書き出し小説 141〜150日目
141日目
この手袋が使えなくなる頃に、この街から引っ越すことに決めた。
142日目
誰かが喜ぶことをやってあげるか、誰かがやりたくないことを代わりにやる。世の中の仕事は大きく分けてその2種類に分けられる。彼の仕事は後者の方だった。
143日目
神様からの意地悪が始まったのは小学四年生のとき。それから十年間、神様に一矢報いるために異霊術の修行を続けてきた。
144日目
まさか、常連客にあだ名を付けるだけで仕事が成立するとは思ってもみなかった。
145日目
わざわざチョコとスナックを分けて食べるのは、お菓子探偵の職業病と言ってもいいかもしれない。
146日目
諦めることの出来なかった人間だからこそ、諦められる人の強さを知っている。
147日目
電車を一本見送る。そんな臆病な癖のお陰で彼女と出会えた。
148日目
不快であっても見るのを止められない。世の中にはそういった類いの創作物が少なからず必要なのだ。
149日目
急ぐ旅でもないので、ここでひとつ悪い事でもやってみる。
150日目
途中から始まり、途中で終わる。生きた人間が創る以上、それが物語の限界なのだ。
#書き出し小説