書き出し小説 121〜130日目
121日目
毎朝15分、この公園で時間を過ごす事が日課になってもうすぐ1年になる。しかし、ここで像を見かけるのは今日が初めてだ。
122日目
「あなたの5分を僕にください!」
そう叫んで路上で弾き語りを始めた青年に応援の意味も込めて拍手を送った。すると彼はこっちを見つめてこう言った。
「契約完了です。あなたの寿命を5分いただきます。」
123日目
もっと便利に、もっと楽しく。その想いを持ってヒトは進化してきた。つまり、誰も変化を望まなくなったこの時代が人類の文明の到達点というわけだ。
124日目
朝を待つだけの生活か、それとも夜を待つだけの生活か。この部屋の中だけで何年も生活しているとどちらか分からなくなってくる。
125日目
まるで缶切りが発明される前の缶詰のように、現代人はまだそれを活かしきれていない。
126日目
この喫茶店で一杯のコーヒーを奢る。それが私に仕事を依頼する時のルールだったが、彼が頼んだのはホットミルクだった。
127日目
いつか飛ばしたスイカの種は、こうして船として成長して僕の前の現れた。
128日目
私の初めての友達は、色鉛筆の家に住んでいる彼だった。
129日目
ひたすら基礎の繰り返し。その地味な習慣が、彼の能力を積み上げてきた。
130日目
我流の練気術で祓うにはケガレが大き過ぎる。これはプロに依頼するレベルの大きさだ。
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