1980年、LAMYが世界に向けて投入したSafariの初期モデルが復刻するという噂は、随分早くからSNSなどを通じて知ることとなった。そのニュースを知ってから入手に至るまで、時の経過が長く感じられたのは、この復刻が絶対にあり得ないことだと思っていたからだろう。


 LAMY国内唯一の直営店があるNEWoMan横浜の7階にあるフラッグシップストアで実際に手にした時、嬉しさのあまり店頭のディスプレイをそっくりそのまま持ち帰りたいと思ったほどだ。私の中では間違いなく、近年の発売カラーの中で群を抜いた存在感を放っている。時代は今、ようやく追いついたのか?これまで復刻を許さなかった訳は何だったのか?そして復刻を一方で哀しんでいるファンの方もいることは間違いのない事実でもあろう。


<↑蓋のロゴは当時と違うが、収納ケースを一緒に復活させたことには拍手だ!>


 今や世界で最も成功した筆記具と言っても過言ではないLAMY Safariであるが、「冒険と自由」を開発コンセプトにしたテラコッタオレンジとサバンナグリーンのモデルは、発売当初はアウトドア用の筆記具と位置付けられ、全く売れなかった。発売から数年後、当時は珍しい色であったであろうホワイトや、三原色(ブルー、イエロー、レッド)を出すことで爆発的にヒットし、以降当社の業績を牽引する商品となっていった。


 そんなSafariの初期モデルは中古市場ではかなりの価格をもって出回り、いつの間にか入手困難な憧れのモデルとなっていった。1980年は筆者も田舎のファンシー文房具好きな高校生。LAMYなど知る術もない。今や正確には数えたこともないが、多分百本近くのLAMYを保有しているが、初期モデルは憧れでしかなかった。


 発売当日は横浜で全てのモデルを仕入れた後、記念にやはり先行発売をしていた銀座の伊東屋本店にもお邪魔して店頭ディスプレイを撮影させて頂いた。


<↑背丈ほどの巨大なサバンナグリーンに圧倒される!>



 毎年、何かしらの驚きをもって新商品を世に送り出し続けているLAMYの商品開発に対するたゆまぬ努力は凄まじい執念を感じるが、このような中でDr.マンフレッド・ラミー氏がご逝去されたことは大変悲しい。インタビュー記事をいくつか拝見してきたが、その製品にかける誠実さ、会社への誇りには頭が下がるばかりであった。

 謹んでご冥福をお祈りするとともに、創業者の御子息として当社をここまで大きくしてきたご努力、ご功績に対し、敬意を表します。

 ありがとうございました。









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