書き出し小説 131〜140日目
131日目
彼にとって待ち時間はボーナスタイムであった。五分でも十分でも時間があれば、それだけ修行ができる。
132日目
あらゆる物から声が聞こえるようになって分かったことは、溶けにくい砂糖だからといって頑固者とは限らない、といったものだった。
133日目
少しうるさいくらいでいい。神はもうこの祭りを見ていないのだから。
134日目
先生から紹介された彼から差し出された名刺には「思い出掃除専門家」と書いてあった。
135日目
混ぜるな危険。いくらそう教えても混ざり合ってしまうのがこの大地に住む人間の性なのだろう。
136日目
この動物園には龍がいない。そう拗ねる娘に龍を見せるために、今年の夏は東に旅行に行くことに決めた。
137日目
ここにいる全員がウサギ目的だとしても、流石に14番目に並んでいる私がカメにされることはないだろう。
138日目
今日から太陽が沈まないことを、まだ誰も気付いていない。
139日目
このノートには嘘しか書けない。そして書いた嘘は絶対に実現しない。どうやらそういうルールみたいだ。
140日目
僕の神様は、単語で会話する。
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