干渉板〜薄い空気層の干渉 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 講師先の授業で鑑賞板を見せようとしたら・・・

 

 ガラス板の間にはさんであったセロファンがぼろぼろ、2枚の板を固定する輪ゴムもぼろぼろ(輪ゴムはしょうがないけど)・・・

 

 列ごとにこの装置をまわして、鑑賞模様をみてもらう授業ができません。

 

 急遽、事務でゴムバンドをもらい、新しいセロファンを切って、6セット(物理講義室の列の数)作りました。

 

 最初は、ガラス板の両側をゴムバンドで留めてみたんですが・・・

 

 

 ゴムバンドの締め付けが強く、ガラス板が変形して、こんな干渉模様になってしまいました。これはこれで面白いのですが、干渉板を最初に見る実験としては不適切。

 

 セロファンのある側のゴムバンドを外し、指で押さえつけるくらいにしたら・・・

 

 

 冒頭の画像のようになりました。もう少し拡大すると・・・

 

 

 比較的、きれいな平行の縞模様ができます。

 

 スーパーなどで野菜を入れるビニール袋を手に取ったとき、こんな縞模様が見えることがありますが、これもこの実験と同じで、光の干渉による縞模様です。

 

 2枚のガラス板の間にある空気層の両側で反射した光が干渉して、この縞模様を作りますが、詳しい理論は、またいずれ・・・

 

 なお、画像が黄色いのは、ナトリウム灯で単色の黄色光をつかった実験だからです。自然光だと、波長により強め合う場所が異なり、色ごとの縞模様がずれて重なり、この実験のように縞模様の間隔が狭い場合、縞模様自体がみえなくなってしまうので、単色光を使うのですね。

 

 といっても、そのままでは全員が見られる実験にはならないのですが、大型のナトリウム灯の光を天井に当てるようにすると、その反射光で、それぞれの生徒が座っている机で、この干渉縞が見られます。

 

 この実験は、暗幕が使える部屋でないとできないので、物理講義室や実験室など、暗幕の使える部屋で行います。

 

 この装置に加え、ニュートンリングも見てもらいます。同じ原理の干渉現象ですね。

 

 ニュートンリングは、このくさび形干渉板に比べると、空気層の厚みが少なく設計されていますので、縞模様の間隔が広く、自然光でも、縞模様がはっきりと見えます。

 

 おまけ的な話を追加すれば、光の干渉実験にかかせないニュートンリングは、もちろんかのニュートンにちなんだ名称ですが、ニュートン自身は光は波ではなく粒子だという立場で考えていました。

 

 運動の法則や万有引力の法則などで物理学会のメインロードに躍り出たニュートンの唱えた説だったので、光の粒子説はその後ながらく、物理学会の「常識」になりました。

 

 粒子なのに干渉というのは、へんな気もします。干渉を起こすのは粒子ではなく、波だからです。後になり、ヤングが実験により光の干渉性を示したことで、光が波であるという波動説が物理世界の新しい「常識」になります。

 

 でも、ニュートンは「振動的な特徴を持つ粒子」といったイメージで光をとらえていたので、むしろ、現在の量子力学的な光子像に似た発想をしていたのかもしれませんね。

 

 

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