さ5cmから落とすと・・・

 

 命中するまでの時間を0.1、0.2、0.3、0.4sとした場合のビー玉の落下地点とペットボトルのフタの位置が一致するため、どの場合もビー玉がフタに命中します。これはワーッとなりますね。

 

 ただ、これらの実験は、何が起こっているのか理解するのに、重力中の運動や力学エネルギー保存則に関する総合的な知識がいります。

 

 教室などで演示実験するさいには、対象者の理解度をよく把握する必要があるなと感じました。

 

 導入実験としては、扱い方に工夫がいる実験ですね。

 

 

 こちらは、飯田さんがもうずっと前から続けている力学現象の認識にかかわる調査。ぼくも、新任の頃、アンケート結果を見せてもらったことがあります。

 

 つい最近の調査結果と比べると・・・

 

 あまり変わっていない、という分析。

 

 じつはアメリカでも、似たような調査はときどき行われていますが、飯田さんのように、同じ調査を長く続けるケースは珍しいと思います。

 

 ぼくはこれらの調査内容のいくつかを自分の授業プログラムに入れていますが、それがどのくらい定着しているか、一度調べておくのもおもしろいかなと思います。まあ、これは研究課題ということにしておきます。

 

 どんな内容のアンケートか、また、結果はどうだったのか、興味のある方もいらっしゃるでしょう。

 

 手もとにはその資料があるのですが、一度飯田さんに相談してみて、このブログサイトで公開してもよいということになりましたら、そのようにしたいと思っています。しばらくお待ち下さい。

 

 

 こちらは、急遽発表した、娘の「自主勉」の成果。

 

 サークルに行く前に娘がなにやら紙を切っていろいろチャレンジしていたのですが、行く直前になって成功したので、そのまま持っていって発表することにしました。

 

 ペーパーキャット、つまり宙返り猫です。

 

 このブログサイトでもぼくが作った物がダウンロードできるようになっていますが、娘はぼくのマンガ「いきいき物理漫画で実験」を読み、自分でいろいろ試作品を作り、この形になったようです。

 裏返すと、こんな感じです。

 

 

 手足が大きくて、かわいいデザインになっています。

 

 これでも、空気抵抗を受けて宙返りし、安定するための条件がそなわっているので、うまく宙返りして着地できました。

 

 ぼくのものより、簡単に作れますので、サークルで紹介させていただきました。

 

 

 こちらは、娘のイチオシの実験。児島さんの「ブーメラン銃」です。

 

 娘は、サークルがはじまってから、ずっとこの実験を心待ちにしていました。児島さんの発表順が後ろの方だったので、サークルの間中、ぼくの耳元に顔を寄せて「あの実験、まだ?」を連発していました。

 

 これ、すごい性能です。

 

 材料は割り箸3膳と、輪ゴム、洗濯ばさみ、それから工作用紙で作ったブーメランと発射台。

 

 

 こんな感じです。

 

 ブーメランをセットした様子を見た方がわかりやすいでしょう。

 

 

 こうですね。発射台に切れ込みがあり、そこにブーメランの羽根を引っかけます。

 

 飛ばすときは、この向きではありません。このまま飛ばすと上や下に向かってカーブしてしまい、天井や床にぶつかってしまいます。

 

 装置全体を90度かたむけ、ブーメランを立ててから発射します。これは、普通の紙ブーメランの飛ばし方と同じです。

 

 洗濯ばさみの引き金を引くと、ブーメランがスゴイ勢いで飛びだし、くるっと回って戻ってきます。

 

 小さい子はブーメランをうまく飛ばすことができません。手首のスナップを使って回転を与えて飛ばすのですが、それがうまくできないのです。

 

 でも、この銃なら、幼稚園の子でもうまく飛ばせますね。

 

 さすが、児島さん。

 

 その2につづく。

 

 

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