どんどん増え続けているフグを、もっと食糧資源として利用できないものかと、先日のブログで書いた。そして、参考資料をあれこれ探していたら、「日本料理技術選集」の「ふぐの本」、「ふぐ調理師入門」2冊セットという本が見つかった。どちらも昭和56年(1981)の発刊で、40年以上も前の中古本だが、2冊でわずか1500円。しかも立派な本で、フグの毒性や料理法を知ることができる詳しい内容だった。
私がもっとも知りたかったのは、フグの部位のどこに毒があり、どう取り除いているのか、ということだった。ざっくり紹介したい。
本によれば、フグの毒は内臓と皮に含まれている。とくに肝臓や胃腸、卵巣には強い毒がある。ただ、白子(精巣)だけは無毒だという。従来言われていた「血液の毒」はないことが立証されているらしい。皮に毒があるフグは数種類いるが、トラフグのように無毒でよく食べられている種類もいる。
だから、結論から言えば、どんなフグも内臓と皮を取り除いて、筋肉だけ食べていれば、食中毒は起こらないということになる。
調理の流れも、まず鰭(ひれ)を取り、頭部を切る。皮をはいで、内臓を取り出し、白子だけを取り分けて、あとは捨てる。このとき、白子と卵巣を間違えると大変なことになる。また、調理中に内臓を傷つけ、毒を含んだ内臓の汁が筋肉についてしまうと危ない。やはり流水でよく洗いながら調理するのが安全な方法だ。フグの毒は熱に強いので、鍋にしたから大丈夫とはいえない。
釣ったフグを自宅で食べても、罰せられる法律はない。ただし、これを他人に食べさせて中毒死させた場合は、過失致死罪などの罪に問われるだろう。もちろん、殺意を持って内臓を食べさせたら殺人罪だろう。
ただ、問題は、猛毒を含んだ内臓などの不要部分を、家庭の「燃えるゴミ」として出せるのか、ということ。フグの専門料理店や処理工場では、毒を含んだ廃棄物については施錠した容器で保存し、焼却場に持ち込むルートが決まっているのだという。
もっと、フグを庶民が格安に食べられる流通改革はできないものか。もう少し考えてみたい。 (2023.10.1 風狂老人日記)