• 中国・徐大堡4号機に格納容器ドーム設置
  • オーストラリア野党が原子力計画の概要を発表
  • ロシア・クルスク原子力発電所の新ユニットに初装荷燃料6体を搬入
  • フィンランドの鉱山でウラン回収開始
  • フィンランドの研究用原子炉が廃止
  • PETが麻薬性鎮痛剤中毒治療に光を当てる
     

中国・徐大堡4号機に格納容器ドーム設置

中国核工業集団公司(CNNC)は、徐大堡原子力発電所4号機(VVER-1200)の原子炉建屋にドームを一段階プロセスで据え付けたと発表した。このプロセスが採用されたのはこれまで1度だけ、同発電所3号機のみである。直径44m、高さ22mの半球形構造物が、格納容器頂部に据え付けられ、その作業は3時間半余りを要した。吊り上げられたドームには、鋼鉄製のライニング構造物と支持ケージ、すべての貫通部、補強板、内部の鋼鉄構造物、機器サポートとハンガー、スプレー設備、照明設備、水素除去装置、熱交換器、検出装置、その他の機器が含まれ、総重量は655トンであった。2018年6月、ロシアと中国は、遼寧省の新徐大堡サイトにVVER-1200原子炉2基を建設するなど、4つの協定に署名していた。2019年6月に署名された協定には、徐大堡3号機と4号機の建設に関する一般契約と、核燃料の供給契約が含まれていた。ロスアトムは、原子炉周り一次系の設計、主要機器の供給、および供給された機器の現場監督、設置監督、試運転サービスの提供を行っている。タービン発電機と二次系(BOP)は中国が供給する。

4号機に据え付けられたドーム(画像:CNNC)

吊り上げ前のドーム・アセンブリ構造物(画像:CNNC)

ドームの吊り上げ作業(画像:CNNC)

徐大堡3号機と4号機(画像:CNNC)

 

オーストラリア野党が原子力計画の概要を発表

オーストラリア野党の指導者らは、将来のオーストラリア連邦連立政権が国内に原子力を導入することを確認し、原子力発電所を建設可能な7カ所の場所を発表した。自由党・国民党連合のピーター・ダットン党首、デビッド・リトルプラウド副党首、影の気候変動・エネルギー大臣テッド・オブライエン氏が発表した場所はいずれも、既に閉鎖されたか閉鎖が予定される以下の発電所サイトである。

  1. リデル発電所(ニューサウスウェールズ州)
  2. マウント・パイパー発電所(ニューサウスウェールズ州)
  3. ロイ・ヤン発電所(ビクトリア州)
  4. タロン発電所(クイーンズランド州)
  5. カリデ発電所(クイーンズランド州)
  6. ノーザン発電所(南オーストラリア州)
  7. ムジャ発電所(西オーストラリア州)

ダットン氏(左)とリトルプラウド氏が連立政権のエネルギー政策を発表(写真:デビッド・リトルプラウド/Facebook)

 

ロシア・クルスク原子力発電所の新ユニットに初装荷燃料6体を搬入

新たに搬入された燃料集合体の最初のものは、2024年後半にクルスク II 期 1 号機に装荷される予定。クルスク II 期原発はロシア西部、ウクライナ国境から約60kmに位置する新しい原子力発電所で、ロシアの大型軽水炉設計の最新版である VVER-TOI 原子炉 2 基が設置される予定。圧力容器が改良され、定格熱出力が 330万kW に向上し、発電端電気出力は 130万kWを実現する。6体の燃料集合体は、専用鉄道輸送でサイトに搬入された。ロスアトムは、TVS VVER-TOI 核燃料は、VVER-1000 および VVER-1200 原子炉用の燃料に基づいて開発されており、燃料集合体設計により、「燃料の装荷重量の増加、熱信頼性の向上、運転中の原子炉炉心のより効果的な制御により、原子力発電所の技術的および経済的特性が向上する」と述べた。炉心全装荷には163体の燃料集合体が装荷され、各燃料集合体には 313 本の燃料棒が含まれる。運転中の燃料サイクルは 18か月となる。

2023年撮影されたクルスク II(画像:ロスアトム)

 

フィンランドの鉱山でウラン回収開始

フィンランドの鉱業企業テラファーメ社は、同国北東部タルビバーラのソトカモ鉱山で、亜鉛とニッケルの生産の副産物として天然ウランの回収を開始した。ウラン回収施設の検査とテラファーメが提出した文書の検討を経て、フィンランドの放射線・原子力安全機関(STUK)は6/17、文書化された手順に従えば安全要件が満たされると判断を下した。この決定によりテラファーメは施設の操業を開始できる。ソトカモ鉱山の以前の所有者であるタルビバーラ鉱山会社は、この場所でウランを生産する計画を立て、ウラン抽出工場を建設したが、2014年に破産宣告を受けた。その後、同社はフィンランド国が100%所有する特別目的会社、フィンランド鉱物グループが70%所有するテラファーメに買収されていた。

テラファーメのウラン回収プラント(画像:テラファーメ)

 

フィンランドの研究用原子炉が廃止

エスポーのアアルト大学オタニエミキャンパスにある研究用原子炉「フィンランド原子炉1号機(FiR1)」の解体が完了し、フィンランドで廃止される初の原子炉となった。得られた経験は、同国における商用原子炉の廃止のモデルとして役立てられる。FiR1水冷式プール型TRIGA Mark II研究炉は、1962年にヘルシンキ工科大学によって運転開始された。この原子炉は当初、研究と教育を目的として建設されたが、後にアイソトープ製造と放射線治療にも使用された。原子炉の運転認可は1971年にフィンランド技術研究センターVTTに移管。2023年までの運転認可が付与されていが、VTTは2012年に財政上の理由からFiR1の使用を停止することを決定。熱出力250kWの原子炉は、2015/6/30に運転を停止。2017年、VTTは国務院に原子炉の廃止許可を申請し、廃止許可は2021年に発行されていた。

FiR1の廃止(画像:VTT)

 

PETが麻薬性鎮痛剤中毒治療に光を当てる

最近の核医学・分子イメージング学会(SNNMI)年次総会での発表によると、PET画像診断により、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)使用障害(OUD)の治療にメサドンまたはブプレノルフィンを服用している人の脳活動が異なることが示された。ペンシルベニア大学フィラデルフィア校の医学博士、PhDであるジェイコブ・ドゥブロフ氏は、炭素11(C-11)カルフェンタニルPETを使用して、ブプレノルフィン治療を受けた患者は、メサドン治療を受けた患者や健康な対照群よりも、脳のすべての領域でμオピオイド受容体の活動が低いという証拠を示した。ドゥブロフ氏は6/11日にトロントで行われたセッションで、この研究結果は「違法オピオイドの禁断を保ちながら、臨床結果を改善するための最善の方法についての理解を深めるものだ」と述べた。

画像:ジェイコブ・ドゥブロフ博士提供