• トルコ・アックユ原子力発電所2号機に原子炉冷却材ポンプ据付
  • パキスタンでの2基目の華龍一号の最終引き渡しが完了
  • ウェスティングハウス社とサスカチュワン大学、eVinciの導入で協力
  • カナダにおける原子力発電の機会を見据えた新たな提携
  • 米ルイジアナ州、エネルギー需要への対応に先進的な原子力発電を検討
  • フラマトム社、新たな燃料製造施設を開設
  • イタリアの廃棄物貯蔵施設の再建開始
  • PETスキャンの併用でアルツハイマー病の進行を予測
     

トルコ・アックユ原子力発電所2号機に原子炉冷却材ポンプ据付

原子炉冷却材ポンプユニットの据付により、トルコのアックユ原子力発電所2号機の主要設備がすべて据え付けられた。4基の原子炉冷却材ポンプユニットは、原子炉炉心の一次冷却系統おける冷却材の循環を確保するために使用され、圧力は大気圧の約160倍、温度は約300℃。このポンプは、円筒形の原子炉格納容器の上部開口部からクレーンで吊り込まれた(下の写真参照)。アックユ原子力株式会社のセルゲイ・ブツキフ社長は、「原子炉冷却材ポンプの設置により、2号機原子炉ユニットの主要機器の組み立てが完了した。原子炉容器、蒸気発生器、安全設備の蓄圧タンクはすでに据え付けられており、まもなくこれらすべての機器を接続する一次系主配管の溶接に着手する」と述べた。南部メルシン県にあるアックユ原子力発電所は、トルコ初の原子力発電所。ロスアトムは、いわゆるBOO(建設・所有・運営)方式で4基のVVER-1200型原子炉を建設中。

(画像:ロスアトム)

(画像:ロスアトム)

 

パキスタンでの2基目の華龍一号の最終引き渡しが完了

パキスタン・シンド州カラチ原子力発電所3号機の最終検収式が行われた。中国核工業集団公司(CNNC)が建設したこの原子炉は、同サイトに中国から納入された華龍一号としては2基目となる。カラチ2/3号機は、CNNCの電気出力110万kW加圧水型原子炉「華龍一号」の初輸出機であり、国際市場ではHPR1000として販売されている。2号機の建設は2015年に、3号機の建設は翌年に開始された。カラチ2号機は2021年2月に初臨界を達成し、試運転試験の完了後、翌月に送電を開始した。カラチ2号機の最終検収証明書は2024年5月に署名された。3号機は2022年2月に初臨界を達成し、翌月に送電を開始。2022/4/18に予備検収試験に合格し営業運転を開始。2024年2月には、3号機の開所式が開催された。

最終検収式(画像:CNNC)

カラチ原子力発電所2号機と3号機(画像:CNNC)

 

ウェスティングハウス社とサスカチュワン大学、eVinciの導入で協力

ウェスティングハウス・エレクトリック社(WH)とサスカチュワン大学(USask)の間で新たに締結された覚書に基づく技術協力は、サスカチュワン州におけるマイクロ原子炉の導入を加速させるのに役立つ。この契約に基づき、WHとUSaskは、WHが同州への導入を目指しているeVinci技術の技術開発と導入分析における協力の機会を模索する。協力の一環として、USask「環境・サステナビリティ学部(SENS)」は、マイクロ原子炉eVinciを遠隔地コミュニティに設置し、信頼性とレジリエンスのある熱電併給を行う場合にもたらされるメリットと機会について経済分析を実施した。コミュニティの成長と投資、健康と安全への影響を含む経済分析の結果は、今後数ヶ月以内に発表される予定である。

USask工学部のマイケル・ブラッドリー学部長と、WHのリア・クライダーeVinci商務担当副社長が契約書に署名した(写真:WH)

 

カナダにおける原子力発電の機会を見据えた新たな提携

プロフェッショナル・サービス企業のターナー&タウンゼント(T&T)社とカナダを拠点とする原子力コンサルティング会社のニュークリア・プロミスX(NPX)は、カナダ全土、そしてカナダ国外での原子力プロジェクトの機会の共同での追求・提供に向け提携した。カナダは、新規原子力プロジェクトを再び推進しており、2050年までに最大3,000万kWの新規原子力発電容量を追加し、正味排出量ゼロの目標を達成する可能性がある。

カナダ、オンタリオ州のピカリング原子力発電所(画像:Nuclear Engineering International)

 

米ルイジアナ州、エネルギー需要への対応に先進的な原子力発電を検討

米国ルイジアナ州は、増大する産業エネルギー需要に対応し、排出量ネットゼロ目標の達成を目指し、小型モジュール炉(SMR)とマイクロ原子炉に重点を置いた先進原子力発電の選択肢を検討している。州政府機関、地元のエネルギー供給業者、そして産業界は、規制プロセスを合理化し、原子力発電を現実的なエネルギー源として推進するための議論に取り組んでいる。

過去の遺物? ルイジアナ州では、従来の100万kWを超える原子力発電所の代わりに、小型モジュール炉(SMR)やマイクロ原子炉が議論の中心となっている(画像:iStock)

 

フラマトム社、新たな燃料製造施設を開設

フラマトム社は、フランス南東部ドローム県ロマン=シュル=イゼールに、研究炉用燃料と医療用アイソトープターゲットの製造に特化した新たな工場を開設した。ロマン=シュル=イゼール施設には、フラマトムの子会社で研究炉用燃料要素の製造を担うCERCA社が運営するワークショップも含まれる。これらのワークショップは、燃料要素や医療用ターゲット材を形成するための圧縮粉末を製造する「ウランゾーン」を中心に構成されている。投資方針の一環として、また今後数年間の予想される成長に対応するため、施設は既存のウランゾーンを新たな機器を備えた新しいウランゾーンに置き換え、原子力安全・セキュリティの最新基準を満たすように改修することを決定した。

CERCAは1959年以来、この施設で事業を展開してきた。現在、CERCAは研究炉燃料の主要サプライヤーであり、ほぼすべての欧州の研究炉と世界中の多くの研究炉に燃料を供給している。CERCAは世界中の研究炉向けに2万体以上の燃料要素を製造してきした。世界のテクネチウム99mスキャンの75%は、CERCAが製造した医療用ターゲットを用いて実施されている。

フラマトム社のリオネル・ゲフ氏が新施設をオープン(画像:フラマトム)

CERCAの新ワークショップにおける放射性清浄度検査(画像:フラマトム)

 

イタリアの廃棄物貯蔵施設の再建開始

恒久停止したイタリアのカオルソ原子力発電所サイト内の低レベル放射性廃棄物中間貯蔵施設の解体と再建工事が開始された。新施設は、業界の規制および法律で求められる最新の安全基準を満たすことになる。

カオルソ原発の過去の運転および廃止措置活動から生じた放射性廃棄物は、現在、サイト内にある3つの中間貯蔵施設に保管されている。ERSBA1およびERSBA2施設は低レベル固体廃棄物を、ERSMA施設は中レベル固体廃棄物を保管。これらの施設では現在、コンディショニング後の廃棄物と、処理・コンディショニングに送られる前の廃棄物の両方が保管されている。これらの廃棄物は、国の放射性廃棄物貯蔵施設が操業を開始すれば移送される。現在、これら中間貯蔵施設の新安全基準への適合に向けての改修が進行中である。ERSBA1およびERSBA2施設は解体・再建され、ERSMA施設は建屋内部を解体・改修される。 ERSMA施設の改修作業が進行中であり、ERSBA2施設の改修作業は2023年に完了した。イタリアの原子力発電所の廃止措置を担当する国営企業SOGINは、ERSBA1施設の解体工事に着工したことを発表した。

(画像:SOGIN)

(画僧:SOGIN)

 

PETスキャンの併用でアルツハイマー病の進行を予測

アミロイドPETスキャンとFDG-PETスキャンから得られた診断情報を組み合わせることで、軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー病への患者の短期的な進行を予測できることが研究者らによって報告された。この結果は、記憶障害クリニックでMCIの検査を受け、両方のスキャンで疾患の兆候が見られ、アルツハイマー病への進行が早まった患者を対象とした研究から得られたものだと、マドリードのナバラ大学臨床病院のベアトリス・エチェベステ医師らは指摘した。

「健忘性MCI患者のうち、アミロイドPET陽性でFDG-PETでも[アルツハイマー病]パターンが認められた患者は、アミロイドPETのみが陽性の患者と比較して、認知症への進行が有意に早かった」と研究チームは述べている。この研究は4/21、European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(EJNMMI)誌に掲載された。

(画像:B. Echeveste et al., EJNMMI)