棄てた恋と棄てられた恋 #15 | 五月雨ゆか

五月雨ゆか

稚拙な文章ですが趣味で小説書いています。内容はすべてフィクションです。















「それ、嘘ですね」



「はぁ?」



「あなたはむしろ髙橋さんと元の関係に戻りたかったんじゃないですか」



「何を言ってるか意味が分かりません」



「忘れたかったのに、なぜリビングに髙橋さんとの写真をずっと置いてたんですか」



「それは…たまたまです」



「たまたまですか」



「あなたの右手の甲、怪我してますよね」



確かに陽世の右手には大きめの絆創膏が貼られていた。



「それがなにか?」



「いつ怪我されたんですか?」



「少し前です。野球やってるときに小さい子が引っ掻いちゃったんです」



「髙橋さんの爪の間に、犯人のものと思われる皮膚片が挟まってました。おそらく歩道橋から落ちるときに犯人を掴もうとして引っ掻いたんでしょう。DNA鑑定すれば白黒つきますが髪の毛1本でいいので提出していただけますか?」



「嫌です。任意ですよね、拒否します」



「では…こちらについて教えていただけますか?」



「…!それは…」



「なんですかそれ?」



「山口さんから髙橋さんに宛てた手紙です。いわゆるラブレターとでもいうんでしょうか。髙橋さんは大事にケースにいれて保管されてました。日付を見ると、どうやら大学生になってから送られたもののようですね。高橋さんはかなり几帳面だったようで、今までの手紙、全部大事に保管されてましたよ」



「…」



「中身は何が書いてあるんですか」



「茉莉ちゃん!」



「簡潔に述べるなら、急に別れを告げられて驚いたこと。そして山口さんはまだ髙橋さんのことが好きなこと」



「やめてください」



「そして、できるならまた髙橋さんとよりを戻したいと」



「やめてください!」



陽世が悲鳴に近い叫び声をあげた。



それを合図にしたかのように菜緒が手紙を畳んだ。



「もう…いいんです。私と未来虹ちゃんの関係は終わったんです」



「髙橋さんと影山さんがお付き合いを始めたからですか?」



「別にそれはどうでもよかったんです。みくにちゃんから振られたことが一番耐えられなかった」



「だから髙橋さんを殺害したんですか」



「違う!私は殺してない!私はただ…」