- 韓国のエネルギー計画案に原発の新規建設
- 原子力発電の拡大に真っ先に飛び込む英国
- アルゼンチンのCAREM SMRプロジェクト、最終設計審査を受審
- タイ首相:小型モジュール炉を検討中
- フラマトムとテラパワーがHALEU金属化プラントの計画を発表
- 華龍一号は設計者の数十年にわたる経験の賜物
- EDF が GEスチーム・パワーの買収を完了
- RWE、グンドレミンゲン原子力発電所の解体許可を取得
- 最新の放射線食品照射技術で食品の安全性が向上、世界中で輸出入を促進
- PET は心臓病患者の有害事象を予測
韓国の産業通商資源部(MOTIE)が発表した第11次電力需給基本計画の草案によると、韓国は2038年までに最大3基の大型原子力発電プラントと小型モジュール炉1基を建設する可能性がある。草案によると、韓国の電力需要は2038年までに1億2,930万kW、2023年より30%以上増加し、成長は主に半導体およびデータセンター産業の需要によって牽引される。同国のエネルギーミックスにおける炭素フリーエネルギー源の割合は、2023年の約40%から2038年までに70%に増加。原子力発電による電力の割合は2030年に31.8%で、2038年には35.6%に増加するとされている。現在、同国には26基の原子炉があり、電力の約3分の1を供給している。MOTIEは、2037年から38年にかけて440万kWの新規設備が必要になると予想しているが、APR1400ユニットが建設されると仮定すると、「計算上は最大3ユニットの建設が可能だが、2038年までの建設期間の用地確保など、スケジュール、コストなどを総合的に考慮して、政府が事業者と協議し、最適な計画を導き出すことが推奨される」とした。さらに、2035年から36年の電力需要を満たすには、220万kWの新規設備が必要になると予想している。「この期間中、現在開発中の小型モジュール炉(SMR)の商用化実証に70万kWが割り当てられている」
2022/8/21、韓国・月城原子力発電所を背景に水遊びをする子供たち。ロイター/キム・ホンジ/資料写真
関連報道:
今世紀半ばまでに英国の電力需要の25%を原子力エネルギーで賄うという目標には、原子力発電を4倍に増やす必要がある。英国は、ヒンクリーポイントCとサイズウェルC発電所を建設中であり、第3の大規模発電所や小型モジュール炉、核燃料サプライチェーンに向けた取り組みも行っている。
(画像:OILPRICE.com)
アルゼンチンのCAREM SMRプロジェクト、最終設計審査を受審
アルゼンチンのCAREM小型モジュール炉の最終設計審査(CDR:Critical Design Review)が60日以内に完了する予定であると、アルゼンチン原子力委員会(CNEA)の新委員長、ヘルマン・ギド・ラバレ氏が述べた。同氏は、エコノジャーナルとのインタビューで、この審査は革新的なプロジェクトでは一般的であり、「専門家グループはすでに構成されており作業を開始している。専門家グループは、レビューや再設計が必要な側面、特に原子炉の最も革新的な側面を特定しなければならない」と述べた。審査が実施済みの作業にどのような影響を与えるかとの質問に対し、同氏は、土木工事には影響せず、エンジニアリングシステム、「基本的にはまだ製造されていない原子炉内部の部品」に焦点を当てると述べた。
2023年8月に行われた土建工事(画像:CNEA)
天然ガスの埋蔵量が減少していることから、タイは小型モジュール炉(SMR)を検討しているとセター・タビシン首相が語った。「私たちのグリーン転換の目標は、東南アジアで最も野心的なもののひとつであり、2040年までにエネルギー生産の50%を再生可能エネルギーにするという包括的なロードマップがある」とセター首相は言う。
2024/5/1、タイのバンコクで行われた「マイクロソフト・ビルド:AIデー」イベントで演説するセター・タビシン首相。ロイター/チャリニー・ティラスパ/資料写真
フラマトムとテラパワーがHALEU金属化プラントの計画を発表
フラマトム社とテラパワー社は、ワシントン州リッチランドにあるフラマトムの核燃料製造施設に濃縮度5%超低濃縮ウラン(HALEU)金属化パイロットプラントを設計・開発することに合意した。金属化は、濃縮六フッ化ウラン(UF6)を先進炉用のHALEU燃料の製造に使用できる形態に変える再転換プロセスの重要な部分。パイロットラインは現在建設中であり、フラマトムの二酸化ウランをHALEU金属に変換する能力を実証する。(訳注:テラパワー社が開発中のNatrium型SMRは、HALEU金属燃料を使用する設計)
リッチランド燃料製造施設(画像:フラマトム)
関連報道:
https://www.powermag.com/framatome-terrapower-to-develop-haleu-deconversion-pilot-line/
鍾元章氏は1986年から原子炉設計に携わり、中国の原子力発電所の半数以上の研究開発活動に参加してきた。鍾氏は中国の華龍一号炉の副主任設計者であった。研究開発、設計、製造、試験のすべてに20年近くを費やし、華龍一号(原子炉圧力容器)の鋼材508Ⅲ鋼の開発に成功し、原子炉の 『心臓部』のローカライズを実現した」と鍾氏は語る。
2017年8月撮影、中国核工業集団(CNNC)福清5号機原子炉圧力容器(RPV)(新華社)
GEベルノバ社 は、アラベル蒸気タービンを含む原子力二次系設備技術とサービスの一部を EDF に売却した。アラベル・ソリューションズ社は、EDF の完全子会社となった。この取引には、新規原発向け二次系機器の製造と、南北米州大陸を除く既設原発を対象とした関連保守事業およびアップグレード事業が含まれる。EDFによるGEスチーム・パワーの買収は、2022年初頭に初めて発表され、最終契約は同年11月に締結されていた。EDFグループは、この取引により、原子力産業と欧州のエネルギー安全保障のための重要な技術とスキルを獲得できると述べた。約3,300人の従業員を擁するアラベル・ソリューションズ社が買収した事業を遂行する。同社の蒸気タービンは、特にEPR、EPR2、SMR(小型モジュール炉)原子炉シリーズで使用されると同社は述べた。
マクロン大統領が2022年2月にライブ配信したフランス新設計画発表時の背景画像はアラベルタービンだった(画像:Elysee/YouTube)
ドイツの電力会社RWEは、バイエルン州環境消費者保護省(StMUV)から、旧グンドレミンゲン原子力発電所の廃止と解体について、最終となる3回目の許可を取得したと発表した。ドイツ南部の電気出力128万4,000kWグンドレミンゲンB沸騰水型原子炉(BWR)は、33年間の運転を経て2017/12/31に、128万8,000kWBWRのグンドレミンゲンCは2021/12/31に恒久停止した。原子力法に基づくユニットBの解体許可は、2019年3月にStMUVから付与され、ユニットCの解体許可は2021年5月に付与された。
グンドレミンゲン(画像:RWE)
最新の放射線食品照射技術で食品の安全性が向上、世界中で輸出入を促進
5/27-31、IAEAと国連食糧農業機関(FAO)の共催で開催された食品安全管理に関する国際シンポジウムでは、食品照射に新しい放射線技術が使用され、世界中でより安全な食品の輸出入を促進するのに役立っていることが発表された。食品照射は、食品の栄養成分、風味、全体的な品質を維持する穏やかで非侵襲的な技術。ガンマ光子、電子ビーム、または X 線を利用して、食品の栄養価、味や食感を損なうことなく、有害な微生物や害虫を効果的に除去する。微生物汚染や腐敗の原因となる細菌の増殖を抑制することで、生鮮食品の保存期間を延ばす効果があり、スパイス、トロピカルフルーツや野菜などの高価値食品の品質を保つために、よく使用されている。また、フルーツや野菜の積荷に隠れた害虫が国際貿易を通じて新しい地域に侵入するのを防ぐ植物検疫処置としても機能する。
この分野の注目すべきトレンドの1つは加速器照射への移行だ。この方法は、ビーム生成に電源を使用するため、従来のガンマ線照射とは異なりオンとオフを切り替えることができる。ラジオアイソトープ線源につきまとう安全性とセキュリティの懸念に対処しながら、食品照射の適用範囲を広げている。
インドのスパイス卸売市場。乾燥した料理用ハーブやスパイスの輸出入は世界中でさかんであり、食中毒菌を取り除くため食品照射が幅広く用いられている。(C. ブラックバーン FAO/IAEA)
5/30、Radiology: Cardiothoracic Imaging誌に掲載された研究によると、窒素13(N-13)アンモニア放射性トレーサーを用いたPET画像は、虚血性心疾患(IHD)患者の重大な心臓有害事象の予測に役立つ可能性がある。日本の東京女子医科大学の山本篤志助教等のグループは、N-13アンモニアPET画像における右心室心筋ひずみ比(RVMSR)測定が心血管イベントを予測することを発見し、このアプローチは臨床介入の恩恵を受ける患者を特定するために使用できると示唆した。
(画像:Radiology: Cardiothoracic Imaging)